イメージは固まった?
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またまたまた余談ですが、純度の高い水を飲むと、ほんのり甘味を感じると聞いたことがあるんですけど…本当ですかねぇ?因みに全く本編には関係ありまs(殴)
俺は森を抜け、巨鳥が眠っている丘の連なった草原へと戻ってきた。
すっかり外は暗くなり、もう遠くには月も見え始めている。
夜になれば勿論街灯なんて物は存在しないので、月明かりだけでこの先歩くことになるな…どうも急ごうと考えても、この世界に居ると周りの物や自然に目を奪われて、ついつい足を止めたりしてしまう…これも親父の血の性かも知れないな。
すると、眠っていた筈の巨鳥は既に目を開け、呑気に毛繕いをしているようだった。
どうやらここにいたフィオラは見えないようだ…何処かに移動したのだろうか。
と、ふと毛繕いに耽っていた巨鳥が此方を見つめてきた、どうやら何か言いたげな様子だ。
直ぐ様『翻訳機』を取り出すと、彼女に近付いて話をする事に。
「毛繕いなんかしてすっかりマイペースだな、傷は痛んで無い様だし…まあ大事に至らなくて良かったな。」
『ええ、傷はあの小さな"緑の魔法使い"のお陰で癒えました…まさか人間に助けられるとは思っても居ませんでしたが…。
助けられたのは何百年ぶりでしょうか…。』
「あーっと、興味あるけど、昔の話は今度追々聞かせてもらうとして…何か話したいことがあるんだよな?」
そう言うと、巨鳥はこくんと頷き、ここより南の方角を見て言った。
『貴方、あの小さな錬金術師を探しているのでしょう?それでしたらあの方角にある廃村に向かいましたよ…どうやら疲労の色が見えていましたので心配だったのですが…良ければ見に行って上げてはどうでしょう?』
「フィオラが?そりゃ心配だな…もうかなり日が沈んでるしな…ありがとう、見てくるよ。」
巨鳥が言うには、大分疲れている様子だったらしい。
そう言えばミッシェルのあの『ペンタフード』とやらもフィオラが作ったと聞いた…だとすると三回目の錬金術か…精神力の消費と自然の力に追い付けなくなる可能性もあるかもな…ゲームで言うとMPがゼロみたいになるのかも知れない。
例えそうでなくてももう夕暮れだ、朝から動きっぱなしだからな…女の子だし体力はそんなに無いのが普通だ。
とにかく心配なので、俺は南にあると言う廃村を目指して歩き出した。大丈夫だろうか…。
※※※
歩く内に、崩れた木製の小屋が見えてきた。あれが廃村っぽいな。
少し駆け足で向かうと、そこには無惨に荒らされ、割れた壺やらテーブルやらが散乱した場所についた。
ザクザクと腐った木材を踏みながら進むと、井戸らしき物が見えてきた。
「へぇ…やっぱ『井戸』ってゲームとかでも見るけど…やっぱり村って言ったら井戸!見たいな概念何だろうか?
でもこれ枯れてるな…まあ廃村だし当たり前か。」
そこら辺にあった小石を井戸に投げたが…水の音は聞こえない、枯れているらしい。
それに、畑らしき物が近くに見えたので行ってみると、その奥の方でキラキラと輝く光が見えた。
良く見えないので、俺は懐中電灯を取り出す…が、ミッシェルが壊してしまったのを忘れていた。
仕方なくその光を頼りに、足元の凹凸に気を付けながらそこに辿り着くと、赤茶色の女の子がしゃがんで座っていた。
特徴的なレザースーツ…間違いなくフィオラだったのだが…何やら動かないので声を掛けてみた。
「おーい?フィオラ?」
名前を呼んで前に回り込むと…何とスースーと寝息を立てて眠りこけてるではないか。
しゃがみながら畑で寝るって…もうこれ分からねぇな…変なところ器用だなこの子は…。
取り敢えずこんな場所で寝てしまってるのはまずいし身体を揺らして彼女を起こす。
「おーい…起きろー、疲れてるのは分かるけどそんな器用な寝かたすると余計に疲れると思うぞー。」
「うーん…。」
「フィオラー、まだやることが…おわっ!?」
俺が彼女を揺らしすぎたせいか、彼女がバランスを崩して俺の方へと倒れ込んで来てしまった。
慌てて彼女を受け止めるものの、言っちゃ悪いが…案外重かったので耐えきれずに地面に一緒に倒れてしまった。
衝撃で腰が何だかヤベェ音がしたので触ると少し捻った様だ…これお爺ちゃんだったら逝ってるぞ…。
痛みに顔を横向きにしていたのだが…ふと前を向くと、何やら柔らかいものが顔に覆い被さってきた。
息が出来ない…と思った矢先、それが何なのかを察してしまった。
「こ、これは!?ディス・イズ・ザ・バスト!?
レザースーツからでも分かるこの弾力…流石"90"は伊達じゃな…ってこれじゃ変態親父じゃねぇか!」
正気を保てと言わんばかりに自分の顔にビンタをする。だが、目の前の"名状しがたいプリンの様なもの"の魔力に勝てず、思春期真っ盛りの俺は残念ながら動くことは出来なかった。
と、そこで再びうなり声が聞こえたと思ったら、彼女がようやくの思いで起きてくれた。
「うーん…ふぁぁ…ってあれ!?ここどこですか!?ってあれれ!?リュウノスケさん!?」
「起きたかフィオラ…おはようと言いたい所だが…この覆い被さる柔らかな二つの物を退けてくれると窒息しないで済むんだが…。」
「へっ!?きゃぁあ!!ごめんなさい!!」
危ない危ない…俺の第三の足が立ち上がる所だった…ってやかましいわ。
無事にそれによる窒息を避けられた俺は、咳き込みながら余韻にひた…じゃなくて冷静に彼女に声を掛けた。
「まさかこんな場所で寝てるなんて…相当疲れてたんだなフィオラ、行ってくれれば良かったのに。」
「ご、ごめんなさい…どうやら魔力を少し多く使ってしまったみたいで…気付けばここに…。」
「えっ、もしかして無意識でここに来てたの!?怖っ!良かったよ近場で!」
「うう…申し訳ないです…。」
まさか無意識で来てたとは…たまげたな。
しかし彼女が行方不明とか倒れてしまうとかじゃなくて本当に良かったと安堵した。
やはり魔力の過度な消費はここの世界の人間にとっては極度の疲労と同じ状態に陥らせるみたいだな…この先フィオラ達とは長くなるだろうし…気を配って置かないとな。
彼女も、うう…と落ち込み気味で座り込んで反省している様だ…心配を掛けたと言う面ではあれだが、まあ錬金術を使わせ過ぎた俺達にも非があるし、責めるようなことは言わなかった。
気を取り直して周りを見ると、ここは昔畑だけあって、作物の植えられた後があったが…あるのは枯れた葉っぱや雑草ばかり…目につく物は見当たらなかった。
「どうやら、この廃村にはめぼしい物は無さそうだな…あわよくば…と思ったんだが、まあ仕方ないな。」
「リュウノスケさん…何か探しているんですか?」
彼女が聞いてきたので、そうだ!と、ふと思い出す様にしてリュックを開いた。
そこから俺は、彼女にあの二つの物を取り出して見せることにした。
「これ、俺が湖復元アイテムの記録を考えている時についでに取っておいたんだけどさ、見てくれないか?」
「えっと…これは水と…土?」
彼女は渡したビーカーの水と、包帯に包んだ赤土を手に取ると、首を傾げていた。
説明も無しに渡したので、どうやらただの水と土にしか見えてないみたいだ、折角だし教えることにしよう。
彼女から二つを返してもらうと、俺も状況管理のために順番に説明した。
「一つ目、ビーカーに入れた湖の水だ。
これは左右にある湖のある地点を挟んだ中心の地点から取ったんだけど…どうやら『中和されてる』みたいなんだよな…分かるか?」
「えっと…どう言うことですか?」
「ただの水に見えるけど、簡単に言うと"純度の高い水"だ。
これをベースにして湖の純度を戻せればと思ってな…採取してきた。取り敢えず『中和水液』とでも覚えてくれ。
あと、こっちの土何だけど…ミッシェルが言うには魔力に反応する土らしい。フィオラは知らないか?」
「あっ、それって数百年前に賢者様が魔力を与えたって言う…。」
「そうそう!それなんだけど、偶然にもあの近くの森の土がそうだったみたいなんだ。
『赤魔土』と勝手に呼んでるけど…もしかしたら周りの植物や動物にエネルギーを与える物が作れる触媒になるかもって思ってな…どうだ?」
そこまで説明すると、ぽかんと話を聞いていたフィオラが、突然ぱちんと手を鳴らしながら合わせて驚いた。
同時に嬉しそうなのか、感動しているのか…何とも言えないキラキラした目で俺を見ながら口を開いた。
「わぁー!素晴らしい!素晴らしいですよリュウノスケさん!!
そのイメージ力…やっぱりリュウノスケさんは錬金術に理解があるだけあって…もしかしたら私よりも錬金術の才能があるかもしれませんね!」
「えっ?そ、そうか?そんなに褒められると照れるな…。」
「うんうん!やっぱりリュウノスケさんはどんな事でも"ぱーふぇくと"です!」
ぎこちない発音で"完璧"だと褒めてくれるフィオラ。可愛い。
流石に一般人の俺じゃ錬金術までは無理だけど…現実で培った様々な経験が何だか錬金術に多大な評価を受けているみたいだ…悪くない気分だな。
と、説明も一通り済んだ所で彼女にそろそろ戻ることを提案した。
周りも暗い…一旦合流した方が良さそうだからな。
すると、彼女があっと思い出した様にしてベルトポーチから数種類の花を取り出した。
「これ!そう言えばふらふらになる前に取った花何ですけど…もしかしたら使えるかも知れませんので、合流したら説明しますね!」
手に持ったのは紫と黄色が斑に交ざった、変わった色合いの小さな花…どうやら先の話を聞いて、記録に整合性があるかもと思ったらしい。
気にはなるが今は合流が先だ、ミッシェルと合流しに戻ろう。
「気になるな…分かった、後で聞くよ。さて、さっさとアイツの所に戻るか!
多分あの巨鳥の近くに居る筈だ。」
「はい!戻りましょう!」
こうして、俺は取り敢えず一段落と見て合流を図ることにした。
もう日が沈みきる頃だ…そう言えば帰りの事を考えてなかったな…どうしようか。
─そんな事を考えながら歩く竜之介と、少し寝たお陰かやけに元気なフィオラは、ミッシェルと合流するために、連なる丘の草原へと戻っていった。
彼らが去ったあと…廃村の中心。
枯れきった井戸の中から地上に這い出る手…そして、そこから現れた人物は、小さな小石を手に、その歩く二人の背中を見て呟いていた。
「全く…気になってこそこそと憑いてみたが…石を投げ込む奴がおるか!
まあ我は寛容だからな、許すとしよう…。
それにしても…やはりあの少年…ふふ、相当に知力に溢れておるな、それに優しい心と切れる頭…あとは鍛えられた力かの?
中々興味深い…また近い内に会おうぞ…"賢明な少年"?」
ヒラリと特徴的なマントを翻し、こそこそと帰っていく小さな背中がそこにはあった。




