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フラワーアルケミストと異世界旅行 作者:此峰 優
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共鳴する光

ご閲覧ありがとうございます!
 今回はちょっとした展開話です。あと(余談は)無いです。あと投稿遅くてごめんなさい…ゴリラ反省…ウホッ…ウホッ…。
「ミッシェルー!」

「あっ!フィオラ!良かったー…見当たらないから何処に行ってたのかと思ったよー!リュウノスケも一緒だったんだね!」

「おう、ちょっとな。
よし、合流も出来たし少し休憩と行こうか?」

 無事に合流した俺達は、巨鳥(かのじょ)の元で一旦休憩を取ることにした。
 それに、やるべきことはどうやらほぼ終わっているみたいだ。

 ミッシェルも動物達の治療は完了し、フィオラも目的の物は既に手に入れている。
 俺もある程度調査も出来たし…何だかんだ記録(レシピ)も浮かんできた。

 これなら充分な結果が得られるだろう…だが、その前に少しだけブレイクタイムだ。

 見下ろす彼女も、満足げな俺達に期待の目を向けている。
 翻訳機を取り出すと、彼女と少し話をするためにそれを向けた。

「どうやら準備が完了しだい出来そうだ、もう少しだけ待ってくれるか?」

 すると、彼女はこくんと頷き、反応した。

 遠い星の浮かぶ広大な空を見上げ、目を潤わせている…ここは彼女にとっての家みたいな物だろうからな…それが戻ってくるとなれば込み上げる感情の一つや二つあるのかもしれない。

 翻訳機から言葉は出ない。しかし、その大きな瞳を見つめているだけで、彼女の声よりも深い…心が直接聞こえる気がした。

 すると、フィオラが先程廃村で見せたあの花を目の前に取り出した。そう言えばどんな花なのか聞いていなかったな。
 ミッシェルも不思議そうに見つめるその花の事を、彼女はにこりと笑うと説明を始めてくれた。

「これは近辺の丘の上に咲いてた花なのですが、この特徴的な斑模様(まだらもよう)…多分この花は『トキマダラ』と言う花ですね。」

「『トキマダラ』?珍しい花なのか?」

「はい!この『トキマダラ』の蜜には、周辺の植物や、仲間の『トキマダラ』の成長を促す栄養の様なものを大量に含んでいるんです!
 それも周りの地面や空気の圧力がバランス良く整った場所にしか咲かないんです…偶然にもすぐ近辺の丘が条件に合っていたみたいでして。

 今回はこの1輪だけでしだが…もしかしたらリュウノスケさんの集めてきた物と合わせたら何か出来るのでは無いかと思いまして!」

 彼女の丁寧な説明によると、その蜜にあるのは植物を飛躍的に育たせる成分があると言うことだ。
 その性質と俺の集めてきた二つを合わせる事で出来そうな物…湖の穢れを吸い、周りの植物にも栄養を与えそうな物…。

 ふと、そこで考えたのは昼間の事だ。
 しかも湖面を調べる前…そう、フィオラが持ってきた『コブネダケ』の事だ。

 あれを彼女は"促進剤"と錬成することで『オオブネダケ』を作った…だとすると、植物を巨大化することは可能…。

 そして、手元にあるのは純度の高い水と、魔力を備えた土…もしもそれが自然の(サイクル)に干渉することが出来るならば…!


 俺の中で渦巻いていたイメージが形を成していく。

 それは次第に俺の中で、一つの幻影(ファントム)を写す形で頭の中に浮かんでくる。
 一つのそのシルエットが、答えが、これまで集めた物を全く別の物へと変換するかの様なイメージ映像が鮮明に流れてきた。
 切られたバラバラの糸を…一つの線へと繋げていく…そんなイメージが。

 俺が思い付いたのは、一つの『種』だった。

「これなら…"完璧(パーフェクト)"だ!!」


 俺がそう呟いた時だった。

 フィオラがあまりにも深く考えている俺を心配してか、声を掛けてきた。

「リュウノスケさん?もしかして何か思いついたんですか?もし良かったら私にも…」


 と、彼女が言い掛けた時…ふと、彼女の手が俺の手と触れ合った。
 手を握ろうとしたのだろう…だがその行動が、思いもよらぬ事を発生させたのだった。

 彼女が俺の手に触れたとき…それは起きた。


 急に俺の耳に、ピィーン…と弦を引いた時の様な音がした…そして、まるで一筋の糸を指で伝う様な感覚が、頭を突き抜けた。

 その瞬間、突然ブワッ!と俺達の周りの風が巻き起こり始め、俺達は咄嗟に身を庇った。

「っ!何だこの風!?今のイメージ…それにこれは…。」

「あわわっ!何々!?引っ張られるー!」

「ミッシェル!?」

 突然起こった突風に、ミッシェルが足元をふらつかせながら後退していく、まるで別の何かに引っ張られる様にだ。

 それを見ていた俺は、ふと光を隣から感じた。
 暖かい光…つい最近この光を受けたような気が…。

 と、ゆっくりそちらを見ると、フィオラが驚いた表情で立っている。
 それも…彼女の胸元に付けたあのペンダントが、とてつもない光を発し続けているではないか。

 俺はその光を見て、咄嗟に手を伸ばし、彼女の名前を呼んだ。


「フィオラー!!」

「ッ!リュウノスケさん!!」

 彼女も呼応して俺の名前を呼んで手を伸ばした。

 彼女の手と、伸ばした俺の手がお互いに絡み合った時…彼女のペンダントは一層輝きを増して光を放った。

 直ぐ様彼女の手を引き(おもむろ)に抱き締めた。
 そして…その強大な光が俺達二人を包んで…俺らは完全に視界を失ったのだった。

 視界と同時に聴覚も感覚が無くなっていく…どうなっているんだと思いつつも、不意に抱き締めた彼女だけは離さず…しっかりとその温もりだけは感じていた。

 光に奪われる感覚の中、ミッシェルが俺とフィオラを呼んでいる声が微かに聞こえたが…俺達はそれに反応することは出来なかった。


 光をこの身に受けてから、少し過ぎた時だった。

 急に俺の頭の中に映像が流れ始めたのだ。

「何だ…これは?それにこの感覚…。」

 流れてくるのは文字、風景、人…どれも見たことのない物だ。
 それに直接流れ込むこの暖かい感覚…感情…思い、考え…それが俺にどんどん同期されていく。

 まるで他の誰かの記憶や考えを共有しているかの様な…。


 そこまで考えた所で、俺は身体の力が抜けていくのを感じ…その場で倒れ込んだ。

 ドサッと衝撃が身体を襲った瞬間、目の前に広がっていたイメージと、俺達を包んでいた光は急に消え去ったのだった。

 そして、そこには目を閉じて立っているフィオラ…光は淡くその色を残しながら彼女の胸のペンダントへと消えていくのが見えたのだった。

「痛てっ…あっフィオラ!」

「わわわわ!!何が起こったの!?リュウノスケ大丈夫!?」

 いつの間にか聴力も戻っている。叫びながらミッシェルが慌てて向かってきている。
 直ぐ様立ち上がった俺は、まだチカチカする目を一生懸命擦って慣らし、目の前で立ち尽くす彼女に声を掛けた。

「フィオラ!おい!大丈夫か!」

「ん…うーん…?」

 身体を軽く揺さぶると、彼女はゆっくりと目を開けた。良かった…どうやら何とも無いようだ。

 彼女は目をぱちくりとしながらいつもより瞬きを多目にしている、どうやら(こと)の発生に困惑している様子だ。

 俺も大分混乱しているが…何故急に光が…。

 胸のペンダントはもう光を放っていない…一体何だったのだろうか。

 彼女が少し身体を傾けると、ふらふらと膝からその場に崩れてしまった。
 俺も慌ててしゃがみながら声を掛けた。

「おいおい大丈夫か!?何ともないか?」

「いえ…大丈夫です…。
今の…何だか見たこともないイメージが私の頭に流れてきた様な気が…。」

「まさか…フィオラもか?」

「えっ?リュウノスケさんも…ですか?」

※※※

 暫くして落ち着いた俺達は、さっきの光についてずっと思い悩んでいた。
 あの映像はどうやら彼女にも見えていたようだ…しかも俺とは全く別の…一体何が起こったのだろうか。

 検討も付かずに起きた事象を、フィオラは胸のペンダントを握りしめながらうつ向いて考えている様だ。
 俺も検討が付かない…ミッシェルも混乱してるみたいだし…俺も半分混乱ぎみだ。

 すると、バサッとはためく音が聞こえ振り向くと、巨鳥(かのじょ)が何かを伝えようとしていた。
 慌てて翻訳機を翳す…すると彼女はその光について心当たりがあると言ったのだった。

『その光…もしかしたら貴方たちは今"共鳴"をしたのでは無いでしょうか?』

「何だ?その"共鳴"ってのは?」

 共鳴…何だそれは?

 彼女はバサバサと翼を使って体勢を起こすと、俺達を近くで見下ろすようにして話を続けた。

『その"共鳴"と言うのは…古の賢者の御業(みわざ)…少女よ、そのペンダントに込められているのはもしや"賢者の花"では無いのか?』

「えっ?どうしてそれを…?」

 どうやら、彼女はこの"賢者の花"の事を知っている様だ…それに、この花が何らかの関係があると見て間違いない。

 彼女はそれを説明し始めた。



『その花は…その昔一人の錬金術師が、禁忌を犯してまで作り上げた神の花…。』

 作り上げた…錬金術師って…。
 まさかと思い、話に割って入った俺は質問を投げ掛けた。

「おいまて…その錬金術師って…フィオラの母親じゃないのか?
 じゃああんたは…フィオラの母さんと会ったことがあるのか?」

『ええ…古き私の『友人』ですよ…。』

 俺がそう聞くと、彼女はそう言って頷いた。

 隣に居るフィオラも、どうやら驚きを隠せないようだ。
 まさかフィオラの母親と知り合いだなんて…これも何かの運命だったのかも知れないな。

 そして、続けて彼女は話を続けた。

『その力を得た者は、(ことわり)を越えた存在と世界の"糸"を繋ぐことの出来る業を使うことが出来る。
 それだけではない。強大なその力は、手にする者の力を増幅させられる…。そして…その力は賢者としての域に達するのだ。

 それが"共鳴"…(ことわり)の違う存在と()を共通する力だ…。
 つまり、貴方たちは今…お互いの()を共有したことになるのですが…多分同じような思考を巡らせていたのでは無いですか?それが共鳴の原因かも知れませんね。

 試しに何か思い浮かべて見ると良いですよ。』

 同じような事か…ちょうど記録(レシピ)の考え事を同時にしてたって事もこの状況ならあり得るかもな。

 言われるがまま、少し考えてみた俺は、驚くことにすんなりと知らないイメージや何かが浮かぶことに気付いた。

「…確かに考えるとさっきまで思い付かなかった景色やイメージ…それに何だか不思議な感覚がするな。」

「私もさっきからリュウノスケさんの考えた記録(レシピ)ってどんなのだろうと考えたのですが…何と不思議な位パッと思い浮かんだんですよ!さっきまで全く分からなかったのに!」

「何!?やっぱりか…じゃあ共鳴もこれが…。
 もしかして…フィオラが今思い浮かんだのは…『種』じゃないのか?」

「そうです!!…やっぱりこれってリュウノスケさんと…?」

 お互いに目を見合うと、俺は素直に頷いた。
 どうやら…摩訶不思議な事に、俺とフィオラは物凄い事に、遭遇してしまったらしいな。

「ああ…どうやら、本当に"共鳴"しちまったみたいだな。」

 思い浮かぶのはイメージだけではない…ちょっとした記憶もどうやら思い浮かぶようだ。
 詮索するような真似をしたくないので、あまり考えることはしなかったが…こんな事があり得るとは。

 多少パニックになりながらも、俺達は一旦冷静さを取り戻すために、改めてその場で座り込んだのだった。

 共鳴…急だったが、良く考えたら凄く便利かもな。

 意図的に一部だけ共鳴…なんて出来たら…俺が考えたイメージや知識…経験何かも、彼女の力として与えられる…何て、そう都合良く出来たら良いかもな。

 すっかり沈みきった宵闇の星空の下、ミッシェルは起こったその事象に頭を抱えながら座る。
 一方それすら利用できないかと貪欲さを(あらわ)にする竜之介。
 そうとは知らず、ただペンダントを握りしめ、形見の主を思い…空を眺めるフィオラの姿がそこにはあった。
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