翻訳機…?
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「準備が完了しましたよ!」
フィオラは青いその錬金術の箱をしっかりと地面に起き、俺が渡したノートと鉱石をまとめて入れた。
何度も見て思うが…そもそもノート何かは箱の大きさに合っても無いのに入る…と言う現象には本当に不思議に思う。
一度で良いから分解して見たい…と言うのは冗談だ。
素材を入れ終わったフィオラは、『翻訳機』の錬成に取りかかる。
「いきますよ…。」
「わくわく!」
「こらミッシェルもう少し離れろって、危ないぞ。」
俺とミッシェルは、その力の反動に晒されない様に距離を取り、出来るだけ邪魔にならない場所で見守る。
フィオラは青いその箱にいつも通り両手をかざし…錬成する為の呪文とやらを唱え始める。
「…古の言葉を今、地なる者達に与える為の遺物をここに…。」
彼女がそう小さく呟くと、その言葉に反応した箱はカタカタと震えだし、青色の不思議なラインを発光させる。
箱からは青白い光と、今度は黄色い光を廻りに散りばめていく。今回はどうやら光の量が違うらしい。
そこで、ミッシェルが少しだけ話してくれた。
「実はね、フィオラに聞いたんだけど…この小さな光は色の種類や量で、錬成の難しさが分かるんだって。
一色なら簡単、二色なら難しい、三色ならそれよりも…四色は…確かフィオラのお母さんが一度だけ成功してる見たいだよ?
私達は『元素の光』って呼んでるんだー♪」
「『元素の光』…か。」
元素って事は、この錬金術は自然のエネルギーを使っているのだろうか…?
だとしたら、その光は自然そのものの光…青色は水とか、黄色は電気…見たいな解釈だろうか?
まあ何れにせよ、その自然のエネルギーを変換し、物質の環を覆していると言うのは理解できた。
「くっ…中々、力の調整が…難しい…です!」
「大丈夫かフィオラ?」
「何とかなりそうです!」
フィオラがより一層力を込め、両手を大きく開いてかざしている。すると、周りに散りばめられた光は次第に箱に収まっていく。
彼女も辛そうだが…その一息を押すように、また…彼女のペンダントが光始めた。
「賢者の花が…?」
彼女は気付いて居ないが、眩き光をその胸に宿している…もしかしたら、彼女の母親が手助けをしているのかも知れないな。
その光の影響もあってか、順調に光は収束を始めた。
そして…全てそれが箱に収まり、青いラインは点滅する…それを合図にカタカタと箱は震え、ポン!っと可愛らしい音を立てると、錬成は…無事に終了したのだった。
ふう、と汗を一滴流しながら、彼女は一息ついた。
生唾を飲み込みながら見ていた俺とミッシェルも、その成功にほっとしていたのだった。
「良かったです…失敗するかと思いました…あはは…。」
「ありがとなフィオラ、大分無理をさせちゃったみたいだけど大丈夫か?」
「はい!大丈夫です。これぐらい出来なくては錬金術師としての恥ですからね!」
「はは、そりゃ頼もしいな。」
ふと見ると、いつの間にかまたペンダントの光は消えている。
彼女が錬金術を使っている時に光っているが…やっぱり力を貸しているのは当たりかも知れないなら、
「どうしたんですかリュウノスケさん?
私のその…胸元を見て…。」
「あー!!リュウノスケ!このピチピチスーツが汗で更にピチピチしてるからってー!どすけべー!」
「ちげぇよ!確かにピチピチだけど!ピッチピチの女子にピチピチスーツとか最高だけど!違うから!」
「リュウノスケさん…それ弁明になってないんですけどー…。」
「あっいや、マジでそう言うのじゃないから、ドン引きしないでくれると助かるかなフィオラさん。」
※※※
さっそく箱をひっくり返すと、中から丸い防犯ブザー見たいな形の物が出てきた。
どうやらスイッチ見たいな物は見当たらないし…あるとしたらこの小さなアンテナだけか。
まるでたま○っちの模造品みたいな形をしては居るのだが…本当に大丈夫だろうか?
「これ…使えるのか?」
「多分…その小さい棒を向ける…とかですか?」
「何か可愛い形してるね!私にも触らせて!」
「ダメだ、お前さっき俺の懐中電灯壊したばかりだろうが。」
「ちぇー…けちー。」
ブーブーと拗ねるミッシェルは放っておいて…取り敢えずは『翻訳機』の完成と見て良いだろう。
さっきフィオラが言った通り、これを向けるだけで声が聞こえたりするのだろうか?
半分興味と好奇心で、時間が無いと言う状況ながらも…その"楽しみ"と言う感情を拭う事は出来なかった。
俺もまだ子供…かも知れないな。
「さて!翻訳機も出来たし、直ぐにでも戻るか。」
「えー!?あの鳥の所に行くの!?」
ミッシェルが驚いて俺にそう言う。
まさか…まだ怖いとか思ってるのでは無いだろうな…と思っていたら、どうやら図星の様だ。本当に何しに来てるんだこの小娘は…全く。
「別に来なくてもいいけど置いてくからなー、何か進展あっても言わないぞ?」
「もう!ミッシェル今日は私達の護衛って事で来てるんでしょ?
リュウノスケさんばかりに迷惑かけちゃダメだよ!」
あっ…フィオラスッゴく良いこと言った!
今日スッゴく頑張ってる気がするからな!素直にそう言われると嬉しかったりする。
内心その言葉にジーンとしながら、この隣の美少女様を撫でたい気持ちを抑え…ここは紳士的にミッシェルの説得をする。
「ミッシェル、ここはチームワークが大切だ…安心しろ、危害は無いと確信できるから。」
「でも!私のお菓子取ったしー!私損なことしか今日無いしー!リュウノスケ信用出来ないー!」
往生際悪く、駄々をこねるミッシェル…フィオラもため息を隠しきれないのであった。
確かに、さっきから信用されないお兄さんと化しては居るが…そこまで警戒しなくてもいいと思うのだが。
いや…もしかして彼女なりに何か危機を感じているとか?それならまあ躊躇する可能性もあるが…。
「ミッシェル…後でお前の知らないお菓子作ってやるから!」
「マジ!?いくいくー!」
前言撤回、やっぱりアホだったこの娘。
危機感じゃなくて餓鬼感だったわ…本当にこの小娘は…まあ良いだろう。
支度をし、少しの間使わせてもらったこの『ハウスビーンズ』に感謝をしつつ、この場所を出た。
ミッシェルはまだ俺の後ろでビクビクしてるが…まあ付いてくるだけマシか。
取り敢えずミッシェルを説得した俺達は…翻訳機を手に、巨鳥の居た湖の木陰へと戻ることにしたのだった。
※※※
目的の場所に向かう途中で、片手に持っていた翻訳機をふと、色んな場所に向けてみた。
やはり何も聞こえない…本当に機能するのだろうか?
「ねえねえリュウノスケ、それ本当に大丈夫なの?」
「うーん…フィオラを疑う訳では無いんだけど…実際機能して見ないと不安だなぁ。」
「そうですね…私も不安です。
こんな時にリベルさんのモノクルがあれば良かったんですが…借りてくれば良かったですね?」
「あー確かになぁ…もっと近づかないといけないとかだろうか?」
確かにリベルさんの"心眼のモノクル"があれば、物の状態が分かる上、使い方も分かる。
リベルさんが来なかったのがここで悔やまれる所だろうか。
ふと、俺は何を思ったのか、ミッシェルにその翻訳機を向けてみた。
「えっ?私に向けても『翻訳』は意味ないと思うけど…?」
「いや…お前小動物みたいだから。」
「何それ!?人として見てよ!?」
ちょっとした茶番的に、ふざけて翻訳機をミッシェルに向ける。
と、その時、向けた翻訳機の小さなアンテナが揺れ始めた。
「うおっ!?反応したぞ!?」
「えっ!?」
フィオラも不思議そうに俺の側で翻訳機の挙動を見ていた。
ミッシェルに反応しているのか…大きく揺れるアンテナは止まることはない。
ミッシェルもあわあわと困惑している所で、その翻訳機から…声らしき物が聞こえた。
これは…ミッシェルの声か?
『…なか…いた』
何か聞こえる。
俺とフィオラは耳を近づけて、その言葉を聞いてみる…ボソボソとした声だし、途切れ途切れだが、確かにミッシェルの声が聞こえる。
「な、何か聞こえるの?」
「シッ!静かにしろミッシェル…何か聞こえるんだ。」
良く耳を済ませて…その声を聞く。
次第にそれはハッキリとした音声で聞こえるようになり、その言葉は…とても面白い物だった。
『お腹…空いた。』
「お腹…空いたー!?」
「ぷっ!あはは、お腹空いたってどう言うことですかミッシェル!うふふ。」
「えっ!?私何も言ってないよ!?」
確かに、ミッシェルは何も言ってないが、この翻訳機からは確かに『お腹空いた』と声が聞こえたのだ。
どう言うことなのかと思っていたが、俺はこの翻訳機がどういう原理で働いたのか…多分理解した。
「分かったぞ!これ…翻訳機は翻訳機でも
『相手の心を翻訳する機械』だこれ!ちょっとイメージと違うけど…。」
フィオラも理解した様で、ポンと手を叩いて笑った。
「成る程!では今のはミッシェルの心の声を翻訳したんですね!
それにしても…うふふ、ミッシェルまだお腹空いてるんですか?」
「な、何よー!悪い!?もー知らない!」
俺とフィオラは笑いながらも彼女に謝った。
不意に使ったとは言え、勝手に心を読んでしまったからな。
しかし…それでもこれは凄いぞ。
心を読めるなら寧ろ『翻訳』よりも使えるのかも知れない。何せあの巨鳥の本心そのものを聞ける可能性だってあるわけだ。
これは…大成功かも知れないな。
と、俺が目を離した隙にミッシェルがぱっと俺の手から翻訳機を取り上げ、今度は俺に向かって使い始めてしまった。
「隙ありー!」
「がぁ!?や、やめろミッシェル!」
「ふひひ…今度はリュウノスケに使ってやるもんね!どんなこと考えてるのかなー?」
ミッシェルが俺にアンテナを向けると…それは大きく揺れだし…次第に俺の声がその翻訳機から流れる。
その声は…俺がさっき少し考えていた事全てを晒してしまったのだった。
『ミッシェル…やっぱりこうやって拗ねてる姿とかも案外可愛いよな…もう少し大人しければ超絶可愛い女の子なのになぁー。』
「ほ、ほへっ!?」
「がぁぁあああ!!!」
やっちまった…。
俺の心は見事に言葉として変換され、出力された。
その言葉はさながらお互いの羞恥心を打ち砕く破壊力を備えてしまっていた。
俺は恥ずかしさで崩れ去り、フィオラはあわわと顔を赤くして戸惑っている。
それよりも酷いのは…顔をそれより真っ赤にして言葉を失っている…ミッシェルだった。
「かわ…わわかわわ!」
「だからやめろって言ったじゃねぇかー!!」




