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フラワーアルケミストと異世界旅行 作者:此峰 優
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"言葉"を得るために

 ご閲覧ありがとうございます!
 ここで私事ですが、少ないながらもアクセス数やブックマークを頂いている事に感謝の極み…恐悦至極でございます。

 あっそうだ(唐突)よろしければ少なくてもいいので評価やブックマーク等を頂けると幸いです(隠しきれない欲望)
「おい!フィオラ!ミッシェル!」

「わ、わあ!?リュウノスケ!?」

「あっ!リュウノスケさんお帰りなさい!」

「ん?どうした?」

 俺は湖での一件を済ませ、仮説も立証できた所で、足早にフィオラ達の居る『ハウスビーンズ』の空洞へと戻ってきた。

 中に入ると何故か薄暗く、俺が設置していた筈の疑似照明は無くなっていた。
 それに…何だか二人とも顔がひきつっている。

「ぶ、無事に帰ってきたんだね!良かった良かったあはは!」

「何だそのあからさまに隠し事をしている表情は…んんー?」

「びくぅ!…何も無いよね!フィオラ!」

 ミッシェルが明らかに動揺を隠せない素振りでフィオラに話を振ると、それまでひきつった笑顔を見せていたフィオラが、途端に青ざめ…するーっと顔を背けた。何この子達、隠し事隠すの下手すぎるだろ。

 そう言えば…俺の懐中電灯は何処だろうか?
多分二人が持ってると思うんだが…。

「なあ、俺の懐中電灯…。」

「かかか懐中電灯ナンテシラナイーヨ!私触ってないから!壊してないから!」

「ちょっとミッシェル!それじゃバレバレですよ!」

「あっ…ふーーーん…?」


 察した。

 コイツら…俺が命懸けで作戦を実行していると言うのに…とんだ茶番を繰り広げていた様だな。
 全く…今すぐにでも怒りたい所だが…ここは抑えて目的を優先しよう。

「ほら…お兄さん怒らないから…正直に言いたまえミッシェル君、フィオラ君。」

 寛容かつ威厳ある態度を見せながら、出来るだけ二人を怯えさせない様に尋も…んーじゃなくて質問をする。
 俺のその態度に引っかか…じゃなくて心を許したのか、二人は正直に話し始めた。


「実はー…この懐中電灯何ですけど…。」

「私達が遊んでたら…壊しちゃった…てへ♪」

 ミッシェル達が取り出したのは、レバー部分とその接続端子から照明部分に掛けてヒビが入った懐中電灯だった。
 どうやら…レバーを思い切り回しすぎて壊れたのだそうだ。

 そこで、俺はそれを受け取り…二人にある話をした。


「いいか二人とも…この世には信じては行けない油断させる為の言葉って物があってだな…聞かせてあげよう。」

「えっ?それは…?」

「油断させる…って…えっえっ?」


 俺はポカーンと口を空け、頭にはてなを浮かべている彼女達に対し、最上級の微笑み…と言うカモフラージュをしたお怒りを込めてそれを教えたのだった。


「信用してはいけない言葉ってのはな…そうだなぁ?
 『お兄さん怒らないから正直に言いなさい』…とかだろうかねぇ?
なあ?二人とも…?」

「あっ…わわわわ…!」

「キャァアアア!!ごめんなさーーーい!!!」

※※※

 壊れた懐中電灯を眺め、ホロホロと涙を流す俺の横には、俺の鉄槌で頭に綺麗なダルマさんの様に連なったたんこぶを付けた二人が正座して待っていた。

「うぅー…リベルさんにもぶたれたこと無いんですよ!」

「女の子は大切にしてよ!どーてー!」

「うるさいんじゃい!フィオラはア○ロか!!
あとミッシェル!お前もうその発言確信犯だよな!?関係ないって言ってるダロォ!?」

 二人もうるうると涙を流して何とも言えないギャグ漫画の様な顔面崩壊を起こしている。これでは可愛い顔が台無しだが…まあやってしまった罪は償わなければならない。

 俺はため息を付きながら、改めて冷静に彼女達に声を掛ける。

「ほら、二人とももう許したげるからその作画崩壊した顔面をやめろ。
 崩れすぎて某アニメの…何だっけ、何とかる~ん見たいな感じに小さくなる…ってコイツらに言ってもわかんねぇわ、何言ってんだ俺は。」

「うるるーん?」

「フィオラ、それ近いけどそれだとウル○ン滞○記見たいに聞こえてくるから…って俺そんな年代の人間じゃねぇよ!」

「もんすーん?」

「いやそれ偏西風(モンスーン)!全然関係ないから!それにそんな季節じゃないだろ!」

「いんらーん?」

「コラコラコラそれフィオラが一番言っちゃダメな発言だから!
女の子がそー言う言葉使っちゃいけません!ってかお前らわざとだろ!?」

 二人は目をぱちくりし、まるでデフォルメキャラになってしまったかの様な印象を残しつつふるふると首を横に降った。
 その無機質な感じスッゴく腹立つんだけど…。

 とにかく、気を取り直して二人には事の経緯を話すことにした。

 懐中電灯は…まあ後でどうにでも直せるだろう。
 それよりも、あの巨鳥がもう敵意が無いと言うことと、弱ってしまっている事、それに"グジラボール"の探索の事についても話した。
 あの巨鳥…あのままだと衰弱して死んでしまうかも知れない。それの原因が人間の作った物だと言うことと、もしかしたらそれも"グジラボール"が見つからない原因に含まれているかも知れないと言うこと。

「成る程…じゃああの鳥さんはここに住んでいただけって事ですか?」

「ああ…それに衰弱してる、食料を狙ったのはどうやらそのせいらしい、人間を襲ったのもな。」

「あと…その"グジラボール"に関する懸念…と言うのはどう言うことなのでしょうか?」

「確かに!その鳥が攻撃して来ないなら今のうちに探しちゃえば?」

「ミッシェルの言うとおりだが…どうやらそう簡単に事が運びそうに無いんだよな。
 俺達はその貴重な食材を手に入れる前に、もっと根本的な事をしなくてはならない気がするんだ…もっと…"自然に対しての事"を…な。」


 前に俺が確認した岸辺の植物の変色や、湖の生物が見当たらないこと…それを踏まえての新しい仮説に過ぎないが、関係が無いとは思えない。

 確か…"グジラボール"のカテゴリーは
【エリクシール】【植物】【食材】そして【毒】だったか。【毒】は置いておいて、【植物】と【食材】のカテゴリーを持っている以上は、些細な環境の変化が自身に影響を及ぼす可能性もあるだろうと考えていた。

 それが『生物循環式』の物となれば更に話は深まるだろう…あの湖は、少なくとも汚染されている。
 だとしたら、"グジラボール"の生成されると思われる"ミッシェルの花"が咲いている湖が汚染されていれば、何れにせよ"グジラボール"の生成する条件を失っている可能性もある。

 その生態は良く分からないが…隣接生成されると思われる植物であるなら、何らかの理由で見つからない様になっている…そうじゃなければさっき花の群生地にオオブネダケで向かった時に既に見つかっている筈だ。

 この仮説を考え、曖昧な情報で事を進めるにはあまりにも無謀…これでは例え原因がそれだとしても解決には至らないだろう。

 それを踏まえ、フィオラにある話をすることに。ミッシェルにも手伝って貰わないといけないので、勿論彼女にも加わってもらう。

「フィオラ、今から大事な事を君に頼みたいんだけど…フィオラしか出来ないことだ、聞いてくれるか?」

「えっと…私に出来ることなら何でもしますよ!」

「そうか…じゃあちょいと幻想的(ファンタジー)な話になるが…作って貰いたい物がある。」

「それは…どういう?」

「それはな…ザックリ言うと『翻訳機』だ。
あのバカデカイ鳥の…言葉を聞きたいんだ。」

「あの鳥さんの…ですか?
それが"グジラボール"の採取と関係があるのでしょうか…?」

「ああ心配するな、ちゃんと考えて頼んでいるし確証もある。

 第一に、あの鳥はどうやら長年この湖で生きてる様だと言うこと。
 それはアイツが食料を(あさ)る場所を見て分かった。どこも動物の寝床になりそうな場所や、植物が群生しそうな場所ばかりを見ていた…恐らくここ一帯の地形や物、重要な場所は覚えている筈だ。

 第二に、あの鳥がそれを踏まえて"グジラボール"の存在を知っているかも知れないからだ。
 アイツの食料難の原因が聞ければ、それを元に失われた食料や植物…動物の情報が分かるかも知れない…どうだ?分かったか?」

 説明が難しかっただろうか…少し考えた後、フィオラは端的に考えをまとめた様で、それとなく言葉を返した。

「つまり…『翻訳機』を使ってあの鳥さんからこの辺りの情報を教えてもらって…出来ることならその障害になっている物を取り除きたいって事で…良いでしょうか?」

完璧パーフェクト!障害除去まで分かってくれたか!流石天下の錬金術師フィオラちゃんだぜ!」

「良かった…えへへ…でも"ちゃん"付けはやめてください、何だか恥ずかしいので…。」

 恥じらう様子を見せながらも、その理解力の早さには感服だ。これなら事が良く進みそうだ。

「で、その『翻訳機』はどうだ?作れそうか?」

「イメージは出来てますし、後は素材が有れば…特に"文字"に関する物が有れば失敗はしないかと。」

「"文字"か…それって源の言葉(ファフト)って事か?それなら…。」

 俺は思い当たる節があり、その場で背負っていたリュックを開いて一冊のノートを取り出した。

 それは以前リベルさんに源の言葉(ファフト)を教えて貰う際に俺が書き写していたノート…これなら『源の言葉(ファフト)』としての役割を果たしそうな気がしたからだ。

 それをフィオラに渡し、中身をペラペラと捲る。

 すると、フィオラはうんと頷いてそれを閉じて言った。

「これなら充分な情報量です!本当に貰ってもいいんですか?」

「おお!使えるなら使ってくれ!
それがまた新しい目的の(いしずえ)になるなら本望だぜ。」

「分かりました!では幾つか持ってきていた鉱石と錬成して、その『翻訳機』を作って見ますね!」

 フィオラは目の前に箱を取りだし、『翻訳機』の作成準備に取りかかった。
 少し時間が掛かるらしく、それまではこれからの行動をまとめて置くとしよう。


 と、そこでふう…と一息ついて座ると…すっかり忘れていたミッシェルを見た。
 目をぐるぐるしながら頭を抱えて顔を真っ赤にしている…大丈夫だろうか。

「おーいミッシェル…ついてきてるかー?」

「あ、頭がぐりゅぐりゅして分かんないぃ~…二人とも何でそんな難しい話出来りゅの~?
頭ぐりゅぐりゅだよぉ~…。」

「お、おう…情報弱者だったかミッシェル…呂律(ろれつ)が回ってなくて何か可愛いけど…。」

「うぅ~…。」

 頭を抱えて混乱するミッシェルをフォローしながら、俺はフィオラの錬金術の準備を見守ったのだった。
 ふと顔を外に出して空を見ると…そろそろ暁の雲が影を落とす頃だろうか…少し茜がかった空が見え始めている。

…今日は野宿になりそうだ…とため息を付きながら、竜之介はその時を待ったのだった。
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