チャンスを待つ
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ちょっと諸事情で短めです!申し訳ない!
『ハウスビーンズ』の空洞、竜之介の設置した簡易的な明かりの中、ひっそりと女の子二人で竜之介の帰還を待っていた。
火を使ったランプよりも断然明るいその不思議な物に、ミッシェルは理不尽に取られたお菓子の事等はとうに忘れ、その明かりを見つめていた。
この懐中電灯の明るさは大体100ルーメン程の明るさレベル…現実で言うホームセンター等で手に入れるとすればお札一枚でお釣りが帰ってくる程度の一般的な物だ。
それでも、この世界にとってその100ルーメン…と言う単位の数字は、常に照らす太陽と同等かと錯覚する程の明るさに見えていた。
「これ本当に明るいよねぇ…何で動いてるのかな?魔法とか?」
ミッシェルが興味深そうにその懐中電灯をツンツンとつついたり、覗き込んだりしていた。
丁度明かりが出ているぶぶんを直視したために、眩しそうに手をパタパタしている。
そんなミッシェルを見て、フィオラもクスクスと笑っていた。
相当興味深いのか、竜之介が今何をしているのかすらも忘れている様子で真剣にそれを眺めていた。
「ミッシェルそんなに興味あるんですか?」
「そりゃそうだよ!だって何でこんなに明るいのか分からないんだよ?フィオラは知ってるの?」
「ふふふ…よくぞ聞いてくれましたミッシェル…実は…私はこれの使い方と正体を知ってるんですよ!」
「な…な…何だってぇー!?」
「知りたいですかぁ?うふふ…知りたいですかぁ?」
フィオラがイヤらしく妖美な雰囲気をわざと出して見せ、ミッシェルに軽い煽りをしながらくねくね揺さぶる。きっと第三者から見たら相当ウザいだろう。
ぐぬぬ、と悔しそうにするミッシェルに拍車を掛けるように更に煽る。
勿論二人は友達だ…それにしても彼女がこんな事をする事等、竜之介は知る余地も無かったのだった。
二人だけと言う空間で友達同士…竜之介と言う三者が居ないだけでこれほど女の子と言うものは変わるものだったりするのだ。
「うぐぅ…フィオラって有利な事が少しでもあるとそうやって調子に乗るの何だかムカつくぅ…でもそう言う時って逆らえないから悔しいー!むきー!」
「ふふふ…どうするんですかぁ?ミッシェル…知りたいんでしょう?」
「むむ…フィオラってやっぱり|サディ(S)だよね…案外リュウノスケも、もうこの洗礼を受けてたりして…そんな事無いかな!」
※※※
一方…茂みに隠れながら、竜之介はその好機を伺う。
と、そこで何故かくしゃみが出てしまい、危うく見つかるところだった。
「ヘクシッ!やべっ…気付かれてねぇよな?
かぁ…誰か噂してんのか?もうここに来て結構経ってるしな…いやいや、今はそれよりこっちに集中しねぇと…。」
気を取り直して再度巨鳥の様子を伺う。
湖の周辺を徒歩で周回しているが…何か探しているのだろうか。慎重に事を運ばないと。
※※※
竜之介が慎重に慎重を重ね、ミルフィーユの様な繊細な作戦をしている一方、フィオラ達は懐中電灯の話題で持ちきり…まるで女子会の雰囲気だった。
「これが…懐中電灯!!」
「そうなんです!何とこのレバーを回すだけでずっと動いてるんだからな?使えるんですよ!?」
「えっ!?消えないって事!?すっごーい!!」
まんまとフィオラの手車に乗せられ、プライドなど捨て、目の前の興味に心踊らせるミッシェルは、目をキラキラと輝かせてその話と懐中電灯を凝視していた。
既に彼女達は竜之介の事など忘れ、危機感ゼロの空間ではしゃぐだけの二人の女の子に戻っていたのだった。
「これ…分解とかしても…良いかな?」
「ミッシェル…それは流石にまずいよ…。」
「り、リュウノスケの事だから壊しても怒らないって!ね?」
「壊したらここ暗くなっちゃいます!ダメです!」
「えー…けちー…。」
※※※
彼女が達が自由気ままにしているのを知る術も無く、ただただ危険な状況に置かれながら、ジリジリと巨鳥に近づいていく。
竜之介はもうその"魔物"の目の前まで接近していた。
彼が現実で行っていたサバゲー…つまりサバイバルゲームの知識からか、茂みに隠れたり、障害物を利用して相手に近付くことは幸い得意であった。
「あとちょっとだ…取り敢えず何か一つ囮に投げてみるか…いや、それは早まってやることじゃない…慎重に行くか。
あいつらきっと心配してるだろうな…あいつらの為にも成功してくれよ…!」
勿論彼の考えとは裏腹に心配などしていない二人はお祭り騒ぎである。
これは例え誰かが居ても口が割けても伝えられない事なのだった。
すると、巨鳥が何やら動き出した…それに合わせて竜之介も木陰の方面へと移動し、更に身を隠した。
何やら湖面を見つめている様だ…それに周辺の草むらや物陰を見つめ…何やら悲しそうな表情をしている様にも見える。
「…やはり食料を探しているのか?
そう言えば湖に魚もそんなに居なかった気がする…何か事情がありそうだな。」
竜之介はある程度の考察も含め、とある可能性をもう一つ考えていた。
もしも…今回接触する際に行う事…つまり食料に目が行き、自分自身に危害が少ない場合だが…もしかしたらその場合とある仮説が成り立つのだ。
それを確かめる為にも…慎重に事を進めていく。
巨鳥の様子を伺いながら死角に回り込み…そのチャンスを待つ。
目を逸らした時…そこで一気に接近して実験を開始する。
「頼むぜ…注意散漫であってくれ…。」




