準備完了
ご閲覧ありがとうございます!
早く行けよ(定期)と言われそうですがもう行きますんで…はい。
「よし!準備できた!」
俺は東の湖に行く準備が整い、最小限の荷物を愛用のリュックにしまい込むと、それを背負ってふう…と一息。
すると、フィオラも準備が完了したらしく、探索をするための服に着替えてきた。
「リュウノスケさん!探索いつでも大丈夫です!」
いつものフリルが特徴的な可愛らしい服ではなく、全体的に引き締まったレザースーツの様な格好をしていた。
腰のクロスベルトには普段彼女が持ち歩いている錬金術の用の道具などがくくりつけられている。
所々施された翼の様なデザインが可愛らしさも残していて、動きやすさとデザインは非常に問題ないだろう。
ハーフパンツにストッキングと、足の間接部分もそんなに不自由ではなさそうだ。
それにしても…ピッチリしている服のせいか…体のラインが良く見えて仕方ないな。
「おー…これはこれで…。」
「リュウノスケさんあまりジロジロ見ないでください…何だか恥ずかしいです…。」
「あっ、すまん…あまりにもスタイルが良くてな…。
何処かに探索したりする時はその服なのか?」
「はい!これお母さんのお下がりなのですが…非常に丈夫で、いつも助けられてるんですよ!」
フィオラの母親のお下がりか…って事は母親の方も胸やヒップラインが強調されててきっと相当色っぽい…って何を考えているんだ。
丈夫なのは見た目だけでも分かる、所々解れ目を見かけるが…相当に使い込まれているらしいな。
それでもここまで使えるのは、きっとかなり丈夫で貴重な素材を使っていると見た。もしかしてこの服も母親の錬金術で作られた物だったりしてな。
さて、後はリベルさん…と言いたい所なのだが、リベルさんはそろそろ家事をせねば為らないらしく、残念ながらここまでだ。
子供だけで行かせるのは不安ですが…と心配を掛けてくれていたが、万が一の時は俺がフィオラを見てるから大丈夫だと念を押した。
ついでにフィオラにも本当に付いてくるのか?と聞いてみるも、答えは即答でイエスだった。
どうやらフィオラも湖周辺でついでに素材を採取したいとのことらしく、それも含めてメテロンから受けた依頼をこなすことにした。
ふと気になったのだが、やはりここは異世界だし魔物とやらも出るみたいだから武器を作ったのだが…フィオラも武器を持っているのだろうか?
気になった俺は安全の為にも聞いてみた。
「フィオラ、俺はこの『SS』があるけど…フィオラは武器とか身を守る物はあるのか?
人里離れた場所に入ると思うし、何があるかまだ分からないだろうしな。そこの所は大丈夫なのか?」
俺が心配そうに言っては見たが、彼女は余裕そうに笑顔で答えた。
「もうリュウノスケさん、私はリュウノスケさんよりここに住んでいる時間が長いんですよ?勿論一人で探索や錬金術の為の植物採取に行ったりしてますよ。だから心配は無用ですよ!
因みに、私の武器は…これです!じゃじゃん!」
ニコニコとしながらベルトポーチから取り出したのは一本の可愛らしいステッキだった。
握るとオモチャにしか見えないのだが…これが彼女の武器らしい。
杖状になった棒の先端には球体を囲むように4本の金色の角が延びている。
見た目はただのステッキ何だが…何に使うものだろうか。
「それ…オモチャじゃないよな?」
「むー!失礼ですね!これは由緒正しき錬金術師の武器…『リバーシブルステッキ』です!」
「『リバーシブルステッキ』?なんじゃそりゃ。」
「これはですね…ふふん、見ててくださいね?」
彼女がそう言うと、ステッキをクルクルと器用に回し、ポーズをしながら何かを唱え始めた。
するとどうだろう、杖の先端…球体の部分が光を放ちながら宙に浮き、クルクルと回転し始めた。
その回転に合わせ、周りの角状の金属も光始め、次第にそのステッキの周辺に光の球体が4つ出現した。
それの一つは熱く燃え上がり、一つは冷たく凍っている。
更に一つはビリビリと電撃を放ち、最後の一つは鎌鼬を発生させながら風を切っている。
つまり目の前には炎、氷、雷、風の球体が現れているのだ。
「それ…魔法か?」
「そうです!このステッキは錬金術で作られた魔法触媒で、"カテゴリー【魔法】を付けた"武器なのです!
【魔法】カテゴリーを持った武器はその通り魔法の影響を受けやすく、触媒として素直に力を発散できる作りになっているんですよ!」
「マジか!そんなヤバい物だったのかそれ…しかもそれって同時に4つ球を出してるけど…魔法はそれぞれ違う物でも発動できるのか。」
「良くわかりましたね!
魔法は炎、氷、雷、風…そして光と闇の6つなのですが、その内4つを出すことが出来る超スッゴイ武器なのです!
まあ私はあまり魔法が得意では無いので…この威力とこの4つの属性が精一杯ですが…。」
この世界の魔法はゲームの様に6つ…つまりは4元属性と2対の属性で別れているのか、成る程…覚えておこう。
それに物に"カテゴリーを付ける"…と言うのは気になるな。
素材や物に付けることで何か恩智を得る事の出来るカテゴリーも存在するみたいだ。
今回は【魔法】だったが…後々調べてみるとするか。
「まあそれだけヤバい事が出来れば充分か。
どうやら下手をすると心配なのは俺自身かも知れないな…気を付けないと。」
「その時は私が守ってあげます!…えへへ、何だかお姉ちゃんになった気分です!」
「まだフィオラにはお姉ちゃんは早いな!
…まあ体の発達で言ったら充分にお姉ちゃん何だがな!」
「なっ!リュウノスケさん何処を見てるんですか!このおちょば!!えいっ!えいっ!」
「痛い痛い!そのステッキで殴るな!その角見たいなのが頭に刺さって痛い!あががが!」
※※※
茶番もその辺に、しっかりと見落としの無いように準備を済ませた俺達は、見送るリベルさんに手を振りながら家を出た。
まずは東方面に向かうはずなのだが…そう言えば具体的な場所を聞くのを忘れていた…食材や魔物、カテゴリー何かの危険度や種類を聞けたのは有意義ではあったんだが…肝心のその場所を聞き忘れるとは…俺もまだまだだな。
「フィオラ、東の湖には行ったことはあるのか?
行き方を聞き忘れてな…知ってるなら案内も兼ねて欲しいんだけど…?」
「うーん…何となく分かるのではあるのですが、直接行ったことは無いので迷子になっちゃうかも…。」
「くー…そうか、ちょっとそれは危ないかも知れないな。もう一回メテロンに聞きに街に降りてみるか?」
「遠回りかも知れませんがそっちの方が良さそうですね!行きましょう!」
残念ながら遠回りになってしまうのだが、安全性と確実性を考慮し、街に戻ることに。
やはりフィオラも行ったことは無いらしく、知識の少ない二人では危険が伴うかも知れない。
そう考えると、安全性が高いルートを知ってると思うメテロンを訪ねるのが得策だと考えた俺達は街に向かって歩きだした。
と、勇み足を踏み出した所で、前方…街の方角から一人の少女が満面の笑みで走ってきた。
土煙を立てながら高速で走る少女…足早すぎ無いかあれ?
そう思いつつ良く見ると、その元気一杯な笑顔と特徴的なエメラルド色の髪、それに声も聞こえてきた。
「おーーーい!!フィオラーー!!リュウノスケーー!!」
「あれ…アイツもしかして!」
「ミッシェル!?」
そう、街の方角から走ってきたのはミッシェルだった。
甲高く、耳に残る彼女の声で確かに俺達の名前を呼んだ。間違いなく彼女だ。
ミッシェルは勢い良く走ってきて俺達の目の前で急停止した。
その勢いのせいで土煙が俺達に思い切り振りかかり、二人して超絶咳き込んだのは言うまでもない。
「ゴホッ!何だよミッシェル、どうした?今から東の湖に行く道をメテロンに聞きに行こうとしてたんだゴホッ!」
「そうだよミッシェル…けほっ!けほっ!ってミッシェルその足でどれだけ速度出してるの!?
土煙止まらないよ!?
ちょっと…けほっ!私離れていい?」
「ホントだよ全く!何でこんな土煙出てんだ!」
と、止まらない土煙に咳き込みながらミッシェルを見ると、何故か自信満々の笑顔を浮かべながら足元を見せた。
その足、つまり靴の側面には高速で回る何かが付いていた。
「この靴【魔法】カテゴリーの靴なんだ!高速で走れるんだよー!…煙スゴいけどね!」
「「いや止めてよ!!ゴホッ!ケホッ!」」
コイツ何しに来たんだ!?土煙かけるために来たんじゃ無いよな!?そうだったらお兄さん怒るよ!
てか迷惑行為を自信満々にしてるの腹立つなこの小娘ェ!
取り敢えず彼女のその靴を止めてもらい、何とか普通の話を切り出すまで戻せた、全くもって時間の無駄だ。
俺とフィオラは体に付いた土埃を払いながら、彼女にここに来た目的を聞いた。
「えっとね!どうせ道に迷うだろうってメテロンが言ってたから案内とついでに護衛もって!
あと私の摘まみ食いの分のツケ払いだって!」
「摘まみ食いって何してんだお前ぇ!完全にお前のツケが俺達に回ってきてるじゃねぇか!まぁた厄介な事になってきたぞ!?
それに…案内と護衛って…お前大丈夫なのかミッシェル?」
と、そこでフィオラが俺のその疑問に答えてくれた。ミッシェルとは長い仲で、それは問題ないとのこと。
「それなら大丈夫ですよ!ミッシェルは数多の仕事と調査をしている…言わば『何でも屋』見たいな物なのです!
しかもミッシェルはこの辺りの地域に詳しくて、危険な物とか危険な生き物とも渡りあったりして有名だったりするんですよ?
何回かミッシェルと探索に行きましたが、幾度も助けられてまして…えへへ。」
「にしし…どうよリュウノスケ?頼れるでしょ?」
「その成りで!?マジかよミッシェル!?」
通りで…自信満々で堂々とした態度が取れるわけだ。
それに、気付かなかったが彼女のあの靴…良く見たら鉄で出来てる。魔法を駆使しているとは言え、相当な重さであることには違いない。
中々どうして…これはとんでもない助っ人を貰ったかも知れないな。
「よし!そこまで言われたら信用するしかないな、頼んだぜミッシェル!」
「うん!任せてよ!
あ、フィオラ遅いから…置いてかれないようにね?」
「むー!そんな事ありません!ちゃんとついていきますよ!」
「ホントかなぁ?あはは!じゃ、行こっかー!いざ、東の湖へー!」
こうして俺達はミッシェルをこの探索の仲間に迎え、東の湖を目指して歩きだした。
この先…どんなものがあるのか、実は内心楽しみなのだ。
依頼をただ受けただけではない…ちょっとした俺の好奇心も混ざっての事だった、まあそれはフィオラ達には言ってないけどな。
愛用のリュックを背負い直し、俺達は意気揚々と目的の場所へと足を進めたのだった。
「なあミッシェル、そんなに凄いんなら最初からメテロンの為に自分で取りに行って上げれば良かったんじゃ無かったのか?」
「ん?あーそれ?実は何回も言ってたんだけど…女の子一人だからーとか、保護者がどうとかーって!」
「完全に俺が保護者扱いになってるじゃねぇか!!
やべぇ…これは責任感出てきたぞ…。」
「ふふ、そう緊張しないで下さいリュウノスケさん、私も居ますよ!」
「魔物とか危ないものがあったら近づいちゃダメだぞフィオラ、危なっかしいから。」
「もう!子供扱いしないでくださーい!!」




