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奇妙な運命辿るべき真実

閲覧ありがとうございます!

ちょっと急展開…かも?

 俺がリベルさんに紹介された部屋は…見覚えがある部屋だった。

 しかもつい最近…それはっきりと夢に見たあの場所…不思議にも懐かしい雰囲気と、部屋の中央にある大きな地球儀。

 古臭く剥がれた壁紙や、散乱した本の数々。

 間違いない…あの部屋だ…だとしたら…。


「どうなされました?リュウノスケさん?」


 ぱっと背中を照らされ、驚いて振り向くと、心配そうな顔でリベルさんとフィオラが見ていた。


 立ち止まっていたせいで何かあったのかと心配を掛けてくれたらしい、余計な心配をさせてしまった。


「あ、ああ、何でもないよ…」


「むむ?リュウノスケさん…何か隠してませんか?」


「うっ…いや、隠している訳では無いんだが…ちょっと気になることがあってな。」


「気になること…?」


 俺は昨晩の夢の事を話した。

 真っ暗な道…の話は不要だろう、あれはきっと俺の苦い思い出から溢れ出た()だろうからな…あの手の悪夢は良くあることだ。


 しかし問題はそのあと…そう、この部屋と同じ光景…そして、あの光だ。

 引き出しから溢れていたあの光…あれがどうも気になって仕方がなかった。


 まさか…こんなに近くにあったなんてな。


「成る程…その夢でこの部屋を…きっとそれはあの花の、"フィオラ"の輝きを見たと言う影響かも知れませんね。」


「リベルさん…やっぱりそう思いますか?俺もそう思ってた所です。

 確かにあの花の影響だとしたら…あの引き出しに俺に必要な何かがあるのかも…何てな。」


 どうやら、リベルさんは勘づいていたみたいだ。

 "フィオラ"の花の輝きは、その者の夢にその者に重要な何かをもたらす…リベルさん自身もそう言っていた、自らは見たことは無いらしいが…。


「私?私がどうかしましたか?」


「違うよ、フィオラの()だよ。

 俺が昨日偶然持ってきて、それで寝た結果夢をちょっとな。」


「あ、フィオラの花でしたか!不思議な夢のお花…ですね、それをリュウノスケさんが…ふむふむ。」


 納得してくれた様で何よりだ…さて、話を戻そう。


 そもそもこの部屋の存在は初めて夢で見た程度、だが、それが俺にとって何をもたらすのか気になる…。


 リベルさんから懐中電灯を受け取り、一直線にその引き出しに向かう。

 足元には本や物が散乱しているので気を付けながら進んでいく。

 たったの数メートルだと言うのに、まるで長い道を歩いてきたかの様な錯覚…俺の興味がより一層時間を遅くしている様な気がした。


「スンスン…お義父さんの匂いがする…懐かしいなぁ…あれ?でもこの匂い何処かで…」


「ここだ!この2番目の引き出し!ここが光ってたんだよ!」


 フィオラが何か言っているが、それに目も暮れずにその引き出しを見つける。

 少々興奮気味で声が上擦(うわず)り始めているので、気持ちを落ち着ける。


 リベルさんも様子を見にこちらに来た。

 フィオラも俺の後ろから様子を見ているようだ。


 懐中電灯に照らされたその何の変哲もない引き出し。

 ごくりと生唾を飲み込んでそれに手を掛ける。


「よし…開けるぞ…」


「何が入っているのでしょうか?」


「きっとリュウノスケさんにとって大事な何かが…」


 期待が込められたその引き出しを、先ずは軽く引っ張る。

 少し中が見えたが…もう暗いせいで良くは見えない。


 そして、三人顔を合わせて頷いた後、一気にその引き出しを引っ張った。


「せー…のっ!!」


 バッ!と一気にそれを引っ張り出した。


 手に持っていた懐中電灯を素早く中へ向けて照らし出し、興奮を露にする。


 何が入っているのだろうか、と目を凝らす…が。





「何も…入ってない?」


 覗きこんだフィオラが、俺が声を出す前にそう言った。

 いや、正確には見えていたが、声が出なかったのだ…ショックで。


 見つけたはずの夢の部屋、俺にとって何か大切な物があるはずと思って引っ張り出したそれ。


 だが目の前にあるのは、ただただ空虚な箱、木製の底が見える中身の無いただの空白でしかなかった。


「そ、そんな…確かにこの引き出しだったのになぁ…ショック…」


「リュウノスケさん、確かにこの引き出しだったのですか?」


「ああ、確かにこの場所だ、2番目の引き出し…」



 俺が見たのは確かにこの場所の筈だ。

 なのにどうして…いや、それよりも、淡い期待となった事の方が強く、ただ目の前の空白にショックするしか今は考えられなかった。


 ヘナヘナとその興奮から冷めた俺は天井を見上げて座り込んでいた。


 フィオラ達も何かあるのかと思っていたのにこの始末では納得行かないだろう、それに俺も期待をさせてしまっていたのは事実だ。


「すまない…俺の勘違いだったのかもしれないな。変な期待をさせてごめんね二人とも。」


 と、俺が素直に謝罪に応じると、とんでもないと二人とも首を横に降った。


「いえいえ!元はここに寝床を探しに来たわけですし…そんなに気に病む事は無いですよ。」


「そうだよ!リュウノスケさんは悪くないです!

夢は…残念だったけど、まあそんな時もあると思います!」


 二人とも俺を責めずにフォローしてくれているらしい、やはり二人とも天使だな。


 天井をぼけーっと眺めていると、どうやら天井裏に行けるロフトがあるようだ。

 あれを開ければ階段が出て来て天井裏に行ける、まさかこの家がこの仕組みの家だったなんてな。


 せっかく天井裏があるなら何か置いてあるかもだし今度見てみるのもありだな。


 はぁ、とため息をついて興を削がれてしまった俺は、取り敢えず周りの本を退かして寝床だけ確保することにした。

 フィオラ達にも少し手伝って貰いながら、ベッドを置けるまではスペースを空けた。


「ありがとな、何だか余計疲れる事をさせちゃって。」


「大丈夫ですよ、これぐらいどうってことはありません。」


 リベルさんも微笑んで手伝ってくれた。

 どうせなら、さっき見た天井裏のロフトが気になるので、あれを開ける道具の場所を教えてもらうことにした。


「あの、リベルさん。

上にあるロフト…あれって天井裏に繋がってますよね?」


「ロフト?ああ、あれですね、そうです。

 義父様が収納するために使っていた様子ですが…あれ、最初は全く気づかなかったんですよ?」


「ん?どういうこと?」


「義父様はイタズラ上手で…壁紙を天井に貼ってあのロフトを隠していたんですよ、居なくなったと思ったらそこに隠れたりして…ふふ、何だか懐かしいですね。」


「へぇ…案外お茶目だったんだな、フィオラの義父さん?」


 天井を隠してた何て…よっぽどイタズラ好きだな。

 普通天井なんて見ないし、ましてや天井裏なんてそもそも使う機会が無いからな。


 よっぽど見られたくない物が裏にあったんだろうなぁ…男ってそう言う生き物だし、隠したりイタズラする気持ちも分かる……。


 隠したり…イタズラ…。




 そこで、俺はあることを思い付いた。

 よっぽど見られたくない事、もしくは重要な事を隠したりするのは大体男だ。

 器用な事は男の方が得意なのは人間の特徴、絵や工作も男性は非常にポテンシャルの高いものを作る傾向がある。


 そしてフィオラの義父はイタズラ好きで知識豊富だと聞いた。


 と、なると、もしかしたら…。

 そう思ったとき、さっきまでの俺の気だるさは吹き飛び、再びあの引き出しを見た。


 それに驚いたリベルさん達は、不思議そうに俺の元に集まった。


「ど、どうしたんですか?また急に血相変えてその引き出しに…」


「り、リュウノスケさん!?」


「もしかして…もしかしてだけど!!本当にあの夢が本当なら、やっぱりここに何かあるはずだ!」


 おもむろに俺は背負っていたリュックを地面に置き、中を懐中電灯で照らして道具を探す。


 あった、これだ。

 鉄のヘラを小さくしたような道具を取りだし、再びあの引き出しを見る。


 そして…その引き出しの手前、引っ張る取っ手の方を良く照らすと…それはあった。


「やはり…これは隠し板!予想は間違ってなかった!」


「引き出しに…隠し板なんて…」


「日本なんかじゃ色んなネタに使われてきた古典的な隠し方だ、ここならそれが通用しない…常識で無いなら使わずにはいられない筈だからな。

特に…イタズラ好きの隠し上手なんかはな!」


 思い切りその板の隙間に道具を差し込み、勢い良く上に引っ張った。

 すると、その隠されていた蓋は見事に開き、中から一冊の本が現れた。


 外した板と道具を机に置き、その本を慎重に手に取る。


 どうやら誰かの著作物の様だ。

 文字は…何と日本語だった。


「何故日本語の本がここに…ここは異世界じゃなかったのか?」


 ペラペラとページを捲ると、どうやら日記の様だ、様々な知らない土地の名前と思われる場所の記録が書かれている。

 どうしてこんな物が…これが俺にとって重要な物?


 そして、ページを適当に捲ったあと、最後に裏表紙を見た。


 それこそが…その裏表紙に書かれていた名前こそが…俺にとって重要なそれだと決めつける決定打となった。





「記録者………龍ヶ谷だと!?」


 そこに書かれた名字は…龍ヶ谷。

 そう、彼の名字と同じ…龍ヶ谷だった。



「えっと…リュウノスケさんが知ってる人?」


「な、なあ…フィオラ。

ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ…いいかな?」


「は、はい?」


 いつにも増して真剣な表情を浮かべる竜之介は、フィオラに対し、ある質問を投げ掛けた。

 それは今彼が抱いている疑問に対して必要な事であり、最重要な物であった。


 そう、彼の思うもしかしては…もしかしてでは無かった。


「フィオラ…お前の義父さん…名前は…何て言うんだ?」


 震える声でその答えを聞く。

 いや、答えではない。


 正確にはもう答えは知っているも同然なんだ。


 だけどそれを認めるわけには行かない、それを聞くまでは…。


 そして、残酷にもその答えは…合ってしまっていた。


「んーと…私のお義父さんの名前は確か…


リュージロー…だった気がします!!」



「龍ヶ谷……竜次郎っ!…そんなバカな!!」


 それは紛れもなくあの名前だった。

 16年前に突如消え、その後も行方が分からなかった人間の名前。

 竜之介にとって背中を追う存在であり、竜之介にとっての…父親の名前であった。



「そ、そんな…嘘だろ…フィオラの義父さんが俺の親父だなんて、そんな偶然…!」


「えっ!?」


「それはどういう…!?」


「紛れもない…この日記の記録は俺の親父、龍ヶ谷竜次郎が書いたものだ。

 それに…この部屋はフィオラの義父の物、そしてその名前は…リュージロー!!

 親父は…16年前に行方不明になってから帰らなかった、そして…フィオラが2歳の時にここに来たなら15年前…あり得なくはない。

 飛ばされて一年何をしていたのか、そもそもどうやってここに来たのか分からないが…それに。」


 手に持ったその本の最初のページを捲る竜之介。

 その記録の始まり、それを告げる日時は…。



「きっちり…16年前だ!!間違いない!!


親父は…この世界に来ていた…?」



 夢によってもたらされたその重要な物とは、彼の父親による日記だった。

 そして、それから導かれた意外な真実。

 彼の奇妙な運命は…まだ始まりに過ぎなかった。

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