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明日に備えて

閲覧ありがとうございます!

そろそろ家から出たい頃ですね…

 夕食を済ませた俺は、リュックを背負って再びこの家の調べてない部屋を探しに行くことにした。

 そう言えばまだ寝る場所を決めていなかった。


 昨日もこのテーブルで寝てしまったしな。


 すると、リベルさんとフィオラが物不思議そうに俺を見て言った。


「あら?リュウノスケさん…その背中の物はいつお手元に?」


「確かに!リュウノスケさん私の部屋に来たときも背負ってましたよね?それ何が入ってるんですか?」


 興味深そうに聞いてくるので、仕方なく中身を見せることにした。

 そう言えばこの道具達は多分この世界には存在しない物ばかりだよな。


 取り出していくのは工具や修理道具、そして趣味の本やちょっとした物だ。


「これ…何に使うんですか?鉄…ですよね?」


「それはペンチだ、ネジや金属の部品を締めるときに使う奴だよ。」


「これは…?」


「そいつはドリルだ、穴を開ける道具だけどあまり触らない方がいいよ、危ないから。」


 工具に興味が沸いたのか、興味津々に見ている二人。何だか普段使うものをそう見られると面白いものだ。


 リベルさんはモノクルのお陰で使い方何かは分かる様子、いつか貸してあげても問題は無さそうだ。


 そして、フィオラが次に手をつけたのは、今から使おうとしていた道具。


「これは何でしょうか?」


 パチッと不意にスイッチを入れたフィオラは、そのガラス面から急に照らされた光に驚いてアワアワしながら後ろに尻餅をついてしまった。


 大丈夫か?と手を出して立たせて上げたが、そそっかしいな…。


 そう、彼女が触ったのは懐中電灯。

 電気の光を見るのは初めてだろうか?面白いほどじっくりと見ている。


「うわー明るい!これどうなっているんですか?火は…無いみたいですけど、どうやって光を?」


「これは懐中電灯って言って、電気で光を出すんだよ。横のレバーで電気を貯めて光を出すんだ。」


 フィオラがグルグルとレバーを回してまたスイッチをつける。

 そして消えたらまた回すを何回か繰り返している。

 まるで新しいオモチャを見つけた子供の様だが、本当に興味があるものは何度も触ってしまうものなのだ。


 原理が分からないのか、首を傾げ、リベルさんと目を合わせて頭にはてなを浮かべている。


 この様子を見ているのも中々面白いのだが、それも可哀想なので原理を教えることに。


「これは電気の力を使って光を出すための機械だ。

 そのレバーを回すことで、摩擦によって中で電気が生まれ、それを利用し貯蓄、そしてそれを放電することで先端の回路を通じて電気が点くって訳だ。

 錬金術見たいに大それたもんじゃないけど便利だろ?これがまあ科学の一例って奴かな?」


「科学…これが電気…」


 初めて科学と電気の力に触れた彼女は驚きながらもその現実に目を輝かせていた。

 俺が錬金術を初めて目にした時の驚きに似ている…のかも知れないな。


 するとリベルさんが素朴な質問をしてきた。


「あの、電気…の魔法なら使えるのですが、それでもその機械とやらは使えるのでしょうか?同じ電気ですので…?」


 そうか、魔法でも電気が出せるのか…だとしたら…何かに応用できるかもしれないな。


「あーっとだな、オーバーヒートさえしなければ電気は便利だし、魔法で電気が使えるなら機械本体と媒介物を介せばその電気を使えるかもしれないね。

 充電って言って、機械を動かすための電気を貯める行程もあるし、魔法でそれが出来るなら効率はかなり良いだろう。」


「成る程…私達でも機械…は使えると言うことですね?」


「勿論だ、フィオラ達が錬金術や魔法の文化を使っている様に、俺らは代わりに機械やネットワークと言った科学で生きてきたからな。」


 どちらかと言うと科学よりも魔法の方がずっと効率も利便性も上だろう。

 だが、それでも科学が上回る部分は、やはり魔法が使えてもそれが"一種の魔法"の様に思えるのだろうか。


「もしもこの世界に機械が作れそうな物とかがあったら、それを使って俺が作ってもいいけど…」


「本当ですか?」


「ああ、特にリベルさんには飛びっきり使えそうな物が幾つかあるからな。

 でも…それをどうやって集めるか…とかだな。

 結構複雑な部品もあるし…部品自体は作り方は分かるが素材がな。」


「ならば錬金術で作ってみるのはどうでしょうか!?」


 フィオラが唐突にそう言った。

 自信満々にドヤ顔をしながら俺を見ている、可愛い。

 じゃなくて…確かに複雑な部品やその金属素材何かも下手すると錬金術で作れるかもしれない。


 だとしたらあとは必要最低限の物さえあれば機械が作れる…って事だな。


「確かにフィオラの錬金術なら何とかなるかもしれない。

 だが…その肝心の金属や小物をどうやって集めっかなぁ…。」


 と、そこでリベルさんがポンと手を叩いてなにかを思い付いた様子。

 リベルさんもふふんとフィオラの真似をしてドヤ顔をしながら俺に提案をした。


「街に下りてみるのはどうでしょうか!?

この家から少し言った場所に私が食材を調達する街があるのですが…もしかしたら物の流通が捗る街ならばお目当ての物も見つかるのでは無いでしょうか?」


「街…成る程!それならもしかしたら金属何かも手に入るかも知れないな!それは良い案だぜ…あ、でもお金とかって…どうするんですか?物を手に入れるにはお金か流通が必要な筈…。」


 やはりこの世界でも物を買うと言う概念があるはず。

 だとしたらその流通はお金か、交換か…はたまた別の事か、例えそうだとしても今はその手段をどれも持たない…。


 と、その心配を掻き消す様にフィオラが笑顔で俺の手を取った。

 何かそれについて策があるようだ。


「大丈夫です!勿論…此方も商品(・・)を売れば良いのです!」


「商品…?」


「忘れたんですかリュウノスケさん!私には…錬金術で作り出した"あの子達"が居ることを!」



 俺は少し考える。

 あの子達…と言うと、やはり一つしかないだろう。


 そう…鼠花(チューカ)だ。


「フィオラマジであの鼠売るのか!?てか買う人居るの?」


「何度か街に下りてますが、薬草にもなるお花と食料になる体のセットで結構人気だったりしますよ。」


鼠花(チューカ)すげぇ!一石二鳥じゃねぇか!あ…一石二チュー…なんちゃって。」


………。


 痛い!自分で言っておいて何だけど駄洒落が痛い!自分で何でかじり傷つけてんだ俺は!

 こんなくっそ寒い駄洒落で笑うわけねぇだろ!

居酒屋のオッサンか俺は!




「ぷぷ…何だか良く分からないけどチューって…ふふ…」


「あはは!リュウノスケさん言葉崩しが上手ですね!鼠花(チューカ)だけにチュー…うふふ…。」




「天使かよ。」



 この生涯一度も笑われたことの無い寒い駄洒落を笑ってくれるのは恐らくこの二人だけだと思いながら、ただありがたいと神に祈っていたのだった。


 マジ天使、偶然の神様呼んでくれてありがとう…。


※※※


 話を戻した俺達は、その街に明日向かうことを約束した。

 そして、今は遅いので先に俺の寝る部屋を探さなきゃならない。


 と、言うかかなり脱線していたが俺は寝る場所を探すのを忘れていた。

 忘れていた…と言うより探し損ねた…が近いな。

 まあ、二人の反応が面白かったし、明日の予定も埋まったし結果オーライか。


 そこで俺にあった部屋を見つけるために二人に協力を要請した。


「リュウノスケさんが落ち着けそうな場所…うーん何処が良いかなぁ?」


 フィオラも一生懸命考えているが、もうすぐ日が完全に落ちきって真っ暗になってしまう。

 今も充分暗いが、それではまた迷子になるだけだ。


 するとリベルさんがまたもや何か思い出した様だ。本当に頼りになるなこの人は…。


「義父様のお部屋…と言うのはどうでしょうか?

 あそこなら目立った物もそんなに無いし、部屋の中央に不思議な物があるだけで落ち着ける場所だと思いますが…。」


「確かに!お義父さんの部屋ならリュウノスケさんが好きそうな変な物もいっぱい置いてあるしいいかも知れないですね!」


「俺が変な物好きで悪かったな…確かにそんな部屋なら良いかもしれないな、よし、そこに行ってみようか?」


 俺はそのフィオラの義父の部屋とやらに向かうことにした。

 懐中電灯をつけて廊下を歩く。

 二人も一緒についてくる…が、フィオラが光の前に立ってピョンピョンしている。


 可愛い、じゃなくてスッゴい見にくいんだけど。


「フィオラ。その目の前でピョンピョンすると見えないんだけど…」


「明るい!ねぇリベルさん明るいよ!科学凄いですね!」




 ああもう!可愛いなフィオラぁぁああ!!!

お兄さんドキムネェ!!股間はマサムネェ!!!


 意味の分からない下ネタを心で言いながら目の前でピョンピョンする可愛い物体を見ながら義父の部屋に向かったのだった。


 すると突き当たりの部屋がそうですとリベルさんが教えてくれたので、懐中電灯の明かりをリベルさんに持って貰い、その扉に手を掛ける。


 相変わらずフィオラはピョンピョンし、リベルさんはその光でフィオラと遊んでいる。

 もう二人とも微笑ましい限りだが…それを見るのは後だ、先に部屋を見ないと。


 そして軽くギィ…と音を立てて扉が開いた。

 夕方の(ほの)かな太陽の光を受け、奥の窓から黄昏(たそがれ)の光が差し込んでいる。

 その光に照らされた部屋は…見覚えがあった。


「ここ…ここは…!?」

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