第85話 二対一
「今日もいい感じに光ってる。」
刀を鞘に収め腰に装備する。
隣の男は黒い外套を羽織り、そして自分も黒い外套を羽織った。
「良い時、見計らって登場しやがって。」
「気のせいじゃない?俺は置いてかれたし。」
「絶対嘘だね。ずっと後ろにいたんだろ?暗部の得意技だもんな。ストーカー!」
「ムカつくなあ。死にたいの?」
ルカはそれ以上何もいわず、戒の証である浅葱色の手袋を一つくわえ一つをはめた。
「あの首輪、ルカがあげたの?」
「ハルを犬みたいに言うな。」
「自分の好きな色あげるなんてどうかと思うなあ?ハル、赤好きじゃないでしょ。昔から。」
「でもハルは喜んでつけてたぜ。」
「どうかなあ。怒鳴られるのが嫌で着けてたんじゃないの?」
そう言いながらトウヤは靴紐をしめた。
「ありえるな。それ。」
「嘘嘘。あれもらってテンション上がりっぱなし。ずっと昔話してさ。よかったねえ。」
トウヤは全ての表情を覆い隠す白い仮面をつけて歩き出したが、ルカはまだ靴紐を結んでいた。
「・・・ねえ、遅いと殺すよ?」
「その白い顔でさらっと言うなよ!よっし!行くぜ!」
靴紐を締めたルカはトウヤの隣にたった。
「まあ、ルカにもむかついてるからさ。シギ並みに。」
「はあ?」
「ハルを俺から引き離そうとしたシギと、ハルの心を持ってったルカ。両方万死に値するね。そう思わない?そうだ、タイミングはかったように来るのはルカの得意技だったね。」
「何言ってんだよ!ハルはお前にぞっこんだろ?昔から。」
「ぞっこん?古い言葉使うねえ。」
「茶化すなよ!」
「遅かったな。」
朝日を背にしながら神の御剣の宿舎を見わたす建物の屋上ではメンターが立っていた。
「悪い。メンター。」
二人は屋根に飛び移るとカイクの後ろに控えた。
「ハルは?」
「きっと、お前がいた地下牢だろう。先ほどまで長官が入っていたからな。」
「ハルと母さんは一緒?」
「だろうな。」
「大丈夫なのかよ。二人一緒にして。おばちゃんハル殺そうとしてんだろ?」
ルカがトウヤに言うとトウヤは微笑んだ。
「ん〜。そうなったら俺が母さん殺すから。」
「お前はハルのことになると人が変わりすぎるんだ。もう少し母親をいたわってやれ。」
「だってハルの幸せが一番なんだもん。仕方ないよね。ねえ、ルカ。ハルの好きな人知ってる?」
トウヤは嬉しそうに笑った。
「何だ!お前だろ?むかつく!言わせんな。」
「ルカには女心なんてわかりませんよ。」
もう一人が屋根の上に乗った。
「ソウマ!包帯の交換済んだのか?」
「ええ、トオルさんに出歩いたこと叱られましたけどね。」
「もう、夫婦かよ。」
ルカはソウマを叩くと嬉しそうに前を見た。
「じゃ、まず門の前で立ってるあの男ぶちのめしてくるか。ソウマ援護してくれ。」
「もちろんです。ただまだ本調子ではないんでルカの上に雷落としても許してください。」
「落としてやってよ。そしたら賢くなるよ。」
「さ、無駄口たたいでないで言って来い。」
その言葉に二人は屋根から飛び降りた。
「遅かったな。」
シギは髪をかきあげルカとトウヤを見て笑った。
「ハルを助けるついでに、お前ぶっ飛ばしに来た!四年分、ぶち込めてやるからな。」
「は、笑わせてくれる。」
シギの言葉にトウヤはルカと目を合わせた。
「ま、ルカが出来なかったら、俺が全部やってあげるからさ。」
「お前ら二人でやったらまた殺し合いだろうが!ハルがまた泣くぞ!」
ルカは刀を構えた。シギも鋼線をだした。
「今回は痛くても恨みっこなしね。」
トウヤが笑うと二人も頷いた。




