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GANG!!  作者: あかつき
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第84話 牢の中

「ハルも随分御節介だね。」

「だって一緒に死ぬんでしょ?」

以前ルカが入れられていた地下牢で女が二人、並んで壁にもたれていた。上に取り付けられた小さな窓からは朝日が差し込み始めていた。

「そういえばハルは昔から私のあとついて回ってたねえ。私のやること真似して・・・。」

「おばちゃんみたいな人になりたかったんだ。強くて、賢くて、綺麗で皆に尊敬されてる。そんな人に・・・。」

「尊敬なんてされてない。手塩にかけた息子は反抗期か、言うこと全然聞かないし。」

「そうかな・・・。」

足音がいくつか聞こえてハルは話を止めた。

長官とアヤだった。

「ハルさん・・・。怪我の具合は?」

「ちょっと痛みますけど大丈夫です。それにどうせ処刑されるし。」

「とにかく出ましょう?」

「ハル、あんたは出な。」

「嫌です。絶対イヤ!総裁と一緒に死ぬんです!そう決めたんです!」

「総裁が女だったとは驚きだ。」

長官、セイは静かに呟いた。

バネッサは挑戦的にセイを見上げた。

「悪い?これでも男に負けないようにしてきたんだ。」

「悪くはないさ。ただ、どうして国王の命を狙った。」

「神の御剣を世に能無しだと知らせたかった。国で名誉ある御剣がどれほど力のない集まりか見せてやりたかった。」

「・・・目的は我々か?」

「鷹紋家・・・だ。夫を奪った鷹紋家・・・。それに復讐がしたかった。」

「私怨で、組織を動かしたのか?」

「悪い?賓度羅は創設当時から国の闇の部分を引き受けてきた。現国王は即位の際それが内外に出ることを恐れ潰そうとした。あれほど国のため醜い仕事をしてきた私達を、王は皆殺しにしようとした。けれど、私にとればそんな自己中心的な国王よりも夫を、夫の一族が築いた全てを奪って超え太った鷹紋家が、夫の死を侮辱したあんたが憎かった。」

アヤは唇を噛んでから、バネッサを見て静かに頭を下げた。

「昔のことは・・・申し訳ありませんでした。」

バネッサは何も言わなかった。

アヤはその後、ハルを見た。

「あの時、私もあの組織に一生愛してゆくつもりの人がいたんです・・・。でも、裏切られた。あれだけ一緒にいたのに何も組織のことなんて言ってくれなかった。」

(え?私のお父さん組織の人間?)

ハルの心は一瞬躍った。

「それだけいたのに分かってなかったのはあんたのほうだろ?もし恋人ができても組織の人間だということを伝えれば二人とも処刑される。それほど極秘なのさ。だから黙ってたんだろうね。あんたが大切だから。」

「・・・。」

「でもあんたは自分からそれを捨てた。残念だったね。」

アヤは寂しそうにバネッサを見つめた。

それを見てバネッサは軽く笑った。

「ハル、とにかく出なさい。」

「絶対嫌です!」

「ハル!」

「嫌!」

バネッサはため息をつくと壁にもたれた。

「その頑固さ誰に似たんだろうね?」

「おばちゃんに決まってる!」

「とにかく君は手当てをしなさい。」

見かねたセイが鍵を開けてハルを出そうとした。

その瞬間バネッサはアヤに飛びかかり、それを防ごうとしたセイの剣はバネッサではなくそれを庇ったハルを傷つけた。

「ハル!」

バネッサはハルの傷を押さえ座らせ、セイは蒼白なアヤを引離し再び鍵をかけた。

「ハル・・・。何して・・・。」

「こんなのかすり傷だよ。気にしないで!全然痛くないよ。・・・おばちゃん死ぬ気だったでしょ?おばちゃんがいくら私を嫌ってても私はおばちゃんが大好きだし、私を育ててくれたおばちゃんを守りたいんだもん。」

「ハル・・・。」

「おばちゃん、私斬るとき泣いてたよね。仮面の下で、ずっと泣いてくれてたんだよね。」

「ハル・・・っつ・・・。」

 バネッサは耐え切れず声を上げて泣きじゃくりながらハルを胸に押し付けた。

アヤは二人の様子をしばらく見た後、こっそり涙を拭い何も言わずに去っていった。


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