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ザ☆旅行記 外伝 バーン・カニング列伝  作者: 小宮登志子
第6章 モンスターの正体
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モンスター出現か?

 神殿からオクトハーブ湖に突き出した先の祭壇では、まさしく儀式の最終段階、神殿の最高神官が貢ぎ物である王冠を湖に投げ込もうというところであった。

 ところが、最高神官は王冠を手に持ったまま、湖面をしげしげと見つめ、

「うむ? あれは、何かな?」

 と、怪訝な表情。

 湖面には、チャーリーとバーンが立ち泳ぎしている。ただ、最高神官の言う「あれ」とは、その二人のことではなかった。


 すなわち……

「うっ、うわあっ! なんだ、これはぁ!!」

「どうしたっ!? うっ、こっ、これは!! うっ、うげっ!!!」

 まずチャーリーが悲鳴を上げ、次いで、バーンも呼応するように声を上げた。

 二人は何度か、首を水面上に出したり、全身を水面下に沈めたりを繰り返したが、すぐに、サイラスやマリーナたちの待つ湖畔に向け、力いっぱいに水を掻き、泳ぎだした。

 その二人のすぐ後方には、突如として、水中からバシャァと水しぶきを上げ、数本の触手(のような物体)が持ち上がった。そして、その触手に次いで、一層大きな水しぶきを伴い、巨大な三角(あるいは見方によっては菱形)のフィンを伴った円錐形の物体が水面上に顔を出す。

 すなわち、とにもかくにも、モンスター出現である。

「ああ、あれは…… なっ、なんということだ」

 最高神官がポトリと王冠を取り落とし、腰が抜けたのか、ヘナヘナと力を失ってその場に座り込んでしまった。王冠はコロコロと転がり、チャポンと水中に落ちたが、チャーリーにとっては、今はもはや王冠どころではない。


 驚いたのは、湖畔でチャーリーやバーンを見守っていたパーティーメンバーも同様だった。

「ああっ、あれは、まさか! どうして、モンスターが!?」

 特にサイラスは、「あわわ」と頭を抱え、かなり混乱(あるいは錯乱)しているような様子。

 実は、サイラスは、チャーリーやバーンが湖に飛び込んで泳ぎ出す前は、湖の水質を根拠とする自らの推論やチャーリーの話から、湖にはモンスターが棲息するという結論を導き出していた。ところが、チャーリーの本当の狙いが王冠であるということに考えが及ぶと、当初の結論との不調和・齟齬が発生し、ならば、やはりモンスターは棲息しないと結論を修正していた。にもかかわらず、今になって本当にモンスターが出現したものだから、詰まるところ、彼の頭は事態の推移について行けなくなっているという状況なのだ。

「ちょっと、しっかりしてよ、サイラス」

 マリーナは、やや力を込め、サイラスの背中をたたいた。とにかく目の前に巨大なモンスターが現れたこと、チャーリーとバーンがそのモンスターの攻撃対象となっている(捕まえて食べようというのだろう)ことは、動かしようのない事実である。反撃するにせよ撤退するにせよ、今はうろたえて時間を空費している場合ではない。


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