お金にしか興味関心のないコソドロ
その場の雰囲気あるいは勢いだろうか、あるいはモンスターにかける熱い想いであろうか、バーンはチャーリーに続き、甲冑を脱ぎ、上着とズボンを脱ぎ、下着を脱ぎ……
バーンはマリーナがキャーキャー悲鳴を上げるのも構わず、一糸まとわぬ姿となって、
「待て、チャーリー! コソドロ一人では無理だ!!」
と、チャーリーに続き、オクトハーブ湖に飛び込んだ。
一方、神殿から湖に突き出した先の祭壇では、湖畔でバーンたち一行が騒ぐのには煩わされることなく、儀式が進行していた。運河と湖の神に豚や牛を供物として捧げたので、次はいよいよ、一連の儀式の中で最も重要な、高価な貢ぎ物(すなわち、バーンたちがはるばる帝都から運んできた王冠)を湖の中に投げ入れるという部分である。
神殿の中からは、神官がひとり、腰を折り曲げ、腕を可能な限り高く差し上げて王冠をかざし(非常に無理な、体に負担のかかる姿勢である)、極めてゆっくりとした足取りで、祭壇まで歩いていく。
「よし、来た! これが最初で最後のチャンス!!」
チャーリーは懸命に水を掻き、祭壇を目指して一直線に泳いでいく。その後方には、「モンスター」以外は頭にないバーンが続いた。
湖畔にいるマリーナは、まるで恋のライバルに恋人を奪われたかのように、
「一体、なんなの! チャーリーはともかく、バーンまで一緒なんて!!」
「まあまあ、あの二人にも、思うところはあるのでしょうね」
サイラスは、苦笑しながらマリーナをなだめている。
「チャーリーとバーン、確かに奇妙かつちぐはぐな取り合わせです。バーンは『モンスター!』ですから分かりやすいのですがね」
「だったら、チャーリーは、何を考えてるの? モンスターなんて、いい加減なことを言って! お金にしか興味関心のないコソドロのくせに!!」
マリーナは興奮が治まらない。
ところが…… サイラスは、ハッとしたようにマリーナの顔をのぞき見た。
「マリーナ、今、なんと?」
「えっ? 何って、バーンとチャーリーが一緒に、あれは何って……」
すると、サイラスは、力を込めた両腕でマリーナの両肩をつかみ、
「ですから、今、チャーリーは『お金にしか興味関心のない』とか」
「えっ、ええ…… そうだけど…… それが?」
マリーナは、サイラスの突然の変わりように、かなり戸惑っている様子。
サイラスはマリーナの両肩から手を離すと、腕を組み、「ああ」とか「うう」とか、自分の世界に入って何やら懸命に論理的思考に集中している。
その間にも儀式は進行し、今や、高価な貢ぎ物である王冠は、祭壇の手前に陣取る最高神祇官の手元まで届けられていた。なお、チャーリーとバーンは湖面を泳ぎ、現在、祭壇のすぐ近くを立ち泳ぎしているという状況。




