湖畔のストリップ
運河と湖の神を祀る儀式が始まり、神殿内からは、楽器の演奏に続き、讃美歌か読経か祝詞かマントラのような、神官たちの祈りの声が響いてきた。
「おお、始まったか! いよいよだな。いよいよ、モンスターと対決だ!!」
と、バーン。もう少しでモンスターと対面できるという期待感により、機嫌も直ったようだ。バーンはおもむろ剣を抜き、刃こぼれの有無等について入念にチェックしている。
エディは耳に手を当て、神殿から聞こえてくる神官たちの声にじっと耳を澄ましている。言うなれば同業者だけに、讃美歌だか読経だか(名称はともあれ)、その具体的な内容(文言)が気になっているようだ。
しばらくすると、神官たちの祈りの声が止んだ。
そして、神殿内から、「ブヒィ、ブヒィ」という豚の鳴き声とともに、「モオォ、モオォ」という牛の鳴き声が聞こえてきた。
「ん? いよいよかな」
と、チャーリー。同時に、彼の目がキラリと光った。
程なくして、神殿から湖に突き出した先の祭壇に向かって、30人ほどの神官が列を組み、数匹の子豚と1頭の牛を連れ、祈りを捧げながら歩き出した。
豚も牛も、自らを待ち受ける運命を予感しているのか、進むのを嫌がっている様子。しかし、神官が首に縄をつけて引っ張ったり、後ろから押したりして、無理やり祭壇のある辺りまで追い立てている。
やがて、豚や牛が神殿から湖に突き出した先の祭壇付近に到達すると、神殿の最高神官であろう、神官の列の先頭を歩いていた男が、「運河と湖の神よ」と、大声を張り上げた。すると、その声を合図とするように、複数の神官が衣服の中に隠し持っていた剣を抜き、実に手慣れたもので、一斉に豚や牛に剣を当て、その喉元を掻き切っていく。この哀れな豚や牛は、最後には、「ブヒィ、ブヒィ」あるいは「モオォ」と断末魔を上げ、次々と湖の水の中に投げ捨てられるのだった。
「よし、今だ!」
不意に、チャーリーが叫んだ。そして、身に着けていたレザーアーマーを脱ぎ、その下の衣服を脱ぎ、更に……
「きゃー! 変なもの、見せないで!!」
マリーナは悲鳴を上げた。それもそのはず、チャーリーは下着まで脱ぎ捨て、まさしく一糸まとわぬ姿となっていたのだから。
「やかましい! 俺は行くぞ。バーン、モンスターを見たければ、俺についてこい!」
そう言うと、チャーリーはオクトハーブ湖に飛び込んだ。
「なっ、何? どういうことだ?? しっ、しかし……」
名前を呼ばれたバーンも、何がなんだか訳が分からない。それでも、「モンスター」という言葉に素直に反応するのがバーンであり、チャーリーと同様、ストリップを始めようとして、
「バーンまで、やめて!」
再びマリーナが悲鳴を上げた。




