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ザ☆旅行記 外伝 バーン・カニング列伝  作者: 小宮登志子
第6章 モンスターの正体
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儀式の開始

 大蛸亭を出たバーンたち一行は、オクトハーブ市のメインストリートから参道へと入り、程なくして運河と湖の神を祀る神殿に到着した。儀式は、神殿内で大勢の神官が湖に向かって祈りを捧げた後、湖に突き出した祭壇から、贄となる牛や豚とともに、高価な貢ぎ物(バーンたちが運んできた王冠)を湖に投げ込むという段取りとなる。

 神殿の入口の門付近には、運河と湖の神に祈りを捧げることで御利益をいただこうとする人々が大勢集まっていた。ただし、神殿内でメインの儀式が行われる間は、関係者以外の神殿内への立入りは禁止され、一般の参拝者は締め出されるような恰好。なお、立入禁止は、最高秩序神の「神官」の身分を有するエディであっても同様である。

「なぜだ!? おかしいじゃないか! どうして、入ることができないんだ?」

 バーンは、神殿の入口で運河と湖の神に仕える神官をつかまえて、激しい口調で文句を言っている。

「なぜかと言われましてもね…… 神聖かつ厳かな儀式なんですから」

 神官は、「当たり前のことに文句を言われても……」と、困った顔。

「まあまあ、バーン、世の中には、どうあがいても無理なことはあるものよ」

 と、例によってであるが、今回バーンをなだめるのはマリーナ。

 ただ、最高秩序神の神官であるエディが「なんとかならないか」と平身低頭でお願いしたことから、(組織体としての)神殿側の特別の計らいにより、(建物としての)神殿内ではないが、神殿のすぐ脇で、湖に突き出した祭壇を目の前にしたオクトハーブ湖畔において(一般人は当然ながら立入禁止である)、贄や貢ぎ物を捧げる儀式を見学することが認められることとなった。


「なんたることだ! 将来の大騎士に向かって、あの態度は、なんなんだ!!」

 バーンはなおも憤っている。

「いいじゃないか。ここなら、クライマックスの儀式もよく見えるぜ。まあ、おまえの大好きなモンスターが顔を出すまで、体力を温存しておくことだな」

 チャーリーは横目にバーンを眺め、「ふん」と鼻で笑っている。

 サイラスは、そんなチャーリーの肩をポンとたたき、目を子供のように輝かせて、

「ところで、チャーリー、さっき、神殿に来るまでの間に、『蒲焼きはうまかろう』と言ってましたが、本当に、そうなのですか」

「蒲焼きだって? そりゃ、おまえ…… 蒲焼きと言ったら、ウナギだよな」

「おお、そうなのですか! なるほど、ウナギ、超巨大ウナギがモンスターの正体なら、話は分かります。バーンの言うモンスターの証拠、証言の幾つかとも一致する!」

 サイラスはサイラスで、自分の世界に入ってしまっている様子。

 その傍らでは、エディがブツブツと独り言をつぶやきながら、ため息をついている。なお、ジギスムントは「自らは自らの役目を果たすだけ」と、普段と変わらない表情。

 やがて、神殿から何やら楽器を演奏するような、澄んだ音色が響いてきた。運河と湖の神を祀る儀式が始まったようだ。

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