翌朝、大蛸亭の食堂にて
チャーリーは、今日のところ、話をする気はないようである。バーンは「明日でも今でも同じじゃないか(だから、今すぐ話せ)」と、怒り心頭。
しかし、「明日でも同じなら、今日は宿で休んで、明日ゆっくりと話を聞きましょう」というマリーナの取りなしに加え、サイラス、エディ及びジギスムントがマリーナに賛同したことにより、バーンも渋々ながら、大蛸亭に戻ることとなった。
大蛸亭への帰り道、例によってと言うべきか、バーンはひとり腹を立て、時折大声を上げたり、道に転がる石を蹴飛ばしたりという状況。
他方、チャーリーはひとりで何やらブツブツとつぶやき、考え事をしているような様子。そんなチャーリーを見て、サイラスは不審に思ったのか、あるいは興味が湧いたのか、
「チャーリー、先ほどから独り言が続いているようですが、一体、何を?」
「いや、こっちのことだよ。誰にも関わりのないこと、だから独り言というんだ」
チャーリーは、面倒くさそうに言った。
「そう言われても、少し気になりましてね。気分を害したなら謝りますが、ただ、あなたの行動には、最近、少し不自然なところがあるのですよ」
「だから?」
チャーリーは「チッ」と舌打ちし、サイラスをにらんだ。
「失礼、何か思うところがあるのでしょうか。今の話は、これまでということで……」
と、サイラスは「ははは」と適当にごまかしながら、ふと思い出したように、
「まさかとは思いますが…… シーフのあなたのことですから、過去のお祭りの際に湖に投げ入れられた高価な供物を狙っているのではないでしょうか。でも、オクトハーブ湖の水深は70メートル以上、これは間違いないようです。常識的には、潜水して探すのは無理な深さだと思いますよ」
チャーリーはサイラスには答えず、再び「チッ」と舌打ちするのだった。
その翌朝、大蛸亭1階の食堂にて、
「おはよ……っと、みんな、早いね」
食堂に最後に現れたのは、チャーリーだった。他のメンバーは、現在、朝食を食べているところ。特にバーンは、既に食事を終え、椅子から立ち上がったり座り直したりと落ち着きなく、チャーリーが起きてくるのを待っていた。
バーンは開口一番、
「モンスター! モンスターの裏情報は、どうだった?」
すると、チャーリーは「ふぁ~」と大きなあくびをして、
「モンスターだって? 慌てるなよ。逃げはしないよ」
「おっ、おい、今、なんて言った? 『逃げはしないよ』って、言ったよな。それはつまり、モンスターがいるってことだ。そうだよな。間違いないよな!」
バーンは畳みかけるように言った。普段は間が抜けていて、重要なことでも聞き流すことが多いバーンであるが、モンスターが絡んだ話だけに、言葉に対する感度や注意力といったものも、それなりに高まるのだろう。




