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ザ☆旅行記 外伝 バーン・カニング列伝  作者: 小宮登志子
第4章 なかったことにされた過去
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事件の結末

 こうして、バーンとチャーリーにとって悪夢のような時間が終わった。

 その後、詳細は省略するが、ともかくも「町一番の有力者宅における人質籠城事件」は解決した。その有力者の要請を受け、その地方一帯を治める領主が騎士団を派遣したからである。最初からそうしておけばよかったのだが、そう簡単にいかないところが「大人の事情」である。

 人質にされていた令嬢は、身体的・肉体的には無傷であったが、世にもおぞましいものを見せつけられたこともあり、精神的にはかなりのダメージを負っていた。また、ラードは騎士団と戦うことなく逃亡し、行方をくらました。

 こうして終わってみれば、バーンたち一行にとっては任務失敗。報酬は得られず、その代わりではないが、チャーリー・ウッズが非常に不本意な形で仲間に加わることとなった。おそらく、バーンもチャーリーも、お互い顔も見たくないというほど嫌い合っているに違いない(理由は説明するまでもないだろう)。しかし、二人の距離が30メートル以上離れると、お互いに猛烈な痛みに襲われるのだ。離れたくても離れられないという(もし、今後、マリーナがチャーリーと立場と入れ替えることができるなら、彼女は大歓迎かもしれないが)、そういう因果な関係になってしまった。

 ただ、この事件が、パーティーメンバーにとって、絶対に思い出したくない事件であることは、間違いない。そこで、事件は、バーンたち一行の間では一種のタブー、アンタッチャブルとされ、口にしないことが暗黙のルールとなった。


 さて、そろそろ話を現在に戻そう。

 シーフギルドの前では、バーンたち一行がチャーリーを待っているところである。

 突然、バーンが「うがぁ!」という声を上げ、転げ回って苦しみだした。マリーナはバーンに駆け寄り介抱しようとするが、これはラードの呪いによるものだから、バーンの痛みはどうにもならない。

「くっ、くそっ、あのコソドロめっ!」

 程なくして痛みが治まったのか、バーンは立ち上がり、悔しそうに言った。なお、バーンと同時にチャーリーも苦しんでいるはずである。今ラードの呪いの効果が発動したのは、おそらくチャーリーの「うっかり」であり、悪気はなかったであろう。


 バーンの痛みが治まって数分後、シーフギルドの入口のドアが開いた。

「待たせたな」

 シーフギルドから出てきたチャーリーが、ぶっきらぼうに言った。

 バーンは内心では、ラードの呪いの効果の発動に関してチャーリーに文句の一つでも言いたいところであっただろう。しかし、とにかくモンスターの情報が欲しくてたまらないバーンは、今回に限って大人の対応、

「いや、そうでもない。ところで、モンスターは? モンスターの裏情報は?」

「モンスターか、そうだな……」

 チャーリーは、ふと口をつぐんだ。そして、どういうわけか、うつむき加減に腕を組み、何か考えている様子。

「どうした? モンスターだ、モンスターだよ!」

 バーンはチャーリーの両肩をつかまえ、激しく揺すぶる。

 しかし、チャーリーはバーンの手を振り払い、ひと言、

「悪いな。今日は疲れた。明日ゆっくり話してやるよ」

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