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ザ☆旅行記 外伝 バーン・カニング列伝  作者: 小宮登志子
第4章 なかったことにされた過去
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黒いフード付きローブの人物の正体

「ふっ、ふっふっふっ……」

 黒いフード付きローブの人物はうつむき加減に、いかにも笑いをこらえきれないといった調子で笑い出した。

「あんた、妙なこと聞くねえ。あんた、面白いよ。まあ、話自体は面白くないだろうが、そんなに知りたければ、教えてやるよ」

 黒いフード付きローブの人物が語るところによれば、自分たちがこの邸宅に押し入り、令嬢を人質に取って立てこもっていると、たまたま同じ時刻に(御都合主義の極みのような話だが)、この男が邸宅に盗みに入っているのを見つけた。このため、とりあえずは泥棒を捕まえて縛って転がしておいたのだが、それが、ここにいる風采の上がらない男とのこと。

「なんだ、それじゃ、こいつは単なるコソドロじゃないか!」

 バーンは、侮蔑や軽蔑に満ちた声を上げた。そして、この風采の上がらない男を見下ろしてチッと舌打ちし、吐き捨てるように、

「コソドロだったら、さっさと手打ちにしてしまえばよかったんだ!」

 将来の大騎士を自認するバーンは、自分では向上心あふれるナイスガイのつもりである。バーンにとって、泥棒(窃盗犯)とは、自分では働かず、他人の成果物をコッソリと自分のものにする恥ずべきヤカラであり、地上から一掃されなければならないのだった。


 すると、黒いフード付きローブの人物は、「はっはっはっ」と大笑いし、

「ほお、若いの、あんたも面白いことを言うねえ。このコソドロ、そんなに手打ちにしたいなら、そうだな、あんたに手を下させてやってもいいぞ!」

「そうか、よしっ!」

 バーンは、その気になって自らの剣に手を掛けたが、サイラスやマリーナに「やめなさい」と羽交い締めにされてしまった。

 それを見た黒いフード付きローブの人物は、バーンたち一行のまるでギャグマンガのような進行に、腹を抱えて大笑い。ただ、この時、フード付きローブの人物が笑いすぎ、思わずのけぞってしまったため、(その人物にとっても、バーンたちにとっても)運の悪いことに、その人物の頭を覆っていたフードが脱げ、その顔がハッキリと、バーンたち一行の前に露わにされることとなったのだ。


「うっ! なっ、なんだ、これはっ!!」

 最初に声を上げたのは、バーンだった。そして…… 間を置かず、バーンは「はっはっはっはっはっ」と、大きな声を上げて大笑い。

「そうか、無法者集団の首領はハーフ・オークだったよな! ハーフ・オークだから、それは道理、ひどい顔だ。半分は混沌のモンスターだからな!!」

 ちなみに、この発言はバーン・カニングによるものであり、一切の責任は彼に帰せられるべきものである(一般論としては、ハーフ・オークの容貌は非常に醜いとされている)。

 念のために説明すると、無法者集団の首領であるハーフ・オークの名は、キム・ラード。後に、カオス・スペシャルの事件に絡み、帝都において魔法アカデミーを攻撃することになる人物である。

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