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5-11 二人の儀式

「・・そうですね 怖い思いをしたでしょうから、、店に泊まっていくのが良いのかもしれませんね?」


少し彼女との考えとは差異があるのだが、彼女はそれに何も反論せずに彼の腕に掴まりながら体を預けて夜の道を二人は歩き出していた。




「店にはそんなに被害が無くて助かったわ、、」


ワイバーンが暴れた事により瓦礫類が飛び散り少し壁類に傷が入ったが、ある意味軽傷な被害で済んだ事は幸いでもあった。


「・・あっと 仕事中の襲撃で逃げる事に夢中で散らかっているわ、、」


彼女は笑いながら目に付くところを片付けて、明日に店内を綺麗にすることで納得していた。


夕食も二人で仲良く終えて 暫くして彼女はタローに旅の垢を落とす様にお湯を沸かして洗面所へと運び込んだ。


「・・助かります 何日か野営生活で少し汗臭さかったので、、、」


彼は暖かな湯で全身を綺麗にタオルで拭いて人心地を付けてスッキリした顔で戻ってきた。


「・・うん 綺麗になりましたね、ならば私も湯浴びしてきます、、、」


今日は彼女も大変な一日だったのであろう、後から聞くとまさかお母さんの仇を討てるとは思わなかったかと喜んでいたのだ。それでもその時は恐怖心の方が強く、後になって仇を取れたとしみじみ感じたそうだ。


タローは部屋のベットにてウトウトしていた、連日の行軍と野営生活から解放されて柔らかなベットは今の彼にとっては極楽状態でもあったからだ。



「ふう 体がさっぱりしたわ、、あれ タローさんは?」


もしかしてと思い彼の部屋をノックしてみたが、なんの反応もない。

マナー違反と思いつつ彼女はこっそりと部屋のドアを開いてみた、そこには疲れ果てて寝込んでいる彼の姿を見つけて少し不満そうな顔をした彼女であったが、何やら決心すると静かに部屋の中へと入り込み彼の寝ているベットにするりと彼女は潜り込んでいく。


 ・・ああ ドキドキする、、でも彼の傍で私も寝ていたいの、、、


意を決しての行動であったのだろう、疲れてぐっすり寝ている彼に半分気落ちしながらも静かに彼に自分の躰を密着して彼の体温を感じると何とも言えない安心感に包まれ出した。


 ・・タローさん 今日は本当に有難う、感謝しかないです。


彼にしがみつくような形で彼女も静かに目を閉じて行った。



 ・・あっと 寝込んでしまったのか?もう朝か、、、うん?


薄明るい太陽の光が部屋に入り込み、タローは気持ち良く起きようとした時に何やら彼の手が柔らかな物に触れている事に気が付いた。


 ・・これは?


無意識にそれを確かめるべき彼の手がそれを弄ると、、、


 ・・まさか これは、、もしかして!


慌ててまだ回らぬ頭で必死に毛布を捲って顔を向けて驚いた。

そこには気持ちよさそうに寝ている下着姿だけのシェリーが居たからだ。


 ・・どう言う事だ? 何も記憶が俺には、、、


どう対処していいのか彼は軽いパニックに襲われていた。


 ・・先ほどの柔らかな感触は彼女の胸を触ってしまったのか?


ただ呆然と彼女の上半身だけが見える状態で固まっているタローであった。


 うっ ううーーん、、、


その時彼女は毛布を捲られて寒くなったのかうっすらと目を空けて、ぼんやりと眠い目でタローを見つめていた。


 あっ あのーー シェリーさん、これはいったい、、、?

 ・・・おはよー タローさん、、、、


まだ狼狽えていた彼の手を引いて彼女は囁く。


「・・少し寒くなったわ、まだ早いし此方に来て、毛布も掛けてね、、」


彼女は強く彼の手を引いてタローはそれに逆らう事無く再びベットに横になった。そして彼女は大胆に彼にしがみつき彼にぴったりとその肌を密着させてくる。


「し シェリーさん まだ寝ぼけているのですか?私ですよ タローで、、うぐっ?!」


突然に彼女は彼の口を塞ぐべきキスで彼の唇に重ねて来た。


 「はぁーー ふふ、、タローさんだと分かっています、他の男にこんな真似はしないわ、、」


彼女はタローより数歳年上でもある、その余裕?が少しあるのか意外と落ち着いた声で彼女は彼の首を両手で抱きしめていた。


「し シェリーさん、、胸に私の顔が触っていますよ、、、」

「もう、、わざとしています、、聞いてタローさん、、、」


何事かと彼は彼女の豊かな胸に顔を潰されながら聞き耳を立てる。


「昨日のワイバーンに襲われた時に、私は死を覚悟したの、、それを思いがけなく貴方が飛び込んで来てくれて助けてくれたわ、、今回で2回目の死の瀬戸際での救出劇となったの、、私の母と貴方に2度も私は生かされたと感じたのよ。でも、、母にも貴方にも何も恩返しができていないわ、、ねぇ タローさん、つかぬ事を聞きますけど、、、もしかして近日中にこの町から出て行くつもりではないですか?」


 えっ?!何故にそう思ったのですか?


彼は一瞬ドキリとして彼女の胸に埋まっている顔を少し持ち上げた。


「・・やはりなの? うーん 上手くは言えないけど、貴方は何か隠し事があるのじゃなくて?貴方みたいな優秀な人が冒険者家業をせずに薬草採取をと不思議に思っていたの、、無論私達は大変助かって有難かったのだけど貴方はもっと他にすることがあるように思うの、、」


 いえいえ、、単に冒険者としてはそろそろ限界と感じているだけで、、、


「そうかしら?貴方は錬金術ももしかして使えたりしないのですか?あの魔法銃にしても いえあれは魔法銃とは別の物ですよね?隠そうとしても無駄です、、私その方面も少し練習した事があるので、本当の魔法銃を知っているんですよ、、」


 何と優秀な女性なんだシェリーさんは、、それが魔法銃ではないと知ってて黙っていてくれたのか!


「・・はい 何か話せない事情があると推測しましたので、、」


 これは嘘は通用しないな、、確かにこの町とはそろそろオサラバするかと考え込んでいた、その決心がつかなかったのは偏に彼女の存在が大きかったからに過ぎない。彼女の人柄や楽しい会話等にずるずると決心が後にズラされてきてしまったのだ。


「・・シェリーさん、ならば正直に話しますが、その前に秘密を守ってもらう必要がありますが、約束して貰えますか?」


この時タローはある意味約束を守ってもらわなくともそれはそれでいいと考えていた、これはあくまで形式的な事でもあり、その気になれば何時でもトンズラすればいいと考えてもいたからだ。


「・・約束ですか?ならば私もそれに見合う代償が必要ですよね、、解りました まだ男性を知らない私の躰ですが、、こんな私で良ければ抱いてください、、、」


 へっ?!あのーー 何でそうなるの? そう言う意味では、、、


「・・タローさん ひとつお聞きしますが、貴方はどう見ても犯罪者とは思えません、あまりにも人が良すぎます。失礼ですが人を善としか考えてはいないのではないですか?」


手厳しい事を、、それはもしかしたら記憶にある前世の世界での、、いやあの国に生まれ育った環境がこの異世界に来ても尾を引いているからか、、、。


「・・図星ですか?大変失礼なことを言って申し訳なかったのですが、貴方がどう言う環境で今迄生きてきたのか不思議な気がします、、この世界では悪も正義として通用する世界です。かなりタローさんは此方では浮いている存在なのですよね、、いえ それが不満とか言う話ではなく、余りにも浮世離れをしていると申しますか、私の心配事として思って頂ければ、、」


「・・はい 重々その件は理解している()()()ですが、それは飽くまで つもりに過ぎないのだろうな、、と」


「ふう、、タローさん、もうひとつ、、私の事はどう思っています?私はタローさんの事は命の恩人でもありますが、その前に大好きな男性と感じています。タローさんの気持ちも教えて頂けますか?」

「えーと、、好きか嫌いならば、、私もあなたに負けないくらい貴女を好ましく思っています、、」


途端ににこりとそれこそ大輪の花が咲いた様な笑顔になりタローに向けていた。


「・・嬉しい、、私はその言葉で全てを捧げる事が出来ます。ならば私からのお願いを宜しいですか?」


 何事なのだろうか?


「タローさんは何時かこの町から出て行くおつもりなのですね?」


 ・・可能性は高いと思います。


「ならば私に希望を下さい、何時かは必ず私の元に戻って来るという希望です、、」


 ・・何時かが何時なのか分かりませんが、必ず貴女の元にまた戻ってきます、、、


「・・はい お待ちしています、ならば今から貴方の子供を授かりたいと思います、、、」


 はい?!私の子供を、、待て 何処かで同じような、、あっ 師匠か、、、


「・・駄目ですか?貴方を待ち続ける為には貴方の子が必要です。子と二人でタローさんの帰りを何時までも待っています、、、」


 お 重い、、なれどふと彼は思いつく、此方の女性は元の世界より思うに純粋でストレートな性格ではないかと、、、


「・・何時戻れるか分かりませんよ?」

「はい、、承知の上です。子供がいれば辛抱強く貴方の帰りを待っていられます。3日の儀式を是非行いたいと思います、、、」


 ・・何ですか その3日の儀式とは?


「・・?知らないのですか、、この国では いえ他の国でも似たような儀式があると聞いていますが、子を欲しい男女は3日間何処にも出ずに互いを求めて子作りする習わしです」

「・・はい?3日間 ただ互いを求めて、、そのー 子作りを?」

「はい、結構有名な儀式だと思うのですが、、、」

「・・あのー それは体力的にも そのーナニにとっても無理なのでは、、」

「それは 特に男性自身に関わる事でしょか?ならば心配はいりません、特に下半身によく効く薬が出回っています。それに私は薬師です お任せください、、、」


 ・・あっ この世界では精力剤が隠れたヒット品として重宝されていると聞いた事が、、

 そうか、だから師匠は町に出かける時は必ずポーション類の他にこの薬を調合していたのか、、


全てを理解した彼はこれ以上は逃げる手は無いと判断した、彼女からの提案を有難く?承諾する事となったのだ。


「嬉しいです タローさん、先ずは朝食にしませんか?その後に儀式に入りたいと思います」


 ・・はい 宜しくお願いいたします、、、


二人は朝食の準備に入る事となった。


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