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5-8 町への帰還

 これ、、最大にすると本当にドラゴン退治できるかも?!


まだ見た事のないドラゴンについ試したくなっていた彼であった。



今回回収したワイバーンの部位材料はこの戦いに参加した皆に平等に換金して渡されるとギルドから当初聞いていた、総数17体分のお土産になる 幾らになるか帰還途中の冒険者達のもっぱらの話題であったのは当然でもあった。


予想をはるかに超えたワイバーンの始末に皆が浮足立っていた、当初のギルドの計算ではとても10体迄退治できないだろうと計算していたのが、大幅に上回りしかも死者は誰一人出ていなかったからだ。


夜間の襲撃が一番の成果だが、冒険者の誰もがタローが製作した魔道具が大きく作戦に功労したと認めていたのだ。暗闇の岩山昇りに一人の落伍者もなく、総攻撃に対してワイバーンへの目くらまし作戦、、これらにタローが作った魔道具が途轍もない威力を発揮して皆を守り切ったとの認識であった。


今回の現場総指揮者である彼は喜びの中に別にタローに対して不安も抱えていた、彼は今回目立ち過ぎたのであった。町の冒険者は当然、傭兵達からもその名と存在を知れてしまったからだ。


はっきり言えば隠し切れない存在となってしまったからだ、 ギルマスと至急に話し合いが必要だ そう何度も心の中で言葉が繰り返されていた。


遠征者たちは浮かれ切って森の中を抜け切ろうとしていた、もう直ぐ街道に出れば後半日で自分等の町へと帰りつく、皆からの大歓声の中で出迎えてくれると顔も微笑んでいた。それが、、、


「「・・おい 上空をワイバーンが飛んでいるぞ?!」」


樹木の隙間から見える空間にて何体ものワイバーンが飛び去るのを皆が見ていた。


「・・おいおい あの方向は、、、、」

「「ああ、、 俺達の町へ向かっている?!」」


皆が空を見上げてとてつもない不安に襲われ始めていた。


「・・いかん 早くこの森から脱出するぞ、続け!」


副ギルマスを始め皆が今迄の戦勝気分が見事に吹き飛び、不安の種が大きく広がり始めていく。

懸命に皆が森からの脱出に変わっていた、嫌な雰囲気が全員を包み始めていたのだ。今回ワイバーンを殲滅できたわけではない、無論当初からそれは不可能とギルドも計算していた。

少しでも彼等の数を減らす事が目的で、減らした事により彼等の餌となる他の動物や魔物が必要以上に減らさずに互いの生存域を守れると踏んでいた。


当然そうなると思っていたが、ひとつだけ誤算があった。彼等は魔物としては頭がいいとして有名であった、彼等の巣にて多数の仲間の死骸を見てその復讐に動き出した可能性がある、、


樹木の隙間から見えた彼等の数は正確には分からない、、なれど皆の胸に途方もない不安が湧き上がってきたのは事実であった。そんな不安を押さえながら全員が至急にこの森から出て、皆が住む町の住民や家族を守るために気が逸っていく。


半日近くをかけて懸命に森から脱出した皆が荒い息を弾ませながらも街道へと出て来た。

ここ迄くれば後ゆっくり歩いてももう半日で町まで帰れる。が そんな気分はとっくに飛び去っている、町の方角を見ながら何か異常が起きていないかと全員が祈るような気持ちである一点を凝視していたからだ。


「・・おい あれはもしかして煙?、、」

「「「・・ああ 間違いない、そしてあの方角は俺達の住む町か?!」」」


一瞬全員が固まってしまい 街のある方角へと呆然と見つめていたのだ。


「おい 呆けるではない!町を救うぞ 全員走れ!!」


副ギルマスの大声に皆が一瞬で現実に戻った、蛮声が響き渡り全員が夢中で自分等の町へと走り出したのだ。


「「「「うぉぉぉー 待ってろよ 直ぐに助けてやるからな!!」」」」


口々に皆が叫びながら最後の力で町まで走り出しだしたのだ。


 ・・シェリーさん 待っててください、もう直ぐで帰りつきますからね、、


それはタローも同じであった、只でさえ彼女はワイバーンにより大切な母親を亡くしている。そのトラウマが彼女に再び襲い掛かろうとしていていた、それを思うと胸が切り裂かれる様な気持ちになる。


 町へ急げ 町へ、、、全員が目の色を変えて只夢中で走り出した。




それは突然だった、、町が設置した危険を知らせる鐘が気が触れたように鳴り響いて居たからだ。


 何事が起きた?!


住民の多くが家から飛び出して周辺を探し回りその原因を知ろうとしていた。


 あっ、、 あれはなんなの?!


住民の一人が空を指さして叫んでいた、遥か上空の空にゴマ粒みたいなものが何個も浮かんでいるのを見つけたのだ。そして それは次第に大きさを増してこの町へと迫って来ていたのだ。


 ワ ワイバーン?!


誰かが気が触れた様な大声で叫び出す。

それでも住民達は暫くの間は余りの事に何も出来ずにその姿を見つめているだけであった。

それは彼女も シェリーも同じであった、買い物客と何人かで呆然とその姿を見つめていた。


 ・・いけない 避難をしなければ!


ようやく正気に戻り彼女は大声で住民達に叫ぶ。


 「・・ワイバーンに間違いないわ 逃げるのよ!そう、、近くの協会へ至急に逃げなければ危ない!」


彼女の大声は現実に戻った住民達が一斉にパニックに陥るほどの慌てぶりを起こす、途端に皆が勝手バラバラに動き出し始めたからだ。


「皆さーん 教会へ 教会へ至急に逃げて下さい!」


声の限り彼女はパニックになっている市民へと逃げ込み先を知らせて行く。


 ・・私も逃げなくては、、、


皆が少し落ち着き始めて教会方面に逃げ出していくのを見て彼女もその後を追いかけ始めた。




「な 何ですと、ワイバーンの襲撃だと?! 遠征隊はどうしたんだ、もしかして壊滅状態?!」


突然の狂報にギルマスも慌てだす。


「・・支援部隊の配置を急げ!領主にも報告を!住民の避難確保も急いでくれ!」


しかしすぐさま彼は立ち直り矢継ぎ早に指示を繰り出して、ワイバーンとの対決に向けてのギルドは通常町の出入り口に近い場所に作られている、この建物の屋上に彼は素早く昇ると遠くの空を見つめていた。


 ・・ワイバーンに間違いはない、、数は15体もいないか、意外と少ない?もしかして遠征隊がかなり頑張ったのか、、、


しかしこの小さな町ではワイバーンが3体も居れば壊滅に近い損害も予測される、ふと下を見ると逃げ惑う住民達によりパニック状態が続いていた。


「・・ギルマス 支援隊も含めてほぼ全員が持ち場に到着した連絡が入ってきました!」


息を切らして職員の一人が彼の元へとやってきた。


「・・了解 打ち合わせ通り攻撃範囲に入ったら迷わず攻撃を開始する様に伝えてくれ。私は暫くここで状況を確認する」


再びその職員は慌てて下へと走り出す。


 もう直ぐあの魔物が町に現れる、、遠征隊はどうなったのか 連絡が丸っきり入ってこない、、



その頃 街道をひたすら走り町へと急ぐ冒険者の集団があった、個人の自力や荷物の重さ等が加わり隊列は長くバラつきが見られ始めていく。

トップ集団は約7名程が皆を引き離して町へと急いでいた、何れも冒険者としてこの町ではトップクラスの者達であった。その中にタローも入り必死に皆に付いて走り込む。


 ・・流石この町でもトップクラスの彼等だ、俺は魔法袋に見せかけだけのリュックを背負ってかなり身軽だが、彼等は重い荷物を持ちながら平気な顔で走り続けている。


トップクラスの者達の底力を改めて感じさせられる一幕でもあった。


 ・・シェリーさん どうか無事でいてくれ、、、


彼の頭の中はそれで占められていたのだ。




「・・皆さん 早くこの中へ、、、」


シェリーが教会のドアを開けて近くの住民が駆け込んでくるのを案内している。


「・・シェリーお姉ちゃん ワイバーンって怖いの?」


5歳くらいの女の子が片手にお気に入りの人形を抱え、母親に連れられて入ってきた。


「・・うん ジュリアちゃんは可愛いから狙われるかもしれないよ?」

「嫌だ 私美味しくないよ、、」


怖そうに震える仕草が何となく可愛いのでシェリーとその母親も苦笑いをしながら協会の奥へ行く事を進めていた。


 あっ、、上空にワイバーンらしきものが、、、


とうとう魔物が町へと入り込んできた様だ。



「「撃て 撃て 弓矢隊も遠慮するなよ、叩き落せ!!」


町の防衛隊や冒険者達が低空する魔物に対して懸命にバリスターの矢や弓矢にて襲い掛かり始める。

しかし上空を飛びスピードはかなりのものでおまけに矢の雨を器用に旋回しながら回避して執拗に獲物?を狙っている。


「「くそ野郎 お前に食べられてたまるか!逆に俺が食べてやる!」」


皆がこれでもかと矢の雨を降らすが偶に矢が当たる程度でそれも魔物の固い皮膚に僅かに刺さる程度であった。


「翼だ 翼をしっかり狙わんかい!」

「「そうは言ってもあれだけ上空を飛びまわられると、、」」

「弱音を吐くな 地上に落とさねば勝負が出来んのだ!」・・・


 ・・うーむ 皆が苦労しているみたいですね、、


ギルマスは腕を組みながら皆の奮闘を見てはいるが、状況としてはあまり良くない。


 ・・せめて遠征したメンバーが戻ってきてくれれば、、


一際大きな音が辺りに響き渡った。何事かと視線を向けるとワイバーンが建物に体当たりをして中の人間を捕食しようとしていた。


 「いかん!あの建物は、、教会か?」


多くの人が逃げ込んだ場所に魔物の一体が体当たりをして壁を崩しかけていた。



「「「きゃーー ワイバーンが、、、、」」」


避難民たちは怯えて中には泣き出す子供達が出て来た。


「・・早く もっと奥へ逃げて!」


ここには男手がほぼいない、牧師見習いも恐怖で奥で怯えているだけだ。

一度の攻撃で壁がほぼ半壊状態になった、同じ場所を再度攻撃されると次は危ない、、


「・・地下室は?皆さん地下室に逃げて下さい!」

「そ それが地下室の扉が開かないの、、中に入っている人が扉を締め切った様で、、」

「何ですって?そんなバカな事をして、、ここにはまだ沢山の人が避難しているのに、、」

「シェリー姉ちゃん 怖いよ、、、」


幼い子供が鳴き声を上げ始め、それを必死にあやす母親たちがいた。

地下に入れない人が推測15名ばかりいる、、シェリーは血の気が下がってきた。


 ・・次の攻撃で間違いなく壁の一部が破壊される、、すると魔物達が中に、、、


追い詰められたシェリーたちに応援の人々は向かって来ている気配は薄い、、どうにかしなければ 彼女は必死に対策を考えていた。


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