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5-7 ワイバーン退治へ 3

彼が深々と頭を下げて協力依頼をしてきたのだ、ギルマスから何やらタローの件で吹きこまれていたようで余計な詮索は敢えてしないという方針の様だと感じていた。


「・・頭を上げて下さい、皆さんの為に出来る事は全てするつもりですので、、」


そろそろ夕闇が近づいて来た、渡してあったヘツドライトのテスト開始時間が迫ってきた。


「「「では 行ってくるぜ、、」」」


辺りが暗くなってから選抜された3名が赤いライトを付けながら森の奥へと入り込んだ。

その結果は直ぐに現れた、1時間の決められた時間で彼等が戻って来て副ギルマス達が待っている場所へと戻ってくるなり大騒ぎの報告となった。


「す 凄すぎる、魔物が照らされても殆ど反応しなかったぞ!」

「しかも簡単に近寄る事が可能で、夜の狩がこんなに楽なものになるとは、、」

「そうとも その気になれば狩り放題の状態だったぜ!」

「「「是非ともこのライトを今夜貸して欲しい!!」


思ったよりも好評の様で安堵したタローであった、おまけに彼等は帰りしなにライトを通常の状態にして互いに離れた場所から照らし出すと、完全に目つぶし状態になりライト位置をずらしても暫くは良く見えなかったことまで報告が上がってきた。


「「そ そうか?!これで迷わずに近寄り、モードを変えて目くらましで相手の動作を止める事が可能になったのか?!」」


各リーダー達も今からの作戦がかなり有利に進みそうだと安堵していた。


「・・タローさん 是非とも各班に1個の配給をお願いしたい、、」


当然そのつもりで先ほどからテント内で製作を開始していた、各班に配りまだ動くには早いのでライト使用者にその使い方を教え込む時間は十分にあった。


時間は過ぎ皆の気力が練りあげられ、いざ出発の時間となる。各班の先頭が暗闇の中赤いライトを頼りに

目の前の岩山へと昇り始めていた。



「「「・・静かにな、、音は極力立てるなよ、、、」」」


敵の巣へと冒険者達は緊張しながらしかし確実に進み始めていた。

昼間監視していてこの岩の上に確かに沢山のワイバーンが飛びまわっていたのを確認していたのだ。

ここで誰かが何か粗相をしたら魔物達は一斉に目覚め警戒態勢に入る、慎重の上にも慎重に冒険者達は声を殺して岩にしがみつき少しづつ距離を近寄せて行く。



 ・・タローさん 後どの位で頂上なんだ?


彼の下から昇って来る者が小声で尋ねてきた。


 ・・そうですね もう少しで、、おそらく先頭は頂上に到達した頃と思います。


彼等は第3班になる 頂上付近はかなり広い場所になっていると聞かされた、先頭達は静かに皆が到着するのを待っている筈だ、、、



 ・・おい 見えるか?こんなワイバーンの数など見た事もないぞ、、、


赤いライトの中にうっすらと魔物達が巣の中に横たわっている姿を確認していたのだ。


 ・・ごくり ここで奴らが暴れ始めたら俺達はお終いだな、、

 ・・でも赤いライトは凄いな、、奴らは何も気づかずに寝込んでいるぞ。距離は百メートルも無いか?!


 おい 静かにせんか、、皆が上がって来る迄は気づかれるわけにはいかない、、


先頭の班は出来るだけ気づかれない様に姿勢を低くして横に散らばっていく。

そうこうしている間にも味方は次々と到達して横へと広がり後続の邪魔にならない様に広がっていく。



「・・全員無事に昇り着いたな? これから先は予定通りに事を進める、、、」


ほぼ全員が背中に弓矢を背負っていた、冒険者達は己の武器以外に遠距離用に一度は弓矢を習っていく、上手下手の違いはあれど冒険者の嗜みのひとつだ。


「よし ライトを前方に向けろ、、弓を構えろ!」


まだ赤いライトのままだが、前方を10のヘツドライトが照らすとそれなりに魔物の輪郭が浮かび上がって来る。


「・・今だ 全員撃て!!」


その声に反応したのか何体かのワイバーンが暗い闇の中を何かを探す様子が見られた。

しかし そこが何処かは分からないうちに空中に50本の矢が舞い上がり自分や仲間に降り注いでいく。


「「「「「ギャオーー  ギャアァァァァ、、、」」」」」


突然の矢の襲来に魔物達は全員が目覚めるが、暗闇の中敵が確認できない状態が続いていた。


「撃て 撃て、、、、」


副ギルマスの声が一段と大きく辺りに響き渡り冒険者達は懸命に矢の馳走をワイバーンへと届ける。


「よし 1~3班は突撃だ! 他は灯りを目くらましモードに切り替えて支援をしろ!」


その声に冒険者達は蛮声を張り上げて突入が開始されていく。


「仲間を守れ!ありったけの矢をぶち込め!」


ヘツドライトは白色の明るい光に切り替えられ狙う矢も正確さが跳ね上がっていく。

ワイバーン達は突然の昼間の様な光により目の感覚が追いつかずにその光から目を逸らす様な仕草が見れていた。


「副ギルマス もう直ぐ矢が無くなります、我等も突撃します!」


そう発せられると同時に後続の者達が蛮声を張り上げて、先に行く冒険者の後を追いかけるように走り込み始めた。


 ・・頑張れ みんな、、絶対死ぬなよ、、、


後方で指示をしていた彼は祈るように皆の突進に見入っていた。

タローも同じく皆に続き突撃していき、この闇夜に乗じて時折立ち止まりレーザー銃にてワイバーンが空中に逃げない様にその翼に穴をあけて行くのであった。

ワイバーンの巣は阿鼻狂乱の声が響き渡り、この世のものではない修羅場が始まっていく。


 ?! あいつは時折何をしているんだ?うん?、、、赤い線が手元から発せられているような、、?


すでに何体かは大空に飛びあがっているが、その赤い光が彼から発せられる度にワイバーンが安定を崩して落下してくるのを副ギルマスは確認していた。

戦いの最中の冒険者達は誰も気付いてはいないが、後方から皆の動きを見つめている彼には一人不可思議な行動をとるタローに自然と注目していたのだ。


 ・・確かにあの赤い光が出るとワイバーンが何故か地上に落ちて暴れまくっている、、、


それでも結果的に10数体のワイバーンがここは不利とばかり空中高く舞い上がり暗黒の空へと消え去っていく。


残ったワイバーンに魔法を打つ者、剣をこれでもかと叩きつける者達の必死の戦いが展開していた。

その戦いはどの位続いたのか、握りしめている彼の掌にはぐっしょりと汗が流れていたが、そんな事には気づかずに彼は冒険者に大声で指示を上げ続けていた。



 ・・・・・終わったのか? 勝ったのか、、信じられん戦いだった。


やがて彼は戦いの終焉を感じてゆっくりと皆の元へと歩みだしていく。

修羅と化した現場は殆どの冒険者が満身創痍になり、荒い息と共に座り込んでいるのが見える。先ほどまでのあの荒々しい声が止まり、息をするのがやっとと言う有様であった。


そんな冒険者一人一人に声をかけて、肩に手を置き労いの声をかけて廻る彼であった。そんな中で一人が何事もなかったようにワイバーンの遺体の前に跪き魔石や部材品を回収している男がいた。


 ・・タロー?!


彼の目にもタローが異常な存在の様に映っていく、、、


 ・・ギルマス やはりあなたの推測は正しかったようです、、彼は異世界人に間違いない。


そう呟いていた副ギルマスであった。



こんな戦いであったのに不思議と死者は皆無な状態であった、重・軽傷者は多数、、怪我をしなかったのはほんの一握りの者達しかいなかった。

負傷者は豊富な各種ポーション類のお陰で左程時間を掛けずに歩けるまで回復していく。

この現場の凄まじさは日が昇るにつれて確認が取れて行く、その時には回復した冒険者により魔石や重要な部位は回収されてほぼ終わりに近づいていた。


「・・おい 少し疑問なんだが、、俺は翼の部位を回収命令されたんだが、、何故か翼に大きな穴が開いている個体が何体もあるんだよな、、此れって矢で開けられた穴とは違うと思うんだが、、」


どれどれと他の冒険者がその実物を覗き込むが、彼も理解できない穴だと考え込んでいた。

たまたまその近くにいた副ギルマスがその者達の会話が耳に入る。通り過ぎようとしていたが彼は思わず何かを思い出したように彼等に近寄る。


「・・その実物を私にも見せてくれ」


突然の副ギルマスの登場にその二人は これです と言いながら部位を差し出した。


 ・・・・何だ この穴の開き方は、、例えるならば大型のバリスターの矢が翼を貫いた そんな感じのする穴の開き方であったのだ。当然そんな武器等今回持ち歩いてはいない、すると、、、、


 これか あの男の赤い光の正体は、、、


本人に確認するしかないが、恐らくは彼は笑いながら否定する そんな気がしていた。


 珍しい物を見せてもらった、、、 


そう言って彼はその場から離れて行く。

恐らく武器であろうと思う、しかしそんな威力の武器等見た事もない。少し身の毛がよだつ感覚に襲われていた、かれを怒らせたらとんでもない事が起きそうだ、、

得体の知れない恐怖感が副ギルマスの全身を包み込んでいた。


そんな事があったのをタローは何も知らずにご機嫌な状態であった。思ったより簡単にワイバーンの翼を破壊できたことに満足していたのだ。彼が使用したモードは中より少し強めにしただけで、それに当たるとワイバーンが面白い様にバランスを崩して落下していく様は彼の満足度を満たしてくれていたからだ。


 これ、、最大にすると本当にドラゴン退治できるかも?!


まだ見た事のないドラゴンについ試したくなっていた彼であった。


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