第36話
本作では、創作補助としてChatGPTを利用しています。
物語・設定・キャラクターは作者自身が作成し、文章の推敲や表現の整理にAIを活用しています。
そのため、本作はAI利用区分を「AI直接使用」に設定しています。
「お食事が出来ましたよー」
ミレナの澄んだ声が家中に響いた。
ばたばたと足音が近づいてくる。カティア嬢が嬉しそうに駆けてきた。
続いて皆が集まり、最後にサーシャが気だるそうにやってきて、テーブルにつく。
「美味しそ~!」
「そうでしょう? 結局、ほとんどイヴァンさんが作ってくださったのよ」
ミレナが微笑みながら言った。
「昨日に続いて美味いご飯が食べられるなんて、幸せだね~」
ミハイルが嬉しそうに言うと、アンドレイが頷く。
「美味いものは何度食べても最高だからな」
「カティアちゃんも早く食ってみろよ! ほんと、うめーから!」
いち早く食べ始めていたダニールが、料理を頬張りながら言った。
「ダニール、はしたないぞ! いつもいつも言わせるな!」
アンドレイが注意するものの、ダニールは気にする様子もなく食べ続けている。
「さ、皆さんも頂きましょう♪」
ミレナの一言で、皆が一斉に食べ始めた。
カティア嬢が料理を口に運ぶ。途端に、その目がぱっと輝いた。
「むふーーー」
言葉にならない声を漏らしながら、味を堪能するように目を閉じる。
一口が大きかったのか、頬を膨らませ、子供のように食べるその姿は、相変わらず愛らしい。
イヴァンは気になって、サーシャに目を向けた。ちょうど今から料理に手をつけるところだった。
小さく息を吐き、気だるそうに料理を口へ運ぶ。
その時だった。まるで先ほどのカティア嬢を再現したかのように、サーシャも全く同じ反応をした。
違ったのは、声を発していないことくらいだ。
「っぷふ!」
思わずイヴァンは吹き出してしまい、咄嗟に口を押さえた。
「どうかしたの? イヴァン」
ミハイルが首を傾げながら尋ねてくる。
「……いや……なんでもない」
イヴァンはそう答えながら手を上げたものの、笑いを止められず顔を隠した。それでも肩は震えてしまっていた。
そんなイヴァンを見て、ミレナがほほ笑みながら口を開いた。
「似てるでしょう? 兄妹だからなのかもしれないけど……何をするにもカティアがサーシャの真似ばかりしてきたせいか、こういうちょっとした仕草までそっくりになっちゃったのよ」
ミレナの言葉に、ミハイルはサーシャとカティア嬢を見比べ、「ああ!」と相槌を打った。
「この口いっぱいに頬張る食べ方もそう。美味しいと食事に集中してしまうところとかも。自分たちの話をされていることに、まったく気づかないとか。そんな所まで同じじゃなくてもいいのにって思うくらいよね」
なるほど、それで本人を前にして堂々とこんな事を言っているのか……。
そう、イヴァンは納得しながら、カティア嬢を見る。そして、もう一度サーシャを見る。
目が合ってしまった。
「なんだよ」
むすっとした顔になって、サーシャが言った。
「いや、その……。美味いか?」
イヴァンは取り繕うように笑顔で尋ねた。だが、返ってきたのは小さな舌打ちだった。
「食事に集中して、人の話が全く耳に入らないやつなら、そこにもう一人いるぞ」
そう言って、アンドレイがダニールを指差した。ダニールは相変わらず、貪るように食事をしている。
「おい、ダニール! そう思うだろ?」
アンドレイが強めに声をかけると、ダニールが動きをぴたりと止め、アンドレイを見る。
「ああ? なんだ? なんの話だ?」
「ほらな?」
「っぶは!」
今度は完全に吹き出してしまった。
「なんだよ」
「お前が男前だって話だよ」
アンドレイがしれっと言うと、ダニールは満足そうな顔をしてみせた。
「そうか、そうか。俺の男前さは隠しきれないようだな」
「そうだな。今のは冗談だけどな」
さらにアンドレイが悪びれもせずに言うと、ダニールは肩を落とし、恨めしそうにアンドレイを見た。
「お前、涼しい顔で冗談言うのやめろよ。本気にするだろ……」
「冗談だとは言ったが、嘘だとは言ってないだろ?」
「それってどっちなんだよ……」
ダニールは困惑したような顔をしながらも、料理を口に運んでいた。
「そんなことより、ミレナさん。サーシャとカティアちゃんって、小さい頃はどんな子供だったんですか?」
ミハイルが二人の話の腰を折るように、ミレナに話しかけた。
「そんなことよりって……ミハイル。俺の扱い雑すぎないか?」
「あはは」
ダニールの言葉に、ミハイルは笑って返しただけだった。
ミレナは三人のやりとりを楽しげに見ていたが、そっとサーシャに視線を移すと、微笑みながらわずかに目を細めた。
「サーシャはね、小さい頃から立派な方に魔法を教わっていたせいか、子供らしさが全然なかったの。わがままも言わないし、友だちが欲しいなんてことも言ったことがなくて、こっちが心配しちゃうくらい。それに比べて、カティアはお転婆で手が付けられなくて、サーシャにどこまでも付いて行っちゃうから危なっかしくて」
ミレナはカティアを見ながら呆れたようにため息をついた。
「女の子なのに小さい頃から剣を振り回して怪我だらけになって……顔に傷でも出来たらどうしようかと、冷や冷やしてたのよ。傷が理由で好きな人と一緒になれないなんてことになったら大変でしょ? まあ、でも、その心配はもうないかしら」
ミレナはイヴァンへ意味ありげに笑顔を向けた。イヴァンは苦笑いを返すしかできなかった。
「二人とも他人となんて関わってこなかったから、人付き合いが下手でしょ。カティアなんて、少し変わったところがあるから余計。友だちが欲しいから王都で冒険者になるなんて言い出した時は焦ったわ。それにサーシャまで付いて行くなんて言い出して、心配で仕方なかったけど……杞憂だったみたいね」
その言葉にイヴァンの胸はどきりと高鳴った。杞憂ではない。十分、色々と起きてしまっている。
カティア嬢を見ると、まだ食事に集中しているらしく、話を聞いていないようだった。サーシャに至っては、デザートにと作った季節の果実を使ったパイに目を輝かせているところだ。
呑気なものだ……。苦笑しながらも、イヴァンはふと思ったことを口にした。
「カティア嬢にサーシャが付いてきたんですね。俺はてっきり、サーシャにカティア嬢が付いてきたのだと思ってました。カティア嬢はいつも、サーシャの後を追いかけて行ってしまうので……」
ミレナは口元を押さえて小さく笑うと、イヴァンを見返した。
「意外だった? 実は逆なのよ。サーシャがカティアを大切に思いすぎて後を追いかけてるのよ。二人とも好きなようにしているようで、結局はカティアは自分がしたい事を優先するし、サーシャはカティアを優先してしまうの。だからサーシャはカティアに振り回されてばかりいるわ」
思い返してみたら、ギルドの掲示板を見にくるのもカティア嬢だった。依頼を決めているのもカティア嬢なのかもしれない。
そういえば、カティア嬢はこの旅のこともサーシャに言わず出ようとしていた。サーシャが付いてくるのが当たり前のことだと思っているのかもしれない。
「あー、美味しかった!」
カティア嬢が笑顔で満足そうに椅子にもたれた。その様子にミレナがくすくすと笑った。
「カティアはお料理が苦手だから、イヴァンさんみたいなお料理上手なお相手が必要よね」
あまりにもミレナが露骨に言うもので、イヴァンは思わずカティア嬢の反応を窺ってしまった。
「え、お兄ちゃんがいるから大丈夫だよ?」
「馬鹿ねえ、いつまでも一緒に居れるとは限らないでしょ。いつかサーシャにいい人が出来るかもしれないでしょう?」
「お兄ちゃんに……?」
そう呟きながらカティア嬢はサーシャを見やった。当のサーシャはパイが気に入ったらしく、お代わりをしてその味を堪能しているところだった。
「え……三人で暮らす?」
困惑したように言うカティア嬢に、ミレナがため息をつきつつ首を振った。
「無理に決まってるでしょう? 例えサーシャがいいと言っても、お相手の気持ちがあるのよ? あなたが一緒に居たら邪魔なだけじゃない。それにカティアだっていつかは結婚するかもしれないでしょう? その時にあなたのお相手の気持ちも尊重してあげなきゃ駄目なのよ?」
「え……。お、お兄ちゃんに……お相手? ……私が、邪魔? ……結婚? ……尊重? ……?」
カティア嬢の動きが停止した。完全に頭が追いついていない様子だった。
「カ、カティア嬢。今すぐの話じゃないんだ。まだ理解できなくても、ゆっくりわかっていけばいいんじゃないか? それより、果実パイは食べてみたか? サーシャも気に入ってるようなんだ」
「果実パイ?……まだ食べてないです」
カティア嬢はイヴァンの言葉に目をうるうるさせながらも、パイに目を向けた。パイを取り分けた皿を目の前に置くと、カティア嬢の表情が一気に明るくなった。その笑顔に、イヴァンは胸をなでおろした。
「これじゃいつまでたっても進展しないわね……」
ミレナが頬に手を当てながら大きくため息をついた。
「カティアちゃん、俺と結婚したら全員一緒に暮らしていいぜ! サーシャもミハイルもアンドレイも皆一緒だ! なんなら『蒼銀の翼』の奴らも一緒でもいい! イヴァンだけは別だけどな!!」
ダニールが胸を叩いて豪語した。カティア嬢はパイに夢中で聞いていないようだったが、イヴァンが苛立ちダニールを睨んだ瞬間──
「モロザ──《氷》」
アンドレイの詠唱とも言えない短い言葉とともに、小さな氷の塊が現れ、ダニールの頭に勢いよく打ち付けられた。
「いてっ!!」
「ダニール、余計なことを言うな。お前はどこの蛮族の王だ。それに俺はお前の結婚生活に混ざるのはごめんだ」
「だからってわざわざ氷作って投げつけることねーだろ!」
「ダニール。僕は一緒に暮らしてもいいよ。楽しそうだよね」
ミハイルが楽しそうに答える横でミレナが感心したように口を開いた。
「アンドレイさんは優秀な魔法使いさんなのね。そんな短い詠唱で魔法を使ってしまうなんて」
「いえ、こんなの魔法のうちに入らないですよ」
「俺も驚いた。まるで──」
そこまで言いかけて、イヴァンは咄嗟に言うのをやめた。“まるでサーシャみたいだ”とこの場で言ってしまったら、ミレナに剣の件を気づかれてしまうかもしれない。
「アンドレイは氷の精霊と相性がいいから、これくらいのことなら精霊が察して動いてくれるらしいよ」
ミハイルが補足するように言った。
「そうなのか?」
「精霊はそこら中にいるとされてるんだ。常に人を見ていて、気に入った相手なら即座に動いてくれる。ただし、正確な魔法を放つ場合は、しっかりと言葉で伝えなければならない。それが詠唱というものなんだ」
「そうだったんだな……知らなかった」
イヴァンは感心したように言った。今まで魔法のことを知ろうとしなかった。精霊との関わりなどなおさらだ。
ただ今の話で常に精霊に見られていると知り、少し落ち着けずにいた。ありもしない視線を意識してしまう。
ゴンッ!!
突然大きな音が響いた。音の方に目をやると、サーシャがテーブルに突っ伏していた。
「あ、お兄ちゃん寝ちゃった」
「あらまあ。お腹が満たされて眠くなっちゃったのね」
「嘘だろ! こいつ、どこまで子供みたいなんだよ!」
ダニールが指をさして笑いながら大声で言った。
「馬鹿、やめろ! 聞こえたらどうするんだ!」
イヴァンが慌てて注意すると、ミレナが笑った。
「大丈夫よイヴァンさん。こうなったら起きないから。小さい子みたいで可愛いでしょ?」
それからミレナがカティア嬢へ視線を向ける。
「カティア、サーシャを運んでちょうだい。あなたもそろそろ眠いでしょう? 一緒に休んでしまいなさい」
「うん、そうするね」
「僕もそろそろ休ませてもらおうかな。カティアちゃん、僕がサーシャを運ぶよ」
そう言ってミハイルは立ち上がり、サーシャの元へ行くとひょいっと抱きかかえた。
「ありがとうございます、ミハイルさん」
「いえいえ」
礼を言うカティア嬢に、ミハイルはにっこりして答えた。
「カティア。ちゃんと着替えてから寝るのよ。それから、サーシャも着替えさせてあげてね」
「それなら僕も手伝うよ。カティアちゃん一人じゃ大変でしょう」
「あ、じゃあ、ミハイルさんもお兄ちゃんを可愛くさせましょう♪」
「カティアやめなさい。後で怒られるわよ」
不穏なやり取りにイヴァンが止めに入ろうと思った矢先に、ミレナの制止が入った。
「はーい……」
「僕もサーシャに怒られるのは嫌だな」
ミハイルは笑いながらそう言うと、サーシャを連れて家の奥へと向かった。カティア嬢もそれに続いた。
「ミハイルさん、まるでお兄さんみたいね」
ミレナがくすりと笑って二人を目で見送っていた。
「あいつは周りに気を使いすぎなんだよ」
ダニールの意外な言葉に、イヴァンは少し驚いた。
「ダニールさんからしたら、ミハイルさんは弟みたいなものかしら? 三人とも兄妹みたいに仲が良いものね。ミハイルさんは末っ子って感じよね。さしずめダニールさんが長男ってところかしら」
ミレナのその言葉に、ダニールとアンドレイが驚き呆けた顔になった。
すぐにアンドレイが鋭い目でダニールを見やり唸った。
「はあ?」
「あ”あ?」
ダニールが返すとアンドレイがため息をついた。
「お前のどこが長男なんだよ」
「俺が言ったわけじゃないのに、人の顔を見て勝手に切れんな!」
そのやり取りにミレナが楽しげにくすくすと笑った。それからふと、何かを思い出したようにイヴァンに視線を移した。
「ねえイヴァンさん。サーシャとカティアが住んでいる家があるでしょう? あれ、もともと私の家だったのよ」
「ああ、なるほど。二人のランクで拠点があるのを不思議に思っていたんですけど、そういうことだったんですね」
「ふふ。昔ね。王都の劇場で歌ってた頃に建てたのよ。カティアが大人になったらあげようと思っていたのだけど……二人がいい感じになったら、サーシャを追い出してそこで一緒に暮らすといいわ」
その唐突な言葉にイヴァンは焦って言葉を探した。
「いや、その……俺たちはそういう関係に至ってないというか……カティア嬢はそうは思ってくれていないというか……。そういう関係になれるとは……」
「なんなんだよお前。面倒くせーな。お前がはっきり言わないからカティアちゃんに通じないんじゃねーの?」
「うるさい! そんなはっきり言えるわけないだろ!」
ダニールの言葉に、イヴァンは強く反発した。
「なんでだよ。ギルド内で盛大に求婚までしといて、何言ってるんだよ。あれが出来てなんではっきり言えないんだよ。意味わかんねーな」
その言葉に思い出したくない記憶が蘇り、急に気持ちが沈み込んだ。
「あれは、違うんだ……。あの時は……なぜか気持ちが抑えられなかった……いつもの自分じゃなかったんだ……どうかしていた……」
「はあ?!」
言い淀むイヴァンにダニールが呆れたように声をあげた。
「今は、自信がないんだ……慎重にもなる……」
言い訳にもなっていない自分の言葉に情けなくなる。
ふと視線を感じ、そちらを見るとミレナが口元を押さえて目を輝かせていた。
「ギルド内で……盛大に求婚……」
喜んでいる! 自分の過去の汚点がミレナを喜ばせてしまっている。そのことにイヴァンは複雑な気持ちになった。
すると、先ほどから黙っていたアンドレイが、何かに気付いたかのように口を開いた。
「劇場で歌っていたって……ミレナさん、もしかして月光華の歌姫と呼ばれてたあの伝説の歌姫“ミレナ”じゃないですか?」
アンドレイの言葉にその場が静まり返った。
……どこかで聞いたことあるような。その時、イヴァンの脳裏にラリッサの言葉が蘇ってきた。
『その歌声と姿は月光に咲く華のようで、とても人の手には届かないほどに美しいって──月光華の歌姫。ああ、ミレナ様! 王都に来たらどこかでばったり会えるかも!って思ってやってきたのに! 全然会えない! もうここには居ないのかもー!』
あの時ラリッサが言ってた人物か?!
「あらやだ、そんな風に呼ばれてた頃もあったけれど、もう昔のことよ」
あまりにもあっさりと言うミレナに、イヴァンは動揺しつつもどこかですんなり受け入れてしまう自分に戸惑っていた。
なんだろう……もう今更サーシャとカティア嬢の身内が凄い存在でも素直に驚けない。もうあの二人にどんな身内が居ようが不思議ではない気がしてきた。
ダニールが話についてこれないようで、一人首を傾げていた。
「え? そんなに有名なのか?」
「彼女の歌声は唯一無二とされ国交にも使われたくらいだ。それが忽然と表舞台から姿を消したことで大騒ぎになったらしいが……そうか、セルゲイ先生とご結婚されたからか……。しかし、よく国が手放してくれたものだな……」
アンドレイが、不思議そうに顎に手を当て考え込んだ。
「それは、とある方が尽力してくださってね、穏便に解決してくださったの」
とある方? まさか……。イヴァンは心の中で呟いた。
「それにね。実は私、国王とは友人と言える程度の交流はあったのよ。若いころ……本当に若いころにだけれど、愛を告げられたこともあるのよ」
そう言うとミレナが遠くを見つめるように視線を向け、わずかに目を細めた。
「嘘だろ? じゃあ、ミレナさん王妃様になってたかもしれなかったのか?!」
驚いて身を乗り出すダニールを、ミレナは楽しげに見て笑った。
「ふふ、王妃は無理よ。側室くらいにはなれたかもしれないわね。でも、お断りしたのよ」
「なんでだ?」
「そうね……彼の顔、好みじゃなかったのよ」
「くそっ! やっぱり顔なのかよ!!」
ダニールがテーブルを叩きながら嘆いた。
こいつ、完全に遊ばれている……。イヴァンはそう思い、ふとアンドレイを見たら目が合った。
「イヴァン……。お前が今考えてること、他人事じゃないからな?」
「え?」
アンドレイの言葉にイヴァンが動揺していると、ミレナが何か思いついたかのように手を叩いた。
「そうだわ! 三人ともお酒は飲めて? 私、しばらく誰かとお酒を飲むなんてしてなくて。せっかく楽しくお話してるのだから、お酒を飲みながらもっとたくさんお話ししましょうよ」
「ダニール、酒だってさ。お前好きだろ? お相手させてもらったらどうだ?」
「ん? お前は? 飲まないのか?」
「俺はもう休む」
「あら、アンドレイさんはもう休んでしまうのね……残念だわ」
「すいません、あとはこの二人と楽しんでいただければ──」
そう言って立ち上がるアンドレイの服の裾をダニールが掴んだ。
「何してるんだよ、放せ」
「まあまあ、そう言うなって! お前ももっと楽しめよ。ミレナさんも寂しがってるだろ」
「アンドレイ、よく見てくれメンバーを……俺には荷が重い」
イヴァンのその言葉に、アンドレイは苦い顔をした。視線をダニールに移し、それからミレナへ視線を向けた。ミレナがアンドレイに笑顔を返すと、アンドレイはまたイヴァンへ視線を戻して大きくため息をついた。
「わかった。もう少しだけ付き合うよ」
そう言うとアンドレイは座りなおした。
その様子に、ミレナが満面の笑みを浮かべた。さすが、カティア嬢の祖母だな。あの笑顔に、断る選択肢は与えられない。そう感じた。
ご感想・レビュー・誤字報告など、ぜひお気軽にいただけたら嬉しいです。
「ここが気になった」「このキャラが印象に残った」など、一言だけでもとても励みになります。
いただいたご感想は、今後の創作の参考として大切に読ませていただきます。
楽しんでいただけましたら、ぜひ気軽にお声を聞かせてください。




