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第13話

本作では、創作補助としてChatGPTを利用しています。


物語やキャラクターは作者自身によるものですが、文章整理や推敲の補助としてAIを使用している箇所があります。


また、「小説家になろう」のAI利用状況区分の設定機能開始後は、本作を「AI直接使用」として設定予定です。

 全員が配置についた、その瞬間だった。“街道喰らい”の動きが、はっきりと変わった。先ほどまでのそれは、獲物を選ぶような動きだった。だが今は違う。身の危険を察し、生き残るために牙を剥いた獣のそれだ。


 脚が地面を叩くたび、重い音が響く。糸が空を裂き、イヴァンたちは距離を取る。剣を構え直し、イヴァンは短く息を吐いた。


「速さが想定以上だ。作戦変更──レオニード、前に出てくれ! 狙いは脚だ!」


 矢継ぎ早に指示を飛ばす。


「前衛は撹乱! レオニードは後ろ脚、ルカは頭部だ。魔法は逃げ道を断つのを優先、デニスは合図で一発頼む。ミハイルは援護射撃!」


 言い切ると同時に、イヴァンは踏み込んだ。ダニールとカティア嬢が続く。“街道喰らい”が脚を振り上げ、叩きつけてくる。息つく間もなく、次、また次。かわす。躱す。紙一重──。


 斬りかかっても、“街道喰らい”は脚を引き、位置をずらして刃を空振らせる。ルカの矢が頭部を狙うが、気配を察して後方へ跳ねた。その直後、デニスが詠唱に入った。


「大地の精ゼムリャよ、その歩みを地に縫い留め、退路を閉ざせ──《不退の地垣》!」


 “街道喰らい”の後方で地面が盛り上がり、柵状の障壁が立ち並ぶ。可動域が、大きく狭まった。


「いいぞ、デニス!」


 イヴァンはさらに踏み込み、同時にルカの矢が飛ぶ。矢を払いつつ、“街道喰らい”の脚が振り下ろされた。だが、先ほどほどの重さはない。


「ボグダン!」


 呼び声に応え、ボグダンが盾で攻撃を受け止める。その瞬間、脚に一撃。続けてレオニードが後ろ脚へ踏み込み、鋭く斬り裂いた。悲鳴にも似た音と共に、“街道喰らい”が暴れる。障壁が砕け散る。


 その隙を縫い、アンドレイが詠唱に入った。


「氷の精モロザよ、その冷たき理で──」


 だが、“街道喰らい”は即座に反応し、糸を放つ。


 ──弾けた。


 一本の矢が、糸を撃ち抜いた。ミハイルだ。間を置かず、幾本もの矢が続く。


「進路を塞げ──《凍閂の氷壁》!」


 氷の障壁が後方に築かれ、退路を完全に断つ。避けきれず、ミハイルの矢が“街道喰らい”の体に突き刺さった。ダニールが脚を狙い、イヴァンたちも次々と斬り込む。


 全ての脚が地についた、その瞬間──ルカの矢が、眼を射抜いた。


「デニス、今だ!」


「雷の精グローザよ、天より落ちるその怒りを──」


「全員、後退しろ! 巻き込まれるぞ!」


 距離を取る中、“街道喰らい”が動こうとする。レオニードが最後の一撃を叩き込み、跳び退く。ルカの矢が放たれるが、振り払われた。


「破壊ではなく、縛めの力へと変えよ──」


「ミハイル!!」


 ダニールの叫びに応えるように、高所から今までより大きな矢が連続で降り注ぐ。


「すげぇ……!」


 ルカが思わず声を上げた、その直後。


「我が敵を貫き、その身に雷の枷を打ち込め──《神雷の枷》!」


 雷光。轟音。電流が走り、“街道喰らい”を縛りつけた。


「今だ!!」


 全員が一斉に動く。


「ボグダン、上へ!」


 盾を構えたボグダンへ駆け込み、跳躍。盾を蹴り、イヴァンは上空へ。ダニールのハルバートが脚を砕き、カティア嬢が別の脚を斬り裂く。レオニードが頭部を打ち、ルカの矢が追撃。アンドレイの氷が腹を貫き、ミハイルの矢が突き刺さる。


 落下の勢いのまま、イヴァンは剣を頭部へ突き立てた。


 その衝撃で、“街道喰らい”は地面に叩きつけられる。反動で手が剣から離れ、イヴァンも地に落ちた。巨体が大きく痙攣し、八本の脚がばらばらに震える。


「リーダー!」


 一瞬の静寂。そして、“街道喰らい”は完全に沈黙し、崩れ落ちた。


「おお!! やったぜ!!」


 ダニールの叫びが響く。


「イヴァン、大丈夫か?」


 レオニードの声で、イヴァンは体を起こす。


「少し無理をした。身体が痛い」


「イヴァンさん……! 大丈夫ですか?!」


 駆け寄るカティア嬢の視線に、少しだけ胸が温かくなり、イヴァンは少し強がってみせる。


「ああ、大したことない」


 レオニードが小さく笑うのが見えた。後から駆け寄ってきたラリッサが、すぐに詠唱を始める。


「生命の精ロドよ、乱れた命の流れに手を添え、あるべき鼓動へと導いて──《命脈の癒し》」


 痛みが引き、イヴァンは立ち上がった。


「ありがとう、ラリッサ」


 そう言うと、ラリッサはにっこりと笑い、周囲を見渡す。


「他に怪我してる人、いませんかー?」


「ラリッサちゃん、俺、足挫いたんだ。癒してよ〜」


 ダニールがそう言うと、ラリッサは笑顔のまま、ただ彼を見つめ返した。ダニールも笑顔を崩さず、しばらくそのまま待った。だが、ラリッサは何も言わない。


 やがて、ダニールは視線を逸らし、肩を落とした。


「アンドレイ、マジで俺、足挫いてるんだ……癒して……」


 そう言って、アンドレイの方へ歩いていった。


 その間にも、“街道喰らい”の身体は形を失い、霧のようにほどけて森の空気へ溶けていった。林の奥から、遅れてミハイルが姿を現した。


「いやあ、みんなお疲れ様〜。僕、一時は死ぬかと思ったよ。あはは」


「ミハイルさん! 途中で弓矢、変えましたよね!? もう一組持ってたんですか!?」


 ルカが食いつくように詰め寄る。


「あ、わかっちゃった? 実はね。普段は使わないんだけど、今回はちょっと頑張ってみたよ」


「ロングボウなのに……あの矢の長さ……」


 ルカは絶句していた。あれは到底、普通のロングボウ用の矢には見えなかった。


 その横で、ラリッサが思い出したように口を開く。


「そういえば、アンドレイさんも氷の魔法なんて珍しいですよね。相性が合わない人も多いのに、実際に使ってる人、初めて見ました。ね、デニスさん」


「ああ、俺も驚いた」


 当の本人は、ただ穏やかに微笑むだけだ。その隣で、ダニールが急に胸を張る。


「そうだろ! ミハイルもアンドレイも凄いだろ!!」


 ……確かに。一人ひとりの実力を見れば、『灰色の刻』は三人でも十分にパーティとして成立する。そう思わせるには、十分だった。


「でも、そう考えると……ダニールさんって、普通ですよね」


 ルカの一言に、ラリッサまで小さく頷く。


「ばっ……! 俺はリーダーだからな! 俺がいなきゃ、このパーティは成り立たないんだぞ!」


「大丈夫だよ、ダニール。僕たち、ダニールがいるからこのパーティにいるんだから。よしよし」


 ミハイルがそう言ってダニールを抱きしめ、頭を撫でる。


「ミハイル……」


 ダニールはそのまま抱きしめ返し、ぽろりと涙をこぼした。その様子を、アンドレイが半眼で眺める。


「……年下に慰められて、嬉しいのか」


 相変わらずのやり取りに、イヴァンは内心でため息をつきながら、改めて周囲を見渡した。“街道喰らい”の身体はほぼ消え、大きな魔石だけが地面に残っている。みんな無事だ。致命的な損害もない。理想的に討伐を終えたことに、ようやく安堵した。


 そして、ふと気付く。一人足りないことに……。


「サーシャはどうした?」


 イヴァンが疑問を口にすると、カティア嬢が慌てて周囲を見回す。


「え? あれ? あれ? お兄ちゃん、いない!」


「そういえば、あの時って、合図が上がって、すぐにレオニードさんが“向かうぞ!”って声をかけましたよね。だから、みんな一緒に動いたつもりで……」


 ルカが思い出すように言う。


「確かに。あの時お互いに声を掛け合って向かったわけじゃなかったな……」


「ですよね。じゃあ、その時サーシャは……」


「寝てたぞ」


 レオニードの一言で、空気が止まった。カティア嬢が気まずそうに視線を泳がせる。イヴァンは深く息を吸い、ゆっくり吐いた。腹の奥で煮えた感情を、どうにか押さえ込む。


「リーダー……すいません。俺がいながら……」


「いや、大丈夫だ。想定内だ。戻ろう」


 ──嘘だった。この緊張感の中で、合図にも気づかず眠っているとは、さすがに思っていなかった。怒りが一周して、妙に頭が冷えていた。誰かを責める気にはならない。今は、そんな気力すら湧かなかった。


 焚き火の場所へ戻ると、そこには横になり、実に平和そうな寝顔で眠るサーシャの姿があった。


「あははっ! 嘘だろ! こいつ、マジで爆睡してるじゃん!!」


「はあ……本当に寝てた……」


 ダニールが腹を抱えて笑い、ルカが深いため息をつく。


「お、お兄ちゃん! もう! 起きてよ! 討伐終わっちゃったじゃない!!」


「んー……うるさい、バカティア……」


「ばっ!? もう! バカって言った方がバカなんだからね!!」


「まあまあ、カティアちゃん。もう討伐も終わったし、起こさなくてもいいんじゃないかな」


 ルカの苦笑に続き、ミハイルがサーシャを軽々と抱き上げる。


「そうだよ。僕がまたテントに運んであげる」


「カティア嬢も一緒に休むといい。今日はもう、火の番くらいしかやることもない」


 イヴァンがそう言って微笑むと、カティア嬢は少し迷ってから頷いた。


「……じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます」


 ミハイルたちが去るのを見送り、イヴァンはその場に腰を下ろした。


「それにしても……ダニールさんの見込み通り、“街道喰らい”を討伐できましたね」


「ああ。俺たちだけじゃ無理だった。『灰色の刻』がいてくれたからだ」


 三人パーティとは思えない火力だった。連携も淀みがない。これなら、ギルドの評価が高いのも頷ける。


「だろ? 俺の言うことは間違いないんだよ!」


「調子に乗るな、ダニール」


 即座にアンドレイが切り捨てる。


「だが、これで依頼は最短で終わった。橋の工事も、余計な心配をせずに進められる。夜の警護も不要になるし、俺たちの仕事も今夜で終わりだろう」


 言い終えた途端、ルカがはっとした表情を浮かべた。そして、ダニールが不気味に笑い出す。


「ふっふっふ……そうさ、今夜で終わりだ。残念だったな、イヴァン……。これで、お前はカティアちゃんにアプローチするチャンスを失うんだ! ざまあみろ!!」


 ダニールは指を突きつけ、高笑いを響かせる。その声に煽られるように、イヴァンは無意識のうちに立ち上がっていた。


「……まさか、それが狙いだったなどとは言わないだろうな」


「当たり前だろ。楽できるし、ついでにお前の邪魔もできる。一石二鳥だ」


「うわ……最低……」


 ラリッサが呟き、アンドレイが呆れたようにため息をつく。


 イヴァンの中で何かが音を立てて壊れた気がした。サーシャの無神経さに、ダニールのふざけた態度に、もう我慢の限界を超えていた。どうして、自分の心をこんなにも掻き乱すんだ。情けなさと怒りが渦巻き、身体が熱くなっていく。


 気づけば、自然と剣を抜いていた。


「勝負だ、ダニール……限界まで付き合ってもらう」


「いいぜ! 俺の実力、存分に見せてやるよ!」


 ダニールは立ち上がると、嬉しそうにハルバードを構え、大きく笑った。


「……もしかして、さっき“普通”って言われたの、ちょっと気にしてるんじゃ……」


 ルカの小さな呟きが、静かな夜にぽつりと落ちた。


 それからイヴァンたちは、夜が更け、互いの体力が尽きるまで、全力で打ち合った。


 “街道喰らい”の討伐を完遂し、イヴァンたちの夜の警護は不要になった。すっかり日常に戻り、カティア嬢と会う機会も自然と減っていった。結局、あの依頼でイヴァンは、彼女との距離を縮めることはできなかった。まんまとダニールにしてやられたのだ。


 仕事としては最高の結果を残した。だが、個人的には何一つ得るものがなく、サーシャへの嫌悪感が増しただけだった。カティア嬢への気持ちだけが募り、心が満たされない。イヴァンは今まで、どうやって平然と日々を過ごしてきたのか──それすら分からなくなるほどだった。


「……まるで、病気だな」


 イヴァンは深く息を吐いた。今、彼らは“礫竜”と呼ばれる大型のトカゲの肉と卵を回収する依頼で、出没地点に来ていた。だが、何をしていても思考は勝手に彼女へ向かってしまう。こんなことは、イヴァンの人生で初めてだった。


「リーダー、ダメとは言わないですけど……」


 言い淀んだルカが、イヴァンの方を見る。


「一人で礫竜を倒した挙句、その上に座り込んで盛大に溜め息つくの……正直、怖いです」


「しかも独り言が多くて、返事していいのかどうなのか悩むよな……」


 デニスが肩をすくめる。


「落差が物凄過ぎて、見てるこっちがいたたまれないな」


 レオニードは淡々としていた。


「……」


 ボグダンは、相変わらず何も言わなかった。


「もう……いっそ求婚しちゃえばいいんじゃないですか」


 ラリッサが、冗談めかした声でそう言った瞬間だった。


「っ――――!?」


 イヴァンは息を吸うのも忘れて、喉を鳴らす。頭が真っ白になり、何も言葉が出てこなかった。


「冗談ですよ」


 あっさり付け足されて、余計に何も言えなくなる。


「ラリッサさん、今のリーダーにその冗談はやばいよ。本気にしちゃうから」


「恋の病……恐ろしいな」


 好き勝手言う仲間たちをよそに、イヴァンは両手で顔を覆った。熱が上がった頬を、どうにか隠したかった。──冗談だと分かっている。分かっている、はずなのに。


 イヴァンは短く息を吐き、もう一度だけ溜め息を落とした。


「……いっその事、俺が『なかよし団』に入れば……」


「リーダーっ!!」

「リーダーっ?!」

「イヴァンさん!」


 ルカ、デニス、ラリッサの声が一斉に重なる。


「ダメですよ、変なこと考えちゃ!」


「リーダーがいなくなったら、俺たちどうするんですか?!」


「そうですよ! だったらいっその事、カティアちゃんを勧誘すればいいじゃないですか!」


 三人が騒ぐ中で、レオニードが珍しく大きく息を吐いた。


「イヴァン。依頼も完了したことだ。片付けて、ギルドに報告しに行こう」


「ああ……」


 馬鹿なことを口にした。そう思いながらも、イヴァンはレオニードに促され、片付けを始めた。


 ──片付けを終え、イヴァンたちはそのままギルドへ戻った。


 ギルドの扉を押し開けた、その瞬間だった。喧騒の中で、ふと視界の端に、ひときわ目を引く色が差し込む。反射的に目を向けて、すぐにわかった。──見覚えのある後ろ姿だ。それだけで、胸の奥がきゅっと掴まれた。


「……カティア嬢」


 自分でも驚くほど、声が明るかった。彼女は振り返り、少し目を見開いてから、柔らかく笑う。


「あ、イヴァンさん。お疲れさまです」


 その一言で、イヴァンの胸に溜まっていたものが、すっとほどけた。


「依頼の報告ですか?」


「ああ。今、戻ったばかりだ」


 会えた。それだけで、気持ちは十分だった。なのに、続ける言葉が見つからず、喉の奥に曖昧な息だけが残る。


 ──気を利かせたつもりなのだろう。


「じゃ、俺たちは先に報告をしてくる」


「うんうん、ゆっくりどうぞ〜」


「……では」


 レオニードを先頭に、皆があまりに自然な動きで距離を取ろうとする。反射的に手を伸ばし、イヴァンはルカの襟を掴んでいた。


「ぐわっ、リーダー?」


 ルカが苦しそうに声を出す。それを見て、ラリッサが楽しそうに手を振る。


「じゃあね、ルカ」


「え、ちょ、ちょっと!?」


 掴んだまま、どうしていいかわからず、イヴァンの視線が一瞬だけ泳いだ。


「……。カティア嬢も、依頼の報告か?」


「はい。もう終わったんですけど、お兄ちゃんを探してて……でも、いないみたいです」


「そうか。その……、何か困ったことがあれば、いつでも俺たちを頼ってくれていい」


「ありがとうございます! でも、お兄ちゃんが何でも出来ちゃうんで、大丈夫です」


 イヴァンは一瞬だけ言葉を失った。


「あ、ああ……そうか」


 当たり障りのない会話。このまま言葉が途切れたら、彼女は行ってしまう気がした。イヴァンが何も言えずにいるうちに、隣のルカが一歩、前に出る。


「カティアちゃん、聞いてよ! 今回、リーダー凄かったんだよ!」


 勢いよく、ルカが続ける。


「礫竜を、一人で押さえ込んで! 俺たち三人がかりでも苦戦した相手を、だよ? それを、あっという間に倒しちゃったんだ!」


 ルカなりに、この空気をどうにかしようとしているのが分かった。だが、カティア嬢はわずかに首を傾げ、穏やかに微笑んだ。


「へー……そうなんですね。凄いですね!」


 その表情を見て、ルカの言葉が彼女に届いているとは思えなかった。


「凄いんだよ……?」


「え? はい……?」


 笑顔のまま返されて、ルカが一瞬だけ言葉に詰まる。


「えっと……礫竜、分かる?」


「はい。皮が硬くて、倒すの大変だって聞きます」


「そう、それ!」


「卵も高く売れるんですよね」


 ちゃんと知っている。間違ってはいない。けれど、どこか世間話の続きを聞いているみたいな調子だった。


「あー……、うん。そうだね……」


 それ以上、会話は続かなかった。隣で、ルカの肩が目に見えて落ちる。短い沈黙のあと、カティア嬢はふと視線を巡らせ、何かを思い出したように表情を変えた。


「あ、私、お兄ちゃん探してるので。これで!」


 軽く頭を下げ、彼女は人混みの中へ戻っていく。


「お疲れさまでした。また、ギルドで」


「ああ……」


 イヴァンはその背中を見送ることしかできなかった。彼女の姿が完全に消えてから、ルカがぽつりと呟く。


「……なんだろ。毎回、リーダーの凄さ、全然伝わらないですね」


 短く息を吐き、イヴァンは答える。


「……ありがとう。気持ちは、嬉しかった」


「……はい」


 二人して、同時に小さく肩を落とした。うまくいかないものだな。それでも、次に会う時は、もう少し違う自分でいたいと思ってしまう。その気持ちを胸の奥に押し込み、イヴァンは皆の待つカウンターへ向かった。

ご感想・レビュー・誤字報告など、ぜひお気軽にいただけたら嬉しいです。

「ここが気になった」「このキャラが印象に残った」など、一言だけでもとても励みになります。


いただいたご感想は、今後の創作の参考として大切に読ませていただきます。

楽しんでいただけましたら、ぜひ気軽にお声を聞かせてください。

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