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茜色に染まってしまえっ  作者: 朱色
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命のビー玉


窓からは青空がよく似合う景色が広がっていた。

沢山の人々が行き交う市場は活気に溢れている。

遠目からでも分かる人々の溢れんばかりの笑顔のせいで

こちらの脳内は雨空だ。


俺、美松茜みまつあかねは本日何度目なのか分からない深い溜息を

どこまでも続く澄んだ青空に吐き出した。


「へいか~。おやめくださいよ、民にもその雨と暗黒の雲を押し付けるおつもりですかいな。」

長くつややかな黒髪を結ったどこか妖艶な男、安達あだち

窓際で外を眺める俺の横に並び立ち背中をぼんっ!と力強く叩いた。

俺はその手のひらの強さに負けて開いていた目の前の窓の外に投げ出されてしまった。

「ひいっ!」

ここは何階なのか分からない。

ただすごくすごく高いということは分かっている。

まさに今の俺は地面に叩き落とされる直前の雨粒だ。

落ちることへの恐怖でまともに言葉もでない。


『死んだわ・・・』


ギュッと目をつぶった。


・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

あれ・・・?


「陛下が降ってきたああああああああああああああ!!!!!!

これはまさか・・・民の間で密かに人気があるあの恋愛小説の・・・・恋愛・・・恋!!」


目をそっと開けるとそこには、青く長い髪の毛を一本の三つ編みにしていて

それを何十にも首に巻いている男、時雨しぐれがいた。

頬を赤く染めこちら見つめていた。

「時雨・・・あれ?俺、死んだ??」

俺はぽけっとした顔で頬の赤い時雨の美しい顔を見つめた。

「陛下・・・わたくしは確かに地獄の管理人ですが死んではおりませんよおおおおおおおおおっ!

それにあなたも死んでなどいませんよっ!お願いですからそんな縁起の悪いことを

お戯れであってもおっしゃらないでくださいいいいいいいいいいいいいいっ!

この時雨、涙が止まりませんですよおおおおおおおおおおおおおおおお」

ひとしきり勢い良く喋り次には勢いよく涙と鼻水を流し始めた。

「そんな綺麗な顔で泣かないでよ・・・」

俺は時雨の綺麗な涙を拭ってやりたくなったが鼻水と混ざりまくってたからやめた。

代わりに頭を撫でた。

「ところで・・・・男二人でなにをしているのだろう」

「へ・・・?」



「なんですってえええええええええ!?」

国中に響き渡りそうな大きな声。

これぞまさしく【ヒステリック】だ。

「もう少しで目玉出るんじゃないか?時雨ちゃんやい。」

目を見開いて半狂乱になっている時雨。

安達は至って冷静だ。

「魔王陛下を窓から落としただけじゃんか」

ベッドの縁に座っていた俺の横に腰を落とし妖艶に微笑んだ。

「だけとはなんですかっ!陛下との運命の恋が・・・・いやいや・・・陛下を危険な目に合わせるとは

どういうことですかっ!たとえあなたでも反逆とみなしますよ!!」

時雨の身体が青く光り出し首に巻かれていた一本の三つ編みが弓へと変わった。

「時雨ちゃん、聞こえないのか。ドアの向こうから聞こえる恐ろしい足音が・・・」

安達は俺の後ろに隠れた。

カツン、カツン、カツン、カツン、カツン、カツン・・・・

コンコン・・・。ドアがノックされた。

「稲葉だ。入る。」

ガチャ。

「先程、安達に窓から落とされたという話を部下から聞いた。

怪我はないか?」

銀色で肩まである髪の毛を緑色のリボンで結っている切れ長な顔の男、稲葉いなば

ベッドに座る俺の元まで歩み寄って来てそしてひざまずいた。

「な、ないです・・・時雨がたまたま下を歩いてて、キャッチしてくれましたから。」

稲葉があまりにも強い眼差しで見つめてくるものだから俺は自然と敬語になってしまった。

いきなり稲葉は頭を深く下げた。

「魔王陛下、私、稲葉は護衛役として重大な職務を授かっていながらも主をお守りすることができず

大変申し訳ありませんでした。私のこの失態は謝っても許されるものではないということは

深く承知しております。この私にどうぞ罰をお与えください。」


「それは違うよ。」

俺は口走っていた。

稲葉は顔をあげ、あきらかに理解のできていない顔をしていた。

「落とされちゃったけど、怖かったけどそれは違うよ。

君が謝る理由はどこにある?

確かに、落とした安達は悪い。ムカついたし。だけど、多分わざとじゃないさ。多分ね。

落とされちゃったけど、時雨が助けてくれたもん。ナイスキャッチだった。涙と鼻水以外はね。

結局、どこに君が謝る理由があるの?俺には見当たらないよ。」

俺は自然と柔らかい笑顔を浮かべた。

先程まで弓を持っていた時雨も俺の後ろに隠れていた安達もそして俺の目の前に

ひざまずいている稲葉も笑顔だった。

「この魔力は魔王らしからぬ物だな・・・」

稲葉はそうつぶやき、右の手のひらを俺に差し出した。

手のひらの上には赤いビー玉が一つ。

「これは、あなたにふさわしい物だ。私はあなたに絶対服従をここで誓おう。」

赤いビー玉を俺の胸元に押し当てた。

それは胸の中へと吸い込まれるように入っていった。

「何これっ?!」

驚きを隠せない俺を尻目に時雨は青いビー玉、安達は黒いビー玉を

俺の胸へと押し込んでいった。

「それは俺達の魂だ。この生命、あなたに捧げる」

稲葉は言い切ると部屋を出て行った。

と、思ったら再び戻ってきた。

「安達・・・私と話をしようではないか。」

安達はニヤッと笑い、次には走って逃げていった。

「私から逃げれるとは思ってはいまいな・・・」

光の速さで稲葉も立ち去っていった。


「あの・・・」

「なんでしょうか?!陛下♡」

「命とか重いんですけどぉ・・・。それに俺、まず、魔族でも、魔王でもないんだけど・・・」

「陛下は、ま・ぞ・くです♡それにもっとも高貴である魔王ですよ♡

もうっ!陛下のお戯れにはこの時雨、少々ついていけませんよっ」



「えぇー・・・・こっちがついていけないんですけどぉ・・・・」


☆つづく☆









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