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親友(悪友)

「・・・・以上の理由でレベル10としての足かせを外すことを許可していただきたいのです。」

スクリーンの大和が映ってこういった。

「そう・・・・。」サクラニレザキはちょっと考える。

「許可します。思う存分戦って彼女の真意を確かめなさい。」

「ありがとうございます。」

娘同様、可愛いと思っている大和がスクリーンから消えた。

娘同様というのはあくまで喩えだ。

彼女自身、未婚なのだから。

でも多分、彼女に子供が生まれたらこんな気持ちになるのだろう。

それにしても気になるのはアリゾナのレベル10だった。

「・・・あなたは私のもの。わたしはあなたのもの・・・・ね。」

その台詞を言いそうな人物に心当たりがある。

その推理を補強するかのように、その人物はアメリカ連邦宇宙軍の上層部の軍人だ。

親友と言うより悪友なのだ。

「ニレザキ上級宙佐。」部下が入ってきた。

「どうしたの?」

「アメリカ連邦宇宙軍から、親友だとおっしゃる方が訪ねられてるのですが。」

「・・・そう。わかったわ。」

今、まさに心に思ってた人物だ。


「サクラー!お久しぶりでーす!」

「・・・ジュリ・・・。」

ジュリと呼ばれた女性はサクラに抱きつく。

アメリカ連邦宇宙軍大佐・ジュリエット・M・ランセスはサクラの唇にキスした。

「ジュリ、あなたなんで帝都に?」

「休暇よ。休暇。」

ジュリは勝手知ったるって感じでサクラの部屋のベッドに座る。

「休暇に同盟国の軍人同士で交流ってのも珍しくないけど?」

「まあ、それはそうだけど。」

ちなみにこの時代、同性同士で子供を作ることは可能である。

従って結婚も当然可能である。

ジュリは士官学校に留学していたころから結婚を迫っていた。

そんなこともあって、サクラはこの悪友に辟易してる所もある。

「まあ・・・あいさつはこの辺で・・・。」ジュリはそう言うとサクラに向き直った。

「な・・・なによ。」

「大和ってあなたの『娘』よね。」

いきなりの核心を突いてきた。

「・・・そう、やっぱりあなたが関わってたのね。じゃあアリゾナはジュリのって所?」

「そ・・・それが・・・。」ジュリは答えにくそうに言った。

「怒らない?」

「いえ?怒る筋合いはないでしょ?アメリカに黙って歴史改変実験をし始めたのはこちらだし。こちらの歴史には影響は与えないし?」

「じ・・・・実は、アレは、・・・・・・私たちの娘で・・・・・。」

サクラはしばらく何を言われたか理解出来ずにいた。

「だ・・・だからアレは私とあなたの遺伝子を掛け合わせた生体端末で・・・・。」

そう言うと、ジュリはてへぺろ(・ω<)と可愛くアピールした。

サクラは参ったって感じで頭を抱える。

想定外。

「ああ、それと、日本側の歴史改変実験に関して私たちは関与しないことを決定したわよ。」

「・・・・なにを企んでるのよ。」

「生温かく見守るだけ。」

サクラはそれで理解した。

「なるほど。大和の戦闘力を見極めるつもりね。貴方たち。」

腐ってもジュリは軍人だ。抜け目ない。

「もちろんタダじゃないわよ。アリゾナがその対価ってことで。」

しばし緊張した空気が流れた。

2人は親友同士であるが同時に、主権国家の軍人同士である。

それぞれの国益のために動くのは当然だ。

大事な事を思い出す。

「アリゾナのレベル10端末が『わたしたちの娘』ってどういうこと?まさか、あなた・・・・。」

「あなた抜け毛多かったわね。」

「いくつかアメリカ連邦憲法を犯してるよね。それ。」

「わたしたちの前に法なんて無粋よ。」

「あなたって人は・・・・。」

ため息をつくサクラだった。

「じゃあ大和の縛りをを復帰させなきゃ・・・。」

と言ったが、後ろから銃を突きつけられる。

「正気?ジュリ。」

銃を構えたジュリは笑顔で答えた。

「ごめんね。サクラ。この戦いを邪魔させたくないのよ。」

「この帝都の警備網のえげつなさ、知らないわけじゃないでしょうに?」

サクラはなるべく柔らかい言葉で警告ではなく、忠告をする。

「そう。・・・だからサクラにもちょっと我慢してもらいたいなと。」

「・・・・分かったわ。銃を仕舞いなさい。やりにくいわ。」

ジュリは大人しく銃をしまった。

「それでいつまで待てばいいのかしら?」

サクラはやれやれといった感じでイスに座った。

「私たちの2人の「娘」が定時連絡してくるまで。その後は逮捕するなりすればいいわ。」


案の定、2人の戦いは砲撃戦になっていた。

地球上でやったら間違いなく人類が滅亡しそうな戦闘だった。

幸い周囲1億光年の範囲に銀河はない。

だから手加減無しにやり合える。

2人ともさすがに疲れていた。

「大和さん。地球に帰る余力はあります?」

「・・・ぎりぎりって所っですかね。・・・・あなたは?」

「私も似たようなものです。」

「勝負はお預けってことにしませんか?」

「・・・・そうですね。これ以上やったらちょっとまずいです。」


「そう・・・・勝負はつかなかったの。」

「はい。さすがアメリカ連邦軍ですね。同盟国でよかったです。」

テレビスクリーンの大和は言った。

「そうね。」サクラはちょっと笑って真剣な顔になる。

「あなたが戦った相手はなのだけど。」

どんな関係になるのだろう?彼女はちょっと考えた。

サクラのコピーが「大和」とするならば、サクラの『娘』のコピーが「アリゾナ」なら、2人の関係は・・・・。

「娘ってことになるわね。」

その結論に大和はちょっと驚いてる。

ジュリも連絡を受け取ったらしい。

「さて、これから私は(晴れて)虜囚の身ですね。」

ジュリは一気に武装を解除するどころか、服まで解除し全裸になっている。

「いや、しないから。」

サクラは突っ込んだ。

ジュリが銃を抜いた件は秘密にするつもりだった。

大事にしたくは無かったのだ。

「ささ、遠慮無く性の奴隷に!!」

「いい加減にしろ!」

こうして騒がしい親友との心の交流は過ぎていったのだった。

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