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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season14 Le choix《ル・ショワ》 ― 選択 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season14 Le choix《ル・ショワ》 ― 選択 ―
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Chapter10 守るという名の支配

――守っている。


それが、自分の役割だと、ずっと思ってきた。


社長、織原(おりはら)梨杏(りあん)には、何度もそう言ってきた。


「私たちは、あなたを守ります」

「社長は、前だけを見ていればいい」

「面倒なことは、こちらで引き受けます」


それは、嘘ではなかった。


実際、彼女は何の不自由もなく、社長の椅子に座っている。


余計な責任を背負わされることもなく、泥をかぶることもなく、

決断に迷えば、正しい答えが用意されていた。


――だから、

――疑う必要などなかったはずだ。


疑わなければ、すべては、うまく回る。


社長は社長として輝き、会社は再建され、社員は救われる。


それが、“最善”だ。


そう信じていた。


だが最近、織原(おりはら)梨杏(りあん)の様子が、わずかに変わった。


資料を読む時間が増え、確認の回数が増え、言葉を選ぶ間が長くなった。


――何を探っている?


それがわからないのは、不快だった。


だから、もうひとりの影が動いた。


社長のPC。閲覧ログ。検索履歴。


問題はない。

すべて、把握できている。


クロノスとの癒着(ゆちゃく)。過去の取引。

現在も続く裏の関係。


それらはすべて、社長の手の届かない場所へ移した。


クロノス側のクラウド。古い権限。閉じたはずの回路。


|織原《おりはら》梨杏《りあん》には、見つけられない。


――これでいい。


そう思っていた。


だが、想定外が起きた。


アークシステムズ。


あの会社が、一度、音を立てた。


バックドア。構造。流れ。


――気づかれた?


そう思った。


だが、違った。


それ以来、彼らは沈黙している。


騒がない。問い詰めない。社長に近づかない。


代わりに、まったく別の次元で、スマートオフィス化を進めている。


――何を考えている?


それが、わからない。


如月(きさらぎ)環(たまき)。


最近、社員への聞き取りもない。

社長への接触もない。


――気づいていない?

――それとも……。


考えを振り払う。


今は、静かだ。


このままでいい。

このまま、誰も疑わなければ。


社長が、「守られている」と信じ続けてくれれば。


それで、すべては保たれる。


守るという名のもとに。


支配していることに、気づかせないまま。

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