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Eclipse Horizon ―電脳世界で女子高生が「死の戦乙女」と呼ばれるに至るまで―  作者: 野兎
第一章 青天の霹靂

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第五十六話 四天六合 其の三

 ニョントス城の前の広場に集まってくれたプレイヤーたちにこれからの作戦を伝える。


 まだ誰一人として『北風』の姿を見ているプレイヤーがいないため詳しい作戦立案は難しいができる限りのことをやっておく。まず第一に行うのはプレイヤーの区分けだ。


 プレイスタイルによって部隊を分けて決戦に備える。タンクと近接部隊、そして後援部隊の3つに分ける。そうしてプレイヤーを分けて部隊を組ませることでより一層連携がうまくいくだろう。タンク部隊隊長はアルク、近接部隊隊長はジャック、後援部隊隊長はメアというプレイヤーに任命する。部隊の中で強いプレイヤーを選んだのだ。


 そして私はプレイヤー全体の指揮を取り、積極的に攻撃を仕掛けていくアタッカーとしての役だ。私が使うラグナロクと妖精大剣レーヴァテインはどちらも時間制限がある。攻撃は主に南風の大剣を使った攻撃になるだろうが仕方ない。


 それと並行して一つの秘策を行う。もしこれが可能になった時は一気に勝てる可能性が高まるため頑張ってほしい。


 


 こうして黄金とも言える時間が過ぎていく。過ぎ去った時間は約2日。もはや残る時間はほとんど無いと言ってよかった。それを裏打ちするかのようにドワルニアの王都から北に向かっていた偵察のプレイヤーが『北風』と思わしき姿を目に捉えた。


 そのプレイヤー曰く、『北風』は巨大な狼のような姿をしているらしい。近づきすぎたため相手に気取られて殺されてしまったらしいがそれが戦闘開始の判定が下されたようだ。二つ名持ちや確立存在(オーダー)といった強大なモンスターと対峙すると相手の名前がアナウンスされる。偵察役はこのアナウンスが聞こえたようで『北風』の名前はボレアスというと判明した。


 北風のボレアス。南風のノトス。こう来たのならば『東風』の名前はエウロス、『西風』の名前はセピュロスとくるはずだ。神話などに疎い私でも古代ギリシャ神話に出てくる名前ぐらいは知っている。


 偵察役のプレイヤーの話によるとボレアスはここからプレイヤーの足で1日かかる場所に留まっているらしい。機動力に特化した人材を偵察役に任命したとはいえボレアスの体調が回復してしまえばもっと早く王都に向かってくるはず。


 ドワルニアの王都には交易都市ジョーヌからの飛行船の発着場がある。今もドワルニアに向かってくるプレイヤーが居ることを鑑みて決断を下す。まだここにとどまるのか、それとも北風討伐のために進軍を開始するのか。


 現在いるプレイヤーの数はおよそ600。そのうちレベルが40を超えているプレイヤーは200名ほど。隊長に任命したアルク、ジャック、メアに関してはレベルが60に達している。一方私はと言うとレベルはいつの間にか71に上がっていた。ドワルニアに来た時がレベル70で、その後モンスターとあまり戦っていなかったとはいえあまりにも上がり幅が小さすぎる。具体的にどう伸びているのかを知るべきだ。






 《アイン・人族》

 職業:執行人

 ※神々の黄昏を装備時

 レベル:71

 保有SP:20

 保有BP:10

 HP:100(200)

 MP:149(189)

 STR:250(350)

 AGI:250(290)

 VIT:1(1001)


 装備品

 ・星祓いの妖面(AGIとMPを+40、星の位相を使用可能)

 ・神々の黄昏

  『古代の世界の成れの果ての断片が含まれた一振り。大鎌の形状だが本質は鎌ではない。STR+100。装備スキル「韋駄天回帰」「終焉慣性」「黄昏神罰」を使用可能。


  まず世界は創造された。神に縋った■■■によって。長い時間が経ち不毛の大地は豊穣にまみれ、生命は芽吹き、そして大地は癒されていく。そのはずだった。世界に漆黒の隕石が飛来する。侵食の、汚染の発生源と化した隕石はすべてを飲み込んでいく。この世界の調律を任された調律神をも呑み込んだ侵食はやがて世界を犯す。自然が、意思が、文明が。ことごとく汚染され、世界が破壊された。いやされかけた時にとある希望がこの世界を救おうとする。調律神は呑み込まれ、崇高な神はもう穢れた。それならば神を信用に値するのか。


 神に盲目的になってはならない。本当に神を救いたいのならば神に反逆しろ。その時、神殺しが為された時黄昏が世界を覆い新たな世界の幕開けとなるだろう』


 ・南風の大剣(STRとAGI+50、エアバーストを使用可能)

 ・妖精大剣レーヴァテイン(STR+100、形態変化可能)

 ・四風の守護(VIT+1000、HP+100、風纏を使用可能)

 

 【スキル】

 ・天翔龍

 ・妖精大剣術Lv.3

 ・傍若無人(STRに補正を入れ、物理攻撃を50%カット)

 ・累撃昇華(受けたダメージを上乗せし、連撃を行うごとにダメージが上がる。最大5連撃目は3倍のダメージ)

 ・■■■■(南風のノトスのスキルルビー)

 ・■■■■(難風のノトスのスキルルビー)

 〈職業スキル〉

 ・断罪執行(どの敵に対しても戦闘開始時のみ使用可能。相手の全ステータスを下げ、自分の全ステータスを上げる)

 ・処刑宣告(二つ名持ちと対峙したときにSTR、MP、AGI、VITのいずれかを倍にする。効果時間は180秒、効果終了後300秒間最大HPが1に固定される)

 ・月下葬送(二つ名持ちを倒した時に得られるSPを15から30、またBPを20獲得できる)

 〈装備スキル〉

 ・星の位相(自身の当たり判定を一瞬なくす)

 ・韋駄天回帰(思考加速に伴い高速移動を可能とする)

 ・終焉慣性(ラグナロクの重さを自由自在に変えられる)

 ・黄昏神罰(今までに与えてきたダメージを一撃に凝縮する。倍率は確率で変動)

 ・エアバースト(任意の位置に圧縮された空気を配置でき、加速が可能)

 ・風纏(MPを消費して一定の強さの攻撃を無効化可能)

 






 こうやって改めて見てみると私は頑張っていると実感できる。特筆すべき点といえばスキルの多さだろうか。様々な武器を持っているのに加えて人族の特性である「スキル作成」。おかげでSPはすっからかんだが様々なスキルを得られた。


 特に南風及び難風のノトスのスキルルビーから作られたスキルは強すぎるあまりまだ実践で使ったことはない。代償が重いからそうやすやすと使えるようなものではない。


 しかし驚いたことはそれだけじゃない。隊長に任命したアルク、ジャック、メアのステータスを見たが私よりも遥かに多いスキルを持っていた。少ない人でも15個、多い人だと30個もあるのだという。何故そんなに多いのかと不思議だったがわかった気がする。


 人族ではない他のプレイヤーのスキルは単純なのだ。STR増加だったり武器の鋭さ上昇だったり、私がスキルを作成するときに抽出する要素と全く同じものを彼らは単独で使用しているらしい。


 それだけだと強いスキルは得られないじゃないかとジャックに言ったが「おいおい」という顔をしていた。詳しく話を聞いてみると必要なスキルを集めると合成ができるようだ。人族と同じなのかと思ったがよく聞くとそんなに便利なものじゃないらしい。


 合成してできるスキルはおおかた決まっていて自分好みのものを作れなく、SPの消費もとても多い。それこそ私のように何十個ものスキルを合成するとなるとSPはちょっとやそっとじゃ集まらないらしい。


 ただ、その分他のプレイヤーはスキルを成長させることができる。

 

 人族の本質。それとはスキル合成ではなくスキルの圧縮なんじゃないか?ジャックはネットの掲示板に聡く、持っている知識が多い。そんな彼によるとプレイヤーが持てるスキルの最大個数は50個と決まっている。だが私なら好きなスキルを好きなだけ1つにまとめることができる。



 本来なら持てないような量のスキルを集約できる人族。その代わりスキルのレベルを上げることができない人族。一概にメリットとは言い切れないが私が決めた種族だ。


 北風?なんだそれ。


 私が強くなるために北風だって天帝だって踏み越えて私の力にしてやる。


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