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Eclipse Horizon ―電脳世界で女子高生が「死の戦乙女」と呼ばれるに至るまで―  作者: 野兎
第一章 青天の霹靂

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第三十八話 調査内容

 先程急に倒れ、復活してきたフレイヤとともにもう一度話をする。いい加減話の本題に入らないと行けないし。


 「それで私の武器はフレイヤが作ってくれるっていうことでいいの?」


 「うん、そうだよ。うぅぅぅ、アイン様に私が作った武器が握りしめられて…」


 ゴンッ

 

 王様の鉄拳がアインに炸裂する。


 「黙っとれ、バカ娘。節度ある行動をしないと弟にその任を任せるぞ!」


 「それだけは……」


 「わかったなら話を進めるぞ。それでアインの武器はアダマンタートルの甲羅を使うということでいいんだな?」


 「はい。必要そうならあと何枚かありますし…」


 「えっ!アダマンタートル?あの鍛冶師垂涎の品をアイン様は持っているの?」


 「そうだけど…そんなに見たいなら、見る?」


 「見ます!」


 私はインベントリから死闘を尽くして戦った、いやあれは戦いとは到底呼べないだろうがたしかに強敵だった相手の甲羅を見せる。黒光りする硬い亀の甲羅。いかなる攻撃も効くことがなかった鉄壁の甲羅をフレイヤに差し出す。


 「これがアダマンタートルの甲羅…これは詳しく見たいかも。『鍛冶師の目』」


 フレイヤの目に緑色の光が灯る。


 「ふむふむ…この個体は野生個体。マナ結合値が他の管理個体よりも遥かに高いね。それに…マナ影響値が極端に低い?!マナ結合値とマナ影響値の高さの両立は難しかったはずなのに。もしや親和性かな?マナの順応へのしやすさが両方に関わっているとしたら納得ができるけど、物理的な強度には反比例するんじゃなかったっけ…」


 「おい!そこまでにしとけ、バカ娘。すぐ没頭できるのはお前の良いところだが悪癖でもあるな。」


 「テヘッ。それよりアイン様、ちょっとこのアダマンタートルを使って武器を作ってもいいですか?なにか要望とかがあるなら聞きますよ。一応この国で一番の鍛冶師ですからね。」


 話が早い。確かにドワルニアに来たのは新しい武器を見つけるためだったが、フレイヤ側から話を持ち出してくれるとは。

 うーん、どんなものを頼もう。今ある一線級の武器はレーヴァテインのみ。しかしそれだけだと武闘大会(バトルトーナメント)で優勝をかっさらうのは少し難しいはずだ。他になにか強い武器、他の誰かの意表を突くような武器は…


 「じゃあ大鎌でお願い。」


 「わかりました!じゃあ2日ぐらい待っていてください!」


 いそいそと謁見の間を小走りで出ていくフレイヤ。フンフフン♪と鼻歌を歌っていく。その表情を見るに幻の素材と言って過言ではないアダマンタートルの甲羅を持てて満足しているようだった。


 「信じてくれ、あんなのでも鍛冶技術だけは一流なんだ。」


 王様が少し頭を抱えながら私にそう言ってくる。


 「大丈夫ですよ、私はフレイヤを信じているので。あんな小さな身体で傷一つない顔、それでもこの国で一番の鍛冶師と言い切れるとは長年の経験があるのでしょう?そんなフレイヤを不審に思ったりなんてありませんよ。」


 もしかしたらドワルニアが素材を持ち出すかもしれない?いや、ないだろう。そんなことしてもドワルニア側にメリットはないし、されても報復の方法はある。だが私はこの世界のNPCを守っていきたい。それも実際にいる人間のような接し方をして。

 だからこそこの国をそんな小さな理由で敵対したくない。それにフレイヤもかわいいし。


 コンコン


 「叔父さんいるー?ちょっと設計段階で構想を練りたいんだけどついてきてくれない?」


 ひょっこりとドアの隙間から顔をのぞかせたフレイヤがドルヴェラクに話しかける。いや、今聞き捨てならないようなことを言っていた気が…


 「お、叔父さんって本当にドルヴェラクのこと?」


 恐る恐るフレイヤに聞いてみる。


 「うん、そうだけど?叔父さんはお父さんの弟なんだ。」


 オーマイガー。今まで小太りで腕が良い鍛冶師と思っていた人が王族だっただと?確かに美人なお嫁さんもいて、王様とフランクに接し、ちょっと顔立ちも似ていたけれど、普通王族だって思うか?


 「俺は一応皇太子だったが、何だ?その文句がありそうな顔は。」


 スッと差し出された写真を見ると若かりし頃のドルヴェラクの姿があった。すらっとした身長ときれいな顔立ち。当然ひげなどは生えていなく、見る人全員がイケメンと答えるような好青年だった。それに少し目のところがフレイヤにも似ている。

 

 「なんというか、時代の流れって世知辛いなと思って。」


 「何が言いたいか知らんがあまり生意気言っていたらお嬢ちゃんでも使いこなせないような武器にしてやるぞ。だが安心しろ、性能は保証する。」


 「頼んでますよ、ドルヴェラクさん、フレイヤ。」


 「待っとけ。」「待っててください。」


 パタンとドアが閉められ、謁見の間に私と王様、王妃だけとなる。もう先程までいた衛兵たちも王様の命令で下げられ、少しピリついた空気が流れる。


 「まず1つ目の目的は達しました。」


 「というと?」


 王様の眼光が鋭くなる。


 「貴方だってわかっているでしょう?あの遺跡を探索していたのだから。もう腹の探り合いなんてやめて話し合いませんか?」


 「………」


 沈黙が流れる。


 

 「黙っているということは肯定と捉えますがいいですね?」


 「あぁ、わかった。しかし、私の妻は場所を外させてもらうがいいか?」


 「大丈夫です。」


 そう言うと王妃は足早に去っていって私の隣に来る。


 「あの子をよろしくね。」


 そう言うと謁見の間から出ていく。


 堪忍したかのように王が少し体制を崩す。


 「それで話というのはあの遺跡のことでいいんだな?我とてあの遺跡が普通のものではないことぐらい知っておる。いや、その手がかりを見つけたといったほうがいいだろうか。」


 「それは一体?」


 「あの遺跡を見つける手かがりとなったのは、フレイヤだ。」


 「なぜフレイヤが関係しているんですか?どういうつながりがあったんですか?」


 「これは…2週間ほど前のことだっただろうか。多くの隕石がこの星に降り注いだ夜、フレイヤが突如として輝き出したのだ。全身がまるで太陽かのように光り輝き、街全体を照らした。そしてそれと同時に森の奥深くからまばゆい光が立ち上ったのだ。」


 「それがあの遺跡、ダンジョンだったというわけですね?」


 「そういうことだ。このこと以外に我が知っている内容とはなにもない。ただ急にフレイヤとその遺跡が呼応したかのように光りだしたのだ。」


 「なるほど…」


 「それでそなたも我に話す内容があるのではないか?あのダンジョンの深奥には何が一体あったのか、わかっているのだろう?」


 「食えない人ですね。私も腹を割って話します。このことは他言無用でお願いしますよ?」


 そうして王様にあの場所で見たものを話していく。いくつもの研究資料。その中の一つに記載されていた神の存在。詳しい内容は伏せたがあの遺跡に残っている情報の中で最も重要であった「神」の危険性について話した。


 「そんな事があったのか…これは教会の連中に話したら困ったことになるぞ。最悪の場合内乱に突入しかねない。」


 「だからこその他言無用ですよ。私はこの世界を守るために神を倒し、その謎を解き明かすつもりです。決してあなた達を混乱に貶めたくてしているわけではないということを理解しておいてください。」


 「了解した。しかし我とてこの錬金王国ドワルニアの国王。いかに属国的立ち位置だとしても責務というものは存在する。不確定な情報を下に我が国からの公的支援はできまい。我からの個人的な支援が欲しければフレイヤに話を通してくれ。この件はアイツにも関係があるのだからな。」


 「わかりました。ご貴重な話をどうかありがとうございます。」


 そうして謁見の間から出る。


 フレイヤと遺跡の間にあった関係とは?なぜ急に光り始めたのか?なぜフレイヤだけだったのか?などと謎ばかり頭をかすめる。そして新たに知らされた、いや気づいていたが見逃していた教会の存在。確かに「神」と直接対立するのならば教会への対応は必要となる。


 これからどうすればいいのか。そして私が持っている情報を知っている他のプレイヤーはいるのか。考えるべきことは何個もある。だが、考え続けるのも良くないだろう。


 そう思って休憩するためにピリカへと足早にかけていった。





 

 

 



 



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