第三話 二つ名持ちとの接敵
ゴブリンを2体倒そうと森の中をうろついた。それはもう森の中を隅々まで探すほど。そのせいか7匹もの群れがいることに気づいてしまった。ゴブリンが少し多すぎるんじゃない?と思いつつもレベルが上がった私は早速挑戦してしまい―――
「あぁぁぁぁー、誰か助けてーーー!!ゴブリンなんかに殺されたくないー!本気でお願いします。助けてください。何でもしますからーーー!!」
「「「「「グルァァァーー!!ゴフッ!」」」」」
やばいやばいやばい、ゴブリンってこんなに足早かったっけ?絶対ゴブリン中学校で陸上部だったやつがあの中にいるわ。一応ステータス上げてるのにこれは無理ゲーでしょ?逃げる途中で2体倒したはいいけどにげ続けないといけないからドロップアイテムも拾えずじまいで最悪だわ。おっ!あそこに良さそうな穴蔵がある。一旦あそこに身を隠してやり過ごすしかない。
ゴロゴロッと身を投げ出しつつも穴蔵に入り、事なきを得ることができた。
「あれ一体何だよー??一体だけバケモンみたいに早いやついたよ?AGI絶対30ぐらいあったって。初心者じゃ倒せる相手じゃないって絶対!」
『あれはゴブリンスカウトだよーん。多分あなたじゃ3人でいい勝負ができるってとこだよ。チョー雑魚いあなたじゃね。』
コロス、このクソ羽虫いつか絶対コロス。まあ確かに私なんかじゃ勝てなさそうなのは火を見るよりも明らか。それなら少しでも勝機を見出すためにスキル作成としますか。
「我は人類の意思を継ぐもの、我の望みに答えて世界の摂理を作り変えよ!」
よし、さっきの戦闘で得ることができたSPは2。これで空歩【強化段階1】と移動速度上昇【強化段階3】をかけ合わせてスキルを作り出すことができる。果たしてどんなスキルができるのかな??
『空歩【強化段階1】と移動速度上昇【強化段階3】をかけ合わせて新スキルを作り出しますか?
YES・NO』
当然YES一択でしょ。
『新スキル、天翔龍を取得しました。』
――天翔龍――
使用後60秒間に渡って使用者の移動速度を+40%、使用中2度空中での跳躍を可能とする。
クールタイム40秒
『どの生物も天高くに存在する彼の天帝を畏怖し、尊敬する。彼の天帝をも越えようとするその心意気を持つものにこそ龍となる資格が与えられるのかもしれない。それは龍の願いか、それとも――』
うぉぉぉぉ、かっけぇぇ!!それに強い!移動速度+40%は強いなぁ。しかも二度跳躍できるっていうことはつまり急な方向転換に使えるというわけで、機動力の底上げにもつながる……これはSP55使っただけあるわ。もしかしてこれさえあればあのゴブリンスカウトなるものも倒せるんじゃないか?あの俊足ゴブリンが行った方向にいざ向かってみよう。
たしかあのゴブリンはこの穴蔵から右にかけていったような気がする。深く考えたりしなくても右に向かっていればいつか出会えるはず。ってうわっ――
「いったー、一体これは?細くてキラキラ光っている、もしかして糸?」
あのゴブリンたちに糸で罠を仕掛けるような頭があると思えない。もしかしてあのゴブリンたちを統括している親玉的なのがいる?それに罠を仕掛けようとするこの知能、侮れないな。
「ゴルゥァァァグラァァ!!!!」
そこにはとてつもなくでかく、強靭な肉体を持つ怪物がいた。
【二つ名持ちモンスター、破刃のベルセルクに遭遇しました】
もしかしてだけどコイツがあのゴブリンの親玉だったりする??見るからに強そうなんだけど?
「グルゥァッッッ!!」
「「キシャァァァァ!!」」
絶対そうだ、2体もゴブリンスカウトを侍らせているアイツはおそらくゴブリンの親玉。これから私は圧倒的格上相手に戦わないといけないってわけだ――上等だろ!ここで逃げたら名が廃る。今ここでこそ心意気ってものを出すべきなんじゃないか?
天翔龍発動――ここから私は破刃のベルセルクを討伐するっ!相手は巨体、おそらく4mはある。だからこそまずは相手の行動の起点、アキレス腱を狙う。そこの腱を切り裂けばもう動けない。
「人型でいるのが間違いだったんじゃない?今からあんたは立てなくなるんだ、よっ!」
1歩目で思い切り踏み込み、2歩目で相手との距離を詰める。すれ違いざまに相手の足を切り――空中で身をひねりながら跳躍!天翔龍の効果で私は2度の跳躍が可能!ならば相手に近づいたここで一気に3回攻撃できる。
ここでベルセルクが自慢の巨体で私を踏み潰そうとしてきた。ドンッと辺りに地鳴りが響くが華麗に避ける。ここまでの行動を見たところベルセルクはそこまで俊敏性が高いわけではない。つまり高HP、高STRの打たれ強いタイプ。少なくとも天翔龍発動中の私の敵ではないはず。今この時点で天翔龍発動から30秒経っている。あと30秒で有効な攻撃を与えて相手の攻撃を止めないと私は40秒間1つのバフもないまま逃げないといけない。まずいな。
「グゥワァァァーー!!!グルゥゥ、ガァァ!!」
ベルセルクは小さくすばしっこい私に思うように攻撃を与えられず苛立っているようだ。だけど苛立っているっていうことは視野が狭くなりがちってこと。この隙を狙ってアイツの眼を潰すしかない。効果が切れるまであと20秒。強く大地を踏みしめて跳躍し再度空中で跳躍。ようやくアイツと同じ目線まで上がってこれた。
「ちまちま攻撃されて苛立っているのかい?そんなんじゃ広い視野もてないんじゃなーい?」
ベルセルクがようやく視界に入った私を振り払おうと太い腕を伸ばしてくる。しかしアイツは知らない。私が空中での跳躍が可能だということを。ヒョッと身をひねりながら一回転し、ベルセルクの太い腕を駆け上がりながら剣を振るう。
「グギッィィ!!!!!!!」
あいつの眼に当たったらしい――が、一つ読み間違えたことがあったらしい。私は何もあいつ一人と戦っているわけではないということを。
「キシャァァァァ!」
ゴブリンスカウトが投げたナイフが私の左腕に突き刺さる。あまりの痛さについ剣を落としてしまう。体が思うように動かない。おそらくナイフに麻痺毒でも塗っていたのだろうか?ベルセルクが動けなくなった私を見て「ようやく潰せるぜ」とでも言いたそうな顔で腕を振り上げる。
あぁ、こんなところで負けたくないな。まだベルセルクに、圧倒的ステータスの差で叩き潰されるならまだいい。だけど、だけど決定打がゴブリンスカウトのナイフ?ふざけないでほしい。二つ名持ちでもないやつの攻撃で、この最序盤で私は死にたくないっ!
ベルセルクの腕が私に迫る。もう少し、あともう少しで――
ゴオォォォォォ、ゴオォォォォォォォ!!!!!!!!!!
ベルセルクの手が止まる、誰もが空を見ることをやめられない。空には巨大で美しい鷲が、
「て、天帝―――」
そう、いうなれば天を司る神のような存在が私達の上にいた。
【確立存在 雄猛たる天空―ジグルド―に遭遇しました】
ようやく書きたかったところまで来ました。一応の構想とかはあって第一章は40話ぐらいで行きたいなと考えています。皆さんの高評価が励みになりますのでどうかお願いします!!




