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Eclipse Horizon ―電脳世界で女子高生が「死の戦乙女」と呼ばれるに至るまで―  作者: 野兎
第一章 青天の霹靂

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第二十九話 来訪、ドワルニア

なんだかんだあって中間試験も無事終わり、投稿を再開していきます。それに伴って最初の方から順番に改稿していくのでぜひ見てみてください。大幅な設定の変更はしないつもりですが一部スキルやアイテム説明の情報の精査や添削、構成の変化などを行うつもりなので温かい目で見守ってくれると嬉しいです。

 なんだかんだあって私はすべてのネームドスキルを新たなスキルへと昇華することに成功した。詳細は省くがノトスから作った2つのスキルは尋常ではない効果だった。

 しかし、それとともに人族の持つ弱点も垣間見ることができた。それはコストの高さとピンキリ度合いだ。ピンキリというのは違うかもしれない。ハイリスク・ハイリターン。使う場所が限られるようなスキルしか得られないところであろう。


 他の種族はスキルルビーからスキルを得る。だが人族は違う。スキルルビーから直接スキルを得ることができない代わりに強力なスキルに合成して獲得できる。このメリットは1プレイヤーがスキルを合計30個しか得られないことに直結する。いわば複数のスキルを持っていることと同じだからだ。

 しかし、強力なスキル程代償は大きくなる。もしかしたら人族はハイリスク・ハイリターンなスキルを駆使して使う頭脳型なのかもしれない。


 と、考えているうちに私達が乗る飛行船は錬金の国、ドワルニアへと到着した。


 ドワルニアは一言で言い表せば工房でできた国だった。周りを見渡せば茶色の工房ばかり、国の中心には流石に城があるそうだが王家専用の工房が複数用意されているようだ。


 「ご乗客の皆様、錬金国家ドワルニアにご到着しました。足元にご注意して降りてください。」


 館内アナウンスが鳴りミリィが起きる。


 『おはよぉアイン。もうドワルニア?』


 「うん、そうだよ。だから早く起き上がって!」


 『ふぁぁい。』


 ミリィと降りる支度をして飛行船の出口へと歩いていった。赤い絨毯の上を歩いているうちにもう一人の同行者、ドルヴェラクと出会う。


 「おい、嬢ちゃん。こっから先はドワーフの国、ドワルニアだ。俺も王家にツテがあると言ってもそう簡単にアポイントが取れるわけじゃねぇ。何日かかるかわかんねぇからお前らは『ピリカ』っていう宿に行ってくれないか?あそこが一番信頼できる。」


 「あれ?もしかしてドルヴェラクさん久しぶりの帰郷で嬉しいんですか?」


 「チッ、恥ずかしいこと言わせんなよ。」


 ミリィ、ドルヴェラクと共に船を降りる。地面に足がつこうとした瞬間、脳内に言葉が響く。


 【……命体の来訪を確認。新種接続端末……の確認。情報収………ドに以降。】


 「『キャァァァ!』」

 

 私とミリィが同時に叫ぶ。急に頭に言葉が入ってきて驚く。


 「大丈夫か?怪我は、頭に異常は?」

 

 「だ…大丈夫です。ミリィは?」


 『あ…あ、安心して。別に攻撃を受けたわけじゃないから。その代わりね、あのなんていうか…』


 ミリィがちょっと話しづらそうな顔をして手招く。顔を近づけてあげたらミリィが耳元で囁く。


 『多分ね、私この国にテレポートできるかも。』


 「え!!!?」

 

 つい素っ頓狂な表情を浮かべてしまう。テレポート?転移?今日ドワルニアにつくまでにかかった時間がゼロになるってことだ。これは…他のプレイヤーに隠しておいたほうが良さそうだ。


 「いい?このテレポートの件は絶対誰にも言っちゃいけないからね。」


 『え?ま、まぁアインが言うなら隠しとくけど…」


 このテレポートの件がバレたら他のプレイヤーからの追求は免れないだろう。一応私が辿ってきたプレイは結構普通の人とは違う道であるという自覚はあるため根掘り葉掘り聞かれたくない。というか自分だけの知っている秘密にしたい。

 なんていうんだろうか、自分だけ知っているダンジョンのボスの倒し方は教えたくないっていうマインドかも。


 「嬢ちゃんたちも大丈夫そうだから俺は早速王宮に行くぜ。色よい返事を待ってピリカで待っとけよ!」


 ドルヴェラクさんが私にそう言って走っていく。

 古代ローマを彷彿とさせる都市の様子のドワルニアを見まわたしながらピリカへと向かう。ドワルニアに来る前に買った地図を展開して見るとピリカへの行くき方も書いてあったため、地図を手がかりにして向かってみる。大通りを歩いて4個目の角を曲がり、複雑な路地を歩いた後に…あった。これがピリカか。


 「ごめんください。ドルヴェラクさんの紹介できたアインです。」


 「まぁ!主人の?さぁどうぞ上がって上がって。あなたが噂のアインちゃんね。」


 ピリカのドアを開けてみると胸部装甲が大変厚めの美人がいた。

 ???さっき主人って言ったけどもしかしてドルヴェラクさんの嫁?


 「違ったら申し訳ないんですがドルヴェラクさんとのご関係は…?」


 「何言ってるのよ!夫婦に決まってるでしょ?もう、私のことはルージュとよんでね?普段は選ばれた人しかこの宿には止まれないんだけどアインちゃんは夫の紹介だから安心してね。なんせここピリカの防衛力はドワルニア随一なんだから!」


 驚愕。あのヒゲモジャオヤジにこんな美人の奥さんがいたとは。人生何があるかわからないものだ。


 「じゃあ、不束者ですがよろしくお願いします。」


 「はい、ドワルニアを楽しんでね!」


 ルージュに鍵をもらってピリカの客室を見てみる。大きなシングルベッド一つにソファ、金色の彫刻など挙げればキリがないが、今までこのゲームで見てきた部屋の中で一番ともいえる綺麗さを誇っていた。

 ベッドに身を投げこんでリスポーンポイントを更新する。ここまで来て、途中で死んでジョーヌからやり直せと言われたら流石に心が折れてしまう。早めにリスポーンポイントをドワルニアに変更することは名案だっただろう。


 『ふぅーっ、人前で仮面の中にずっといるのも疲れるね。』


 ミリィが仮面の中から現れる。いいタイミングだ。


 「それでミリィ、テレポートについて詳しく教えてくれない?」

 

 そう、ドワルニアに着いてからずっと気になっていたことを聞いてみる。なぜこのタイミングでテレポートが解禁されたのか、私だけなのか。


 『うーん、なんか違和感はあるけどそれを口には出しづらいって感じかな?今まで感じたことのないことだったし…でも多分テレポートは私達「案内妖精」にしかできないと思うよ。ここに来てから感じたことのない波長の魔力を感じてて、他の妖精や精霊はここまで微細な魔力の力はわかんない。だからひとまずは私達だけだと思うよ。』


 ミリィでもそこまで理解できていないということか。それなら根掘り葉掘り聞くのはまた違うのかもしれない。だとしても、ミリィが感じた違和感の正体、それをドワルニアにいる間に判明させたい。ゲームは探求するためにあるのだから。

 まぁ取り敢えず今日のところは寝てみよう。本格的な調査は明日からドルヴェラクからの報告でも待ちながらでいいだろう。まずはドワルニア全体を回ってみて協会を回ってみて、その後ミリィの感じた違和感を探って……


 


 しかし、寝落ちした私を待っていたのは冷酷な事実だった。

 ドルヴェラクさんからの連絡は長くて2日ぐらいだとは思っていたが、2日経っても3日経っても、ドルヴェラクさんからの報告は帰ってこなかったからだ。

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