第二十八話 獅子と支配者
ネームドスキル《破刃のベルセルク》から作られたスキル「傍若無人」はとても強力だった。なんせ物理ダメージを50%カットするのだ。並大抵の攻撃じゃ効かないと信じたい。それに加えて全攻撃に破壊属性がつくのも強い。破壊属性は武器の破壊に加え身体の欠損をすることができるらしい。例えばどんだけ腕を執拗に狙っても普通はHPが減るのみ。目が潰されるなどはあるが右腕がなくなるということはないらしい。だが、破壊属性があれば腕や前足を使えないように落とすことができるらしい。
例えば私の使う紅蓮刃・朱雀の攻撃はほとんどが破壊属性がついているらしい。
まぁおそらく普通の攻撃で体がなくなればグロすぎて全年齢のゲームとならなかっただろう。潰される瞬間も徐々に体が破壊されていくのを見るのは少々酷い。そういう心理的負担を軽くするために限定的な攻撃でしか部位の欠損を起こせないようにしたのだろう。
こんなことから傍若無人は稀有なスキルと言える。次はネームドスキル《剛柔のイプシオン》を突っ込んでみる。ここでは先程も使ったワイルドボアのスキルルビー5個に加えてフォレストモンキーのスキルルビーを4個使う。
やはり人族の特性として一番すごいのはこのスキル作成中にスキルルビーから抽出できる効果を見て取捨選択できるという点だ。それに随時作成されるスキルの効果を調べられるので強化の度合いを図りやすい。欠点としたらSPの枯渇だろうか。これまたノトス討伐戦のときにいたプレイヤーから聞いたのだが、普通のプレイヤーはSPを使ってスキルを強化するらしい。そして一定のレベルに達したスキルは自動的に一つ上のランクのスキルに変わるらしい。と言っても明確にランクが定められているわけではなくちょっと使い勝手が良くなる感じらしい。
きっと私でもスキルを強化することはできるのだろうが…果たしてスキルを強化するだけのSPが残るかどうか。
ちなみに《剛柔のイプシオン》の効果は受けた攻撃を次の自分の攻撃に上乗せするものらしい。そして抽出したワイルドボアのスキルルビーからは「STR上昇」が3つと「連刃」、そして「シャープネス」。フォレストモンキーのスキルルビーからは「STR上昇」が2つと「リフレクション」、そして「殺陣」が手に入った。連刃とは複数回連続して攻撃する際にステータスに補正、シャープネスは持つ武器の質を良くする、リフレクションは攻撃を反射し、殺陣は攻撃時のスタミナ減少を減らすものだ。
スタミナ?となったのでミリィに聞いてみたら
『スタミナは行動に必要なものよ。ほらいっぱい走ったら疲れちゃうでしょ?あまりにも長時間動き続けたら全ステータスが半分になっちゃうから気をつけてね。』
ということだ。まぁスタミナ消費が少ないほど長期戦ができるということらしい。ちなみにスタミナを強化するすべは今のところ発見されていないらしい。
抽出されたスキル達を見て頷く。これらは《剛柔のイプシオン》と相性がいいためすべて使うこととする。スキルルビーが塵となって消えていき一つのスキルができる。スキル「累撃昇華」。受けた攻撃を次の攻撃に上乗せし連続の攻撃を与えるスキル。連続攻撃は5連撃で最初が受けた攻撃が上乗せされたダメージ、次が初めの1.5倍のダメージ、その次が初めの2倍のダメージ……と続いていき最後が初めの3倍のダメージとなる。
なん何だこれは?ちょいとばかし強すぎやしないか?だってこれだったらめっちゃ強い敵の攻撃を受けても生きてさえいれば特大カウンターを5回も、しかも当たるごとに強くなっていくんだぞ?ゲームバランスが崩壊しかねないな。だけどこれだけ強いスキルなのだから発動には代償がつくらしい。それは発動にHP上限の5%を消費するというもの。そしてスキルクールタイムは1分。まぁ納得という感じだ。
こんなにも強いスキルが作れるのはやはり二つ名持ちのスキルルビーを使っているだからなのだろうが、この二人よりも強い特異二つ名持ちのスキルルビーを使ったらどうなるんだ?そう思って南風のノトスのスキルルビーを取ろうとした。だが、見つけてしまった。なぜこれまで忘れていたんだろうというものを。それは新しい防具と武器、そして何かの破片。そう、レイドの報酬たちだ。
いくらなんでもスキル作成に熱中してレイドの報酬を忘れるだなんて馬鹿すぎる。急いでレイド報酬を見ていく。
〈アイテム説明〉
・「南風の大剣」
『モンスター急襲 交易都市ジョーヌ防衛戦の参加者全員に送られる南風シリーズの武器。南風シリーズには他にも大剣、篭手、弓、杖、盾が存在する。譲渡は可能。
南風の短剣の所持者のSTRとAGIを+50する。また、使用中に装備スキル「エアバースト」を使用可能。エアバーストはMPを5消費して後ろから圧縮した空気で吹き飛ばすスキル。
ある小獅子は死にかけていた。群れから追い出され弱肉強食の世界に放り込まれたか弱き獅子の子はその荒波に揉まれて今命の灯火が消えそうになっていた。そんな時だった、偉大なる天を支配するものが自分の目の前に立ち降りたのは。「ここで死ぬのがお前の運命か?」、そう問いかけてきた天の支配者に子獅子はいった。「そんな運命を僕は認めない」と。その心意気や良しと感じたのか天の支配者は眼の前の子獅子の命をつないだ。それから幾千年経ったときだろうか、天の支配者は懐かしい匂いをかぎ見てみると大きくなったあの時の子獅子がいたのだ。「助けてくれた恩を私は決して忘れません」、そういった子獅子は、いや勇敢な獅子はすぐに天の支配者の中の配下たちの中でも頭角を現していき次第に四天王の座についた。獅子は四天王の中で一番の若輩者だが、天の支配者への忠誠心は最も高かったのだ。そんな獅子を皆は敬意を込めてこう呼ぶ、「南風」と。』
・「四風の守護」
『モンスター急襲 交易都市ジョーヌ防衛戦においてMVPを取ったものに贈られる防具。この防具の使用者は「アイン」に固定されており譲渡は不可。
四風の守護の所有者のHPを+300、VITを+1000する。また使用中に装備スキル「風纏」を使用可能。
風纏を使用中1分で10MPを消費する。風纏使用中ある一定の強さの攻撃を無効化できる。
獅子は四天王となった。多くの天の支配者のは以下に見守られながらある遺物の授与式が行われた。その遺物は歴代四天王に受け継がれており、この世に4つしか存在しない。天の支配者は思い返す。昔助けた子獅子がここまで成長するとは思わなかったからだ。キリッとした目でこちらを見つめてくる獅子に向かって一言伝える。「汝は我に忠誠を誓うか?」獅子はすぐさま「当然であります」と返答する。天の支配者から獅子に向かって遺物が渡される。「この遺物は汝の体を守ってくれるものとなろう。我の名代として働くからには危険も伴おう。だが、死ぬことは許さぬ。汝の命は我のものだからだ。」天の支配者は目の涙を隠すようにして獅子に渡す。「ありがとうございます。我が主。」獅子は恭しく礼をする。割れんばかりの喝采に包まれながら獅子が胸を張る。これから先の運命など知らずに。』
・「天空の破片」
『ありとあらゆる武器の強化に使うことができる最上級の物質。しかしその力は未だ此処にはない。
天の支配者は配下の命を重んじる。それは忠誠に報いるためでもあるが何より仲間思いの天の支配者だからであろう。そんな彼の配下の中でもひときわ目をかけている者たち。それこそが四天王である。四天王はもはや他の配下とは存在が違い自分の眷属となりつつある。四天王に与えるのはかの素晴らしい遺物に加えてもう一つ存在する。自分の欠片を埋め込み徐々に力を強めていくのだ。時間が経つほど強くなり、配下のみを守ることができる。そして天の支配者は配下の安否を常に知り続けるのだ。今日も天の支配者に安寧は
来ない。』
思っていた以上のインパクトがあった。何度も言うがアイテム説明で泣かせるのはやめてほしい。バックストーリーを知ってしまうがゆえ自分のやった行動が本当に正しかったのか?と思ってしまうから。
あの時ノトスを止めなければ甚大な被害が出ていたのは確実だ、だから私がしたことは間違っていない。そう自分に言い聞かせながらノトスのスキルルビーを手に取る。どうせならノトスのことを有用に使ってあげたい。そう思いながら。
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加えてなのですが,明日から中間試験なので一週間ほど更新をやめさせていただきます。一週間後から第一話から大幅に変更していくのでみていただければと思います




