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第十三話 妖精って可憐だな

 ミリィちゃんが、いやミリィが破邪の仮面に吸い込まれて行くのを見た。この世では考えられないほどの眩い笑顔を浮かべた彼女が消えなくて本当に良かった。ホッとした安堵感が胸いっぱいに広がっていった。

そんな中ある一つのアナウンスが鳴る。


 【隠し任務(ハイドストーリー) 案内妖精の救出をクリアしました】


 うん?隠し任務?もしかして無我夢中でミリィちゃんを助けようとした結果またなにか新要素を見つけてしまった感じか?あいにくVRゲームを1ヶ月ほどやり続けないといけないため外の情報を得ないと確信は抱けないけど明らかに私の身に色々なことが起きすぎている気がする。


 「ねぇ、ミリィ。この隠し任務(ハイドストーリー)って何?」


 『あれぇ?もうちゃん付けで呼んでくれないの?』


 「何いってんの?私とあんたはもうパートナーなんだから当たり前でしょ?」


 『そっか!えへへへ……パートナーかぁ…』


 「それで、隠し任務って何?」


 『えっとぉ、隠し任務っていうのは数ある任務の種類の一つだよ。任務は大勢の人が同じ内容を受けることができる普通任務(ジェネラルストーリー)、選ばれた人が同じ内容を受けることができる特殊任務(ユニークストーリー)、大勢の人が受けることはできるけれど達成条件や内容がわからない隠し任務(ハイドストーリー)、そして最後がひとりひとり違った内容の個人任務(ユア・ストーリー)の4つだよ。』


 「任務にもいろいろなものがあるんだね。」


 『そう!この中でも隠し任務は達成人数が少ないんだよ。そんなに私が大事だったの?』


 「まぁ、二つ名持ちを倒して隠し任務をクリアしちゃうぐらいには好きだけど?」


 『グッ、そういうのを真顔で言うもんじゃないでしょ!もっとこう、恥じらいとかを持ちなさいよ!』


 「大好きだよ、ミリィ。」


 ふーっと耳に息をかけてみる。


 『そういうとこ!』


 顔を赤くさせながらミリィちゃんが仮面に戻っていく。


 「おい、嬢ちゃん…お前さんたちはそういう、いやなんでもねぇ。いまどきそういうのを言うのは野暮だったな、すまんすまん。」


 ドルヴェラクに注意されたことでつい先程までやっていた行動の内容を思いだす。耳に息を吹きかけたり、好きと囁いたり……なにこれ?恥ずかしすぎる!これほんとに私がやってたの?ちょっと待って、え?ガチで?あまりの恥ずかしさに耳が真っ赤になる。


 「最近はそういうのも多いしな。大丈夫だ。」


 「だーから、そういうのじゃないんだって!!それより早くその仮面を返しなさいよ!」


 「お、これのことか?おそらく精霊嵌合の影響で少し変わってるようだから確認してみてくれ。」


 「ふーむ、なになに?」

 

 一度インベントリに入れて破邪の仮面を確認してみる。


 ・星祓いの妖面

  『中に案内妖精(ガイド)、個体名「ミリィ」が封じられている仮面。着用している際に「ミリィ」を外に具現化し会話することが可能。着用者のAGIとMPを+40する。着用中のみ装備スキル「星の位相(ステラ・レゾナンス)」を使用可能。隠し任務「案内妖精の救出」の成功報酬。


  ここから遥か遠くで生まれ、それでいて最も近くにいる存在を封じたもの。それは其の者の存在を確固たるものとし、またその存在とのつながりを太くする。このつながりは果たして星をも超えるのか、それとも運命か―――』


 おぉぉ、なんかすげえ内容が増えている気がする。毎度毎度このゲームではアイテムごとに設定が少しうかがえるような文章がついてくるが今回もまた壮大だなぁ。まあ言っちゃえばミリィちゃんが入った仮面ですよってことだしね。そんなことよりも新しいスキルのほうが気になる。剛柔のイプシオンを倒してからステータスを確認していないしいい頃合いかな?


 ステータスを見てみるとレベルが15、BPが70も溜まっていた。ここいらで一旦BPを振っておくか。VITはまあ防具を着れば大丈夫かな。HPがイプシオンと戦ったとき少々不安だったしSTRとAGIにも振りたい。だけど氷魔法をいざ見てしまった以上魔法を使ってみたいからMPも大事だしな…

 熟考すること5分、考えた結果ステータスはこの様になった。


 《アイン:人族》

 レベル:15

 職業:執行人(エグゼキューター)

 保有SP:55

 保有BP:0

 HP:40

 MP:30(70)

 STR:79

 AGI:30(70)

 VIT:1

 

 装備品

 ・星祓いの妖面

 【スキル】

 ・天翔龍

 〈職業スキル〉

 ・断罪執行(ヴァーディクト)

 ・処刑宣告(ネメシス)

 ・月下葬送

 〈装備スキル〉

 ・星の位相(ステラ・レゾナンス)

  『発動時にMPを5消費する。スキル発動とともに一瞬だけ体の当たり判定をなくすことができる。クールタイムは1分。


  星の生い立ちと深く関わる存在が間近にいるが故その者も星が存在する時空に引き寄せられてしまうのだろう。しかし探索者たちよ案ずることはない。ただあなた達は元あったとこに変わるだけなのだから。』


 【称号】

 ・「聡明な救い主」

 『隠し任務 案内妖精の救出をクリアしたものに送られる称号。妖精種との意思疎通が可能となる』

 ・「逆境を往く者」

 『自分自身の主な攻撃手段に対する耐性を持つ存在に挑み、倒しきったものに送られる称号。逆境時にステータスが変化する』


 すげぇぇぇ、星の位相ってスキルすごすぎじゃねぇか!一瞬当たり判定を無くせる?どんなバグ技だよ?悪用し放題じゃない?いや、ミリィちゃんが直ぐ側で見ているということを考えたら悪事には使えない……運営もよく考えたものだ。それにステータス、ついにMPの大幅上昇に成功!(ほぼほぼ星祓いの妖面の効果だけど)星の位相を使うためにはMPを消費するから増やすのは大正解だった。


 「おい嬢ちゃん、ずっと黙りこくってるけどなんか問題でも起きたのか?」


 「いや、思ったよりもすごいことになってて…あ、これ忘れてたんですけど剛柔のイプシオンの毛皮です。お気に召したでしょうか?」


 「おぉぉ、これは立派だな。だけどお前さんを見るに物理職なのだろうがどうやってこいつを倒したんだ?こいつには物理攻撃なんて全然効かなかったと思うんだが…」


 「まあそこは気合と根性で無理やりというか、なんというか。結構頑張って倒しました。」


 「嬢ちゃんには悪い子としたな…よし、嬢ちゃんさえ良ければここにある装備をなんだってあげるぜ。」


 「いいんですか?」

 

 「いいんだ。魔法も使わずに剛柔のイプシオンを倒すような英雄に使われるんだ、防具の方だって誉れだろう。」


 そう言われ連れて行かれたのは工房の裏側、数多くのドルヴェラクによって作られた装備が置かれている場所に向かった。両側の壁一面に装備がつらさがっている。


 「本当にこれをもらっていいんですか?」


 「いいんだ、もとより無茶な依頼だったってことでちょっとふっかけたしな。そのお詫びってことで。」


 そうやって気遣ってくれるドルヴェラクの様子を見ながら自分にあう装備を探す。私は高機動力、高火力のアタッカだから短剣が欲しいな。それにVITがとても低いからそれを補ってくれるものが、それでいて身軽そうなのは……


 『アイン!こんなマントとかはどう?』


 そうやってミリィちゃんが私におすすめしてきたマントは後ろに馬の柄の丸が乗った緑色のものだった。


 「お、嬢ちゃんなかなか見る目があるじゃねえか。そいつはつけたものの身軽さを落とさないのにVITを200も加算できる特上品だ。どうだ?これでもいいが。」


 「ください!このマントをください!!」


 「わかった、選ぶもんが決まったなら工房から早く出たほうがいいぜ。新しい素材をもらった俺はどうなるかわかんねぇからな。」


 そういうドルヴェラクの顔はひどくにやついいていた。まさに「早く武器を作りたい!!」といった顔だ。


 「あ、ありがとうございます!」


 私は今までのことすべてに対しての感謝を行う。


 「ああ、またいい素材が手に入ったら教えてくれ!」


 もうすでに金槌を握っているドルヴェラクの姿が見える。さあ、今度はどんな事をしようか?そんな事を話しながらミリィちゃんと一緒に黄金の三日月へと向かっていった。

  

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