29-31 「見てはいけない」
「あ?」
「どうしたよ樹」
「いや、何か高速で近付いて来てる気が――――」
「っ全員回避!」
奏さんが樹を、詩取さんが俺と恵斗を引っ掴んで大きく飛び退く。さっきまで俺達がいた場所にもうもうと立ち上る砂煙……ちょっと勢い良すぎると思わんか。器用に俺達を抱え直した詩取さんの若干引き気味の声が聞こえたぜ。
「エンデさぁん!」
「目を合わせるな!」
ああこのエンデさん仮面着けてねぇわ!こんな剥き出しのナイフみたいなセキュリティで良いのかラリマーさん!!
「だぁれが対象!?」
「そっち三人の誰か!」
「多分恭也!」
「なんで俺ぇ!?」
俺別にエンデさんと目を合わせた記憶はないんだけどなー!!割と本気で何でだ、そもそもこの世界に存在するエンデさんってラリマーさんのセキュリティなんだから…………もしかしてラリマーさんと目が合ったかどうかが判定だったりする?
「とんだトラップ説出てきたぞ……!?」
「君もしかして疑問提起から解決まで自己完結で済ませちゃうタイプ?俺と恵斗くんはさっぱりよ?」
そんなことな…………いと言いたかったけど今回に限っては過程がまるっと脳内会議で済まされていたことを思い出す。確かに自己完結型と言われても仕方ないような発言だったね。出来れば他の人の考察も聞きたいのでそのまま言葉にする。
「あのエンデさんが狙う基準がラリマーさんと目が合ったかどうかっぽくて」
「それなら全員判定ないか?」
「常に最新上書きシステムならワンチャンある」
正直俺が狙われてる理由がそれくらいしか思い付かないのよね。流石にエンデさん本体の判定を適用してるとは思えないし。水の塊は奏さん、勾玉は樹が持ってるのにコレとなると明らかに個人を狙ってる。
俺と恵斗を抱えながら、詩取さんは軽いステップを踏みつつエンデさんを捌く。器用だね詩取さん、正直そこまでの速さはないけどこのエンデさん緩急と狙いが上手くてちょくちょく視界から消える。俺だけだったら速攻でボコられてた気がするな。
「どうにかして無力化したいなー!俺が逃げ回るから出来ない?」
「一応当ててみますけど……あんまり期待しないでください」
「スゲーな恵斗、一発当てる自信あるんだ」
あれだけ動き回る相手に一発入れるの、相当面倒くさいと思わんか。俺は相変わらず掴みどころがない気配のエンデさんを捕捉することすら一苦労だってのに。
「気を付けろ恵斗!若葉もどっかに潜んでる!」
「それが一番不味いって……!」
若葉さんは障害物全無視じゃん!幸いここに背の高いオブジェクトとかはないけど!合流直前辺りで生えてきそうで困るなぁ!
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