29-30 「双方繋がる水の糸」
樹の術式でラリマーさんの世界へと向かう。ふわりと降り立った世界の空は緑……緑?
「緑……?」
あれおかしいな。俺はてっきり空は青いもんだと。でもラリマーさんの色彩って緑だっけ?俺以外別に疑問に思ってなさそうだから多分緑が正解なんだと思う。
「案の定混ざりまくってんな……」
「あっちこっちにあるな、水の塊」
水の塊がいっぱいある以外は最初の風景と何ら変わりがない。何の情報もフィードバックされてないのか、はたまたされた上でこれなのか……。
「触ったらやっぱテレポートすんのかな」
「試すのは止めといた方が良いと思う。ピンボールになりたいなら止めないけど」
「なりたくないのでやめときまーす」
無限テレポートはノーセンキューっすわ。好奇心で伸ばしてた手を引っ込めて大人しく散策に移る。因みに樹も同じ挙動してたし反応も一緒だったわ。
「どこにいるかなラリマー……」
「広範囲に気配が散乱してて俺も分かんねぇんだよな……せめて何らかの術式持ってりゃ話は別だが」
「あ、それで思い出した!」
「うっひゃあ!?」
背後から詩取さんの声が飛んできて樹が素っ頓狂な声出して引っくり返る。ぶっちゃけ俺もびっくりした。気配察知出来る恵斗も驚いてるから完全に気配なかったと思います。転ばないように樹を支える奏さんが緩く首を傾げる。
「何忘れてたの」
「実は玲士くんって子からコレ預かってたんだよね!はい」
「あ、ラリマーさんがつけてた奏さん探索用の水!」
「え、ラリマーが?」
「おう」
そういや玲士が持ってたんだっけか。興味津々と言った風に覗き込んだ樹が奏さんと水を交互に確認して?あ、なんか透明な勾玉突っ込んだ。
「ん-……お、行けそう」
「うおお勾玉が緑に……」
「万能すぎじゃないかその勾玉?」
「これは中身が空だからな。結構面倒なんだぞ空の勾玉作るの」
「んな謎技術の高難易度技見せられても」
俺達はそもそも勾玉云々の難易度を知らんのよ。よく片手間で砕いてるのは見ますけどね、希少なモンの割に大量にあるしよく砕いてる。中身が空なのが難しいだけ?本来勾玉って中身ギッチギチに詰まってるもんなのかな。
「一志見つかりそう?」
「いやぜーんぜん。ただ空間自体は狭まってるからしらみつぶしに探せばワンチャンかなってカンジ」
狭まってるんだ空間……まぁ取り込まれてた宇月とか恵斗とかを解放してるから縮小はしててもおかしくはない。……縮小してても尚しらみつぶししか方法がないって言われてる一志に関しては訳分からんなって思いますけどね!
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