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呪われし魔王の安寧秩序  作者: 鳳仙花
第三章・安寧と秩序
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氷帝の気まぐれ

そこで少し会話に間があくと、氷帝はまさに思い出したというように、手の平を拳で打って陽気に喋りだした。


「そうそう、魔王様よ。一つ大事なことを忘れていた。勇者アテナの生死より驚きの人物の生存を妾の部下が、噂レベルではあるが確認したぞ」


「む、そんな生きていて驚くほどの上席な奴など人間にいたか?」


魔王が首を傾げるあたり、魔王には特に思い当たる人物がいないそうだった。

しかし氷帝が口にしようとしている人物は勇者アテナより厄介で、まさに勇者以外で唯一人間の希望となれる一人であった。

氷帝は持ったぶってすぐに口にはせずに軽く辺りへ視線をやっては、声を潜めて嫌味ある笑みをして魔王に囁くのだった。


「星の騎士団長だ。何年も行方不明と言われ続け、魔王軍でもずっと所在どころか生存すら確認できなかった野郎よ。妾としてもてっきり死んだと思っていたのだがな。まさか今頃になって表舞台に姿を現そうとするとは予想外じゃ」


「なに、星の騎士団長だと?中央地の王国都市が壊滅されて、慌てて出てきたと言わんばかりのタイミングだな。だが俺はその姿を見たこともないだけではなく、驚く程の戦績も聞いたことがない。そいつは警戒に値するのか?」


「どうかのう。腐ってもあの星の騎士の団長だからのう。ただのお飾りというわけではあるまい。ただそれだけしか魔王様の認知に及ばない人物だということは、逆を言えば多くが未知数ということじゃ。まさに隠し玉があってもおかしくはないはずじゃよ」


氷帝が得意げに話す辺り、他の魔物とは着眼点が変わっていた。

シャルは雷帝の思考回路は知らないから何とも言えないが、炎帝なら行き当たりばったりで対処しようとし、地帝なら受身のみで物事を解決しようとするだろうなと思った。

しかし氷帝はそれら幹部とは違い、かなり用心深いようだ。

おそらく実力だけではなく、この思慮深さも高く評価されて、最高幹部という立場にいるに違いない。

魔王は氷帝の言葉を頭の隅に留めて置くことにしておき、神妙な表情をしながら相槌を打った。


「わかった。念の為に俺も警戒はしておこう。氷帝よ、大変だろうがしばらくは東の地はお前一体に任せた。ひとまずはブラッドウルフなど使える部隊長はそちらの配下に加えさせる。また前のように一方の地域に意識を集中させられて、他の方角の地を危険に晒す真似はできないからな。全域に警戒をさせるため、東の地に大した援軍は送れないがいいな?」


「……ふむ、そうじゃな。部隊長を送ってくれるなら文句はない。それで充分じゃ。あとは妾に任せて、魔王様は魔王様の仕事をするといい。精霊の名にかけて、何があっても東の地を人間に占領させることはしない」


「よし、それでは俺達は北の地へ戻る。手間だろうが報告はこまめに頼む」


「分かったぞ。では魔王様、また会おうではないか。シャルもまたな。次は時間でも作ってゆっくりと話そう。夜、魔王と何してるか妾は是非とも聞きたい!」


氷帝はにっこりと満面の笑みで愉快そうに言うが、シャルは首を小さく傾げて呟くだけだった。


「夜、ですか?別に魔王と一緒に眠っているとしか…。あと、たまに二人で特訓とか…。夜に特訓とは言っても、魔王が優しく教えてくれるので…大変じゃないですが……」


「シャル、断片的な言葉を発して中途半端な情報を与えるものではないぞ。そういうのは誤解を招く恐れがある」


シャルの言葉が少し変な言い回しだったので、魔王はすぐに止めに入るように強い口調で遮った。

だけど、それに関わらず氷帝はにやにやとして意味深な表情をしてみせる。

その表情だけで、まるでいかがわしいことがあるのではないのかと言わんばかりであった。


「なんじゃ、なんじゃ。案外魔王様も手が早いんじゃのう。しかし夜の特訓とは一体どんなことをどのように教えてるのやら…、わっははは、妾もご一緒してみたいものよ」


「お前といたら俺は冬眠してしまうだろうな。そしてシャルは氷漬けだ。では、氷帝。またな」


魔王は逃げるように転移魔法を発動させて、シャルと共に東の魔城の司令室からあっという間に姿を消してしまう。

まさに氷帝とシャルに余計なことをこれ以上は言わせないほどに、強引にいなくなってしまった。

それでも氷帝は魔王が表には出さずとも慌ていたことに感づいていて、早口で話しては転移した魔王の姿を思い出して含み笑いをする。

それから愉快そうに氷帝は狐の尻尾を振りながら窓の方へと歩み寄って、外の風景を眺めだした。

広大な大地に広がり交差する多くの川、跳ねたり泳いだりする魚と湿った土草。

何気なくそんなありきたりな光景を眺めていると、氷帝は遠くに人影を見た。

あまりにも遠くてはっきりとした様子が覗えないので、氷帝は手元に氷の結晶を発生させては氷のレンズを造り出して望遠鏡代わりにする。

レンズを覗くと魚を持った青い髪の幼い女の子が、やたらと下品で野蛮そうな男達に言い寄られているようなものが見えた。

服装や顔つきからして男たちは山賊とか、盗賊の類だろう。

多分、青い髪の幼い女の子の手元の魚を目当てに襲おうとしているのかもしれない。


「…そういえば、最近人間の山賊に食料を奪われたと配下から報告があったかの。ふーむ、人間の女の子はどうでもいいが、ゴロツキに食料を与えて活力を得られるのは面倒じゃ。妾が行くまでもないにしても、この距離では配下を向かわせている間に逃走される恐れがある。となると、やはり妾が行くのが一番じゃな」


氷帝はそう呟くなり手元の氷のレンズを握り砕いて、嫌な顔をせずにというより冷酷な顔をして窓から身を乗り出しては魔城から飛び降りた。

小さな体で魔城の壁や塀を蹴り飛ばして駆けていき、華麗に地面へと着地する。

そして幼女の姿であるためか、別に助けるつもりはないためなのか、氷帝は二本脚で軽く走って襲われようとしている青い髪の幼い女の子へと向かっていた。

こうして氷帝が向かっている間も、青い髪の幼い女の子に危険が迫ろうとしている。

青い髪の女の子は魚を大事そうに抱えながら、腰に剣を携えたゴロツキに威勢よく叫んだ。


「やいやいやい!なんだお前たちは!この魚は私のなんだぞ!お前たち魔物以下の畜生なんかに譲るものか!」


青い髪の女の子は精一杯力強く叫ぶが、それは駄々をこねる赤子同然。

ゴロツキの男たちは嫌らしい笑みを浮かべるだけで、言葉による威嚇は何も効果はない。


「へっへへへ、お嬢ちゃんよぉ。別に俺たちは魚だけが目的じゃあねぇんだよ。魚なんてその気になれば簡単に沢山漁れるからな。でもお嬢ちゃん、魚以外の物も持っているんだろぉ?お金、できれば宝石とかな~。いやぁ、さすがにこんな生まれたてのようなガキが宝石を持っているわけねぇか」


「バカを言うな!小さくてもレディーなんだから宝石の一つや二つ……はさすがにないけど、えっと…あくせさりーくらいなら持っているもんね!」


「アクセサリーだぁ?どうせおもちゃみてぇなもんだろ。ガキはゴミでもお宝みたいなもんだからさ!俺も小さい頃は空き缶とか宝箱にしたもんだぜ、なんてな。あっはっはっはっは!」


周りのゴロツキは一斉に笑いだす。

完全に少女に向けて馬鹿にしている笑い方だ。

だから青髪の少女はムッと表情を険しくして再び叫んだ。


「何を!あくせさりーは両親の形見だ!ゴミなものか!もし形見をゴミと呼ぶのなら、お前たちに価値を見いだせないだけだよ!」


「…ちっ、両親いねぇのかよ。なら、誘拐して身代金を頂くってのはできねぇか。まぁいい。その形見のアクセサリーとやらを貰おうか。そうすれば痛い思いをしないで済むぜ」


「べーっだ!誰がお前らなんかに形見を譲るものか。これ以上、私を脅すつもりなら逆に痛い思いをさせてやるんだから!」


青髪の少女は魚を地面に放り投げるなり、腰へと手を回した。

しかし空を掴むばかりで手を握ったり広げたり、腰の方を触るばかりで特に取り出すわけでもなかった。

ゴロツキ達はこの少女は何をしているんだと呆れだす中、青髪の少女は髪だけではなく顔まで青くなりそうになっていた。


「し、しまった…。ナイフは蹴飛ばされて湖に落としたんだった…。どうしよう……、謝るべきか…。でもこんな奴らなんかに……うぐぐぐ」


「へっ、なんだ?威勢いいこと言ったくせに顔を青くしやがって。ここは魔物の城も近いしな。さっさと連れ行って、暇つぶしにゆっくりと虐めてやろうかねぇ」


「く、来るな!近づくな、この変態!」


「うっせぇんだよ、ガキが!都合のいいことばかり口にしてんじゃねぇよ!」


ゴロツキの一人が青髪の少女を怒鳴りながら腕を振り上げて殴ろうとした直前、そのゴロツキの腕に白い結晶がまとわりついた。

ひんやりと冷たい感触を肌で感じ取ると共に、すぐに片腕は凍結しだしてゴロツキの腕が氷で包まれる。

そして凍ったことに驚くよりも早く、その痛みや冷たさを感じるはずの腕は宙を舞っていた。

血は飛び散らない。

なぜなら傷口までも完全に氷ついていて、生理現象を起こすことも許されていないからだ。

腕が飛ばされたゴロツキは叫ぼうとして口を開ける。

そこから叫ぶことで飛び散るはずの唾液も飛ぶことはなかった。

それは全身が氷漬けにされて、氷の彫像と変わらぬ有様となっていたため。

ゴロツキの一人の腕が凍ってから数秒足らずで、見違える姿となっていて誰もが呆然とした。

その氷の彫像に、青髪の少女と変わらぬ年齢であろう見た目の白き狐の少女が触れていた。

いつこんな少女が現れたのか誰も分からない。

ただ少女はどこまでも姿が白く、狐耳と尻尾を生やしていて人間ではないと誰もが察知する。

しかし誰も言葉を発することはせず、指先すらも動かせずにいた。


「やれやれ、人間とはいえこんな小さな女子(おなご)に手をあげるものかねぇ。人間も野蛮となれば野良の魔物と変わらんの。まったくもって知性の欠片もないとは不愉快じゃ」


白き狐の少女、氷帝は鋭い目つきで残ったゴロツキたちを睨みつけた。

その視線は能力に関係なく体の芯を恐怖で凍てつかせるもので、睨まれていない青髪の少女ですら身震いをする。

氷帝は視線を動かし、ゴロツキの頭数を数えた。

氷漬けにしたのを除いたら五人だ。

この人数で一人の少女によってたかって虐めていたとは、反吐が出るほどに面白い。

氷帝は唾を吐き捨て、ゴロツキに歩み寄る。

そこでようやく歩み寄られているゴロツキが、この人間の中で初めて動きだした。

腰にかけていた剣を抜き取り、銀の刃を氷帝に向けて威嚇する。

しかし寒さによるものか恐怖によるものか、手が震えていて剣先が定まっていない。

目の前に脅威が現れたら一変してこの態度とは滑稽だ。

氷帝は口元を歪めて笑う。

それは魔物のボスに相応しき悪意の笑み。

決して少女という見た目に似合う笑顔ではない。


「ち、近づくんじゃあねぇ!」


さっき青髪の少女が口にした言葉を、ゴロツキが震えた声で吐き出した。

なんて愚かで無様だ。

剣を向けているにも関わらず恐れていて、どうすればいいか分からないでいる。

こんなの、普通ならやることなど一つしかないだろうに。


「なんじゃ、誰に命令をしておる?まさか妾にか?ほんと、馬鹿な人間よ…」


氷帝が小さな足を前に動かして距離を詰めていくと、剣を抜いたゴロツキは腰を引いて距離を取ろうとしだした。

でも無駄だ。

単純に距離を詰められていくだけではなく、冷えていく辺りの空気により体がうまく動かせないでいる。

寒さで歯が鳴る、恐怖で視線と呼吸が荒れる、目の前の白い狐の少女に圧倒されて思考が働かなくなる。

確実に縮まる距離に、ゴロツキは覚悟を決めたのか、腕を大きく振り上げてから剣を力強く振り下ろした。

でも氷帝が片手を上げると、その手のひらに刃がぶつかる。

ガキィン、と鳴り響く鈍い音。

刃が……、氷帝の手のひらで止まっている。

剣の刃と氷帝の手のひらの間には氷の結晶ができており、それで攻撃が阻まられたのは一目瞭然だ。

けれど問題は刃がビクとも動かないことだ。

一見、小さな少女が大の男の剣を止めているというものだから、周りも驚かずにはいられなかった。

このままでは危険だと判断して、生存本能でも働いたのか、他のゴロツキたちも剣を引き抜いて氷帝へと襲いかかろうとしてきた。

氷帝は冷たく薄く笑ってから手で剣を掴みながら跳ねて、まずは最初に剣を振り下ろしてきたゴロツキの顔を両足で蹴り飛ばした。

それから軽やかに宙を舞い、別のゴロツキの頭の上へと着地して叩き潰した。


「く、くそっ!なんだこのメスガキはっ!」


健在である一人のゴロツキが悪態を吐きながらも、キレのない力任せの動きで氷帝にめがけて剣を横に振るう。

力はそれなりにあるのか振りは遅くはない。

でもあまりにも無駄が多いために鋭さの欠片もないので、氷帝は冷静に冷酷に横に振るわれた剣の刃を、最初と同じように氷の結晶を挟んで掴み取る。

刃を掴まれたゴロツキはすぐに剣を引き抜こうとしたのだが、びくともしなかった。

それどころか剣の全体が氷だしていき、凍結がゴロツキの手元にまで一瞬で迫り来る。

氷漬けにされた仲間を見ていたおかげでそのゴロツキは恐怖により反射的な速さで剣を手放すが、手放すと同時に氷帝は今凍らしていた剣を手元で回転させて柄を握る。

それから刃に鋭利な氷を纏わせることで攻撃の範囲を無理に伸ばしながら、剣を振るって今しがた剣を手放したゴロツキの首を綺麗に斬った。

更に続けて氷帝は血と氷で白と赤が混ざった剣で、着地した時に地面へと踏みつけたゴロツキの頭を貫いた。

まだ動けるゴロツキの残りは三人。

氷帝は剣を更に深く下へと突き刺して、地面に突き刺した剣の柄の上に器用につま先立ちで乗って挑発するように嘲笑った。


「どうした、人間。このままでは死ぬぞ?」


すでにここまで異常な力を見せ付けられたら逃げるべきだ。

もし逃げ切れないとしても普通の人間なら命乞いをしながら逃走する。

でも愚かなゴロツキは立ち向かってしまう。

まさに命知らず。

英雄の命知らずとは違い、ただ馬鹿なだけによる命の投げ捨てだ。

蹴られたゴロツキの一人が式術の札を取り出して、札を強く握り込みながら氷帝へと殴りかかろうとしてきた。

ゴロツキが取り出したのは火炎の式術で、剣の柄の上で動かぬ氷帝に拳が当たる直前に発動してゴロツキの拳が燃えだした。

捨て身の攻撃をするあたりは、少しは見所があるのかもしれない。

だが無意味だ。

氷帝は小さな手で、ゴロツキの燃える無骨な拳を受け止めると同時に炎ごと凍らしてしまう。

炎が氷の結晶の形になるという、衝撃的な現象を目の前にしたゴロツキは唖然として顔が間抜けなものとなる。

そしてその間抜け面のまま一瞬で氷漬けとなり、すかさず氷帝は跳んで目の前の新しき氷の彫像を蹴り飛ばして打ち砕いた。

飛び散る肉片と氷。

まるで石像が地面に落ちて砕けたみたいで、バラバラで瓦解した生物とも分からぬ破片となる。

もはや見るも無残なゴロツキの残骸に誰もが目を奪われたとき、かすかに見えた氷帝の楽しそうな顔。

この残虐な行為に、残った二人のゴロツキは戦慄した。


「わははっ、散ったらなっさけない姿じゃのう!氷の結晶の美しさには遠く及ばんぞ」


氷帝は続けて着地すると同時に肉片の氷を蹴り飛ばした。

蹴られた肉片の氷は銃弾と大差ない勢いで飛んでいき、空気を裂く音と肉が潰れる音と共に一人のゴロツキの頭を貫いた。

頭の一部を失って崩れ落ちるゴロツキに気づき、最後に残った一人のゴロツキは戦意を完全に失って尻餅を着いて体を震わせる。

目は怯えきっており、せっかく引き抜いた剣も手から離して地面へと落としている。

抵抗する気になれないと、言葉にせずとも誰が見ても一目瞭然だ。

氷帝は最後に残ったゴロツキの頬にひんやりとした冷たく小さな手で撫でた。


「ふふふ、そう怯えるな。すぐに殺しはせんよ。まだお前に仲間がいるのは知っとるからな。アジトへの道案内は必要じゃ。…案内、してくれるじゃろ?」


脅しの入った氷帝の低い声色に、ゴロツキは何度も首を縦に振る。

まるでバカ犬だ。

氷帝はゴロツキの返事に満足したようでにっこりと笑う。

その笑顔は明るいもののはずだが、今の惨状を見たあとではどんな表情の変化でも人間は恐れを感じてしまうだろう。


「よしよし、良い子じゃ。しかしその前に、ちょっと待っとれ。おい、女子よ」


「わ、私…ですか?」


目の前の光景に驚いて沈黙していた青髪の少女は氷帝に話しかけられると、体を飛び上がらせて反応した。

自分に敵意はないと薄々分かってはいても、どうしても怯えてしまう。


「そうじゃ、お主だ。お主もこんな所にいたら盗賊だけではなく、妾の配下にも目をつけられるぞ。早く帰るのだな。颯爽とこの場から立ち去るのじゃ」


「え、…あ…はい。す…すみません。ありがとう…ござ…います!」


さすがに今のを見せつけられたためか、青髪の少女はさっきのゴロツキに対して見せた態度とは打って変わって、しおらしくして頭を下げる。

それから魚を抱え直して、すぐに氷帝から逃げ出していくのだった。

氷帝はその後ろ姿を見届けるなり、最後に残ったゴロツキを手のひらで引っぱたいた。


「ほれ、さっさと行くぞ。案内するんじゃろ。余計な時間は嫌いなんじゃ。はようアジトまで歩け」


ゴロツキは理不尽な暴力に恐れながら、素直に氷帝の言葉を聞いて前を歩く。

その後ろを氷帝は小さな体でのんびりとついていきながら、頭の中ではこれからの人間の軍の動きについて考えていた。

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