表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪われし魔王の安寧秩序  作者: 鳳仙花
第二章・侵攻、そして防衛
58/154

鷲の側近の抵抗

アケルナルという女性は両刃の槍を振り回しながら鷲の側近に向って走り出し、首を狩ろうと振ってきた。

それまでの動きは俊敏で、並大抵の兵士の速さと比べたらあまりにも段違いだ。

しかし鷲の側近は全速力ではなかったとは言え、天狼の動きを捉えて迎撃できる反応の良さがある。

お手本のような動きで冷静に盾で両刃の槍の刃を防ぎ、持っていた剣で反撃しようと振るう。

その鷲の側近の斬撃をアケルナルは槍を振り回して叩き落とし、続けて頭を狙って突こうとしてきた。

鷲の側近は頭を横に逸らすことで槍の突きを避けて、もう一度剣を振るった。

だがやはりアケルナルは槍でいとも簡単に受け止めてしまう。

でも鷲の側近はすかさず盾を突き出してはアケルナルの体を押し、姿勢のバランスを崩そうとする。

これなら槍で防ぐ事や叩くでは対処できない。

けれど、とっさにアケルナルは槍を床に突き刺しては飛び上がり、両足で鷲の側近の盾を蹴り飛ばした。


「くっ!」


逆に強い衝撃を受けてしまい、鷲の側近は冷静な表情を崩してしまう。

両足の蹴りにより鷲の側近の体は大きく仰け反り、体の真正面に大きな隙ができてしまっていた。

その隙をアケルナルが見逃すはずもなく、着地しては流れるようにステップを踏んで、体を回しながら槍で鷲の側近の顔を狙って切り落とそうとしてきた。

それを鷲の側近は苦し紛れに振るう剣で弾き、大きな金属音を鳴らす。

そして鷲の側近は体のバランスを更に崩してしまうが、何も脚だけが姿勢を保たせる役割を持つわけではない。

背中の大きな翼を羽ばたかせて、後ろに下がりながら天井へと舞い上がった。

一度距離を取ろうと、このまま一定の高さまで飛び上がろうとする。

そうすれば一方的に攻撃が可能のはずだ。

しかしアケルナルはそんなことをさせるわけもなく、鷲の側近が高く飛び上がりきる前にマントの下からボウガンを取り出して撃ってきた。

また顔を狙っての攻撃だ。

完全に一撃で仕留める気で、急所を狙ってきている。

これの射撃に対し、落ち着いて盾を顔の近くに寄せて矢を防いだ。

だがその一瞬だけ視界を狭める防御行為は、鷲の側近としては大きなミスだっただろう。

矢を受けてアケルナルの方へと再び床に視線を移すと、その姿は消えていた。

ほんのコンマ数秒、アケルナルがどこへ行ったかと辺りを目で探ってしまう。

その一秒にも満たない時間はアケルナルにとっては好機で、まさに攻撃が通る瞬間だったかもしれない。

アケルナルは脚力と槍の力だけで鷲の側近より高く舞い上がっており、すでに気づいた頃には両刃の槍で叩き落とそうと大きく振りかぶっていた。


「速いっ…!」


まだ上がりきってないとはいえ、まさかこの高さまで跳んでくるのは予想外で鷲の側近は面をくらう。

アケルナルは獲物を殺す目でみつめ、全力で両刃の槍を空気を裂く速さでまっすぐ振り下ろした。

その攻撃は鷲の側近の頭を叩き割ろうとしてきているもので、すぐに盾で受けきってみせる。

見事に槍の攻撃を防いではみせたが、叩き落とされる力は半端な強さではなく、地面へと叩きつけられそうになるほどの衝撃が盾から伝わってきた。

そのせいで鷲の側近は飛び始めたにも関わらず、玄関ホールの床へと強制的に落とされることになる。

しかも一緒にアケルナルも落ちてきているために、着地に手間取ったら攻撃をまともにくらってしまう。

鷲の側近はすぐに翼の羽ばたきで姿勢を整えることに徹し、足を床に着けると同時に前へと飛び出した。

これで場所をずらすことにより、真上から落下してきているアケルナルの両刃の槍の攻撃を避けてみせる。

このとき互いに背後を見せている状態だが、次に早く行動ができるのは前へと避けた鷲の側近の方だった。

鷲の側近はすぐに振り返って、この瞬間を逃すかと盾をアケルナルの背中に向って投げ飛ばした。

しかしアケルナルはほとんど後ろを見もせずに、体を振り返させるよりも先に両刃の槍だけで投げた盾を弾いた。

でも盾の投擲など鷲の側近からしたら攻撃でも何でもなく、ただの牽制にすぎない。

今度はこちらから仕掛けようとアケルナルに向って突っ込んでいき、槍に弾かれて宙に舞った盾を手に取り、そのまま剣で斬ろうとした。

その攻撃の動作までにはアケルナルはすでに振り返っており、またもや鷲の側近の攻撃を両刃の槍で防いでみせた。

ただ今度は弾くのではなく(つば)迫り合う形となっていて、互いの顔を睨み合って隙を探り合う事となる。


「さすが星の騎士団ですね。一太刀も入れられない」


「はっ!あんたも魔物のくせにやるじゃあないか!だけど、これはどうかな!」


アケルナルが鷲の側近の剣を弾くと、両手をそれぞれ別方向から振って鷲の側近に攻撃をしてきた。

さっきまでアケルナルが手にしていた武器は両刃の槍だったので、手がそれぞれ別方向からくるのはおかしいことだ。

しかし鷲の側近はすぐにアケルナルの攻撃の正体に気づき、盾と剣のそれぞれでアケルナルの左右からの攻撃を防いでみせた。


「一発目を防ぐとはさすがだねぇ!」


アケルナルは褒めるような言葉を口にしたが、鷲の側近の剣を持っていた方の腕には切り傷ができていた。

このままではまずいと、すぐに鷲の側近は距離を取ろうとするがアケルナルは回避を許すわけもなくて、すかさず武器を振るってきた。

アケルナルの振るう武器はもう槍の形状をしてはなく、それはヌンチャクとなっていた。

実はアケルナルの武器は単純に先端と後端に刃が付いた両刃の槍なのではなく、三節棍(さんせつこん)となっていて更に中央部分の分離が可能だった。

両刃の槍からの三節棍、三節棍からの分離によるダブルヌンチャク。

それは本来なら鈍器として分類される三節棍とヌンチャクだが、槍としての刃がついているために刃物としての力もある。

当然、普通なら異常なまでの扱いの難しさに武器としてはあまりにも不出来だ。

だが使いこなすアケルナルにとっては最高の武器であった。


アケルナルは刃のついた二本のヌンチャクを振り回し、鷲の側近の動きを完全に圧倒する。

盾で防ごうにも一本のヌンチャクに弾かれてしまい、もう片方のヌンチャクの攻撃を防ぐことはできない。

そのせいで一発目で盾に込める力を崩され、二発目には盾が手元から離れて飛んでいってしまった。

手にあるのは片手剣だけとなり、一本だけでは攻めるどころか防ぐこともままならない。

しかし飛ばされた盾を拾う時間などなく、アケルナルがヌンチャクを鮮やかに素早く振り回しながら、鷲の側近の空いた手の方へと攻撃を仕掛けてくる。

すぐに鷲の側近は腰に差していた二本の内の一本の曲刀を逆手持ちで抜き取り、ヌンチャクを曲刀の刃に合わせて逸らした。

そして続けて来る次のヌンチャクの攻撃も曲刀で受けて、わざと小さく曲刀を宙に弾き飛ばされる。

その弾き飛ばされた曲刀が目の前を飛んでいる瞬間、鷲の側近は空いた手でもう一本の曲刀を抜き取りながら剣を縦に振るい、宙に浮いている曲刀に刃をぶつけながらアケルナルの体を狙った。

すると剣に当たった宙の曲刀に回転がかかり、剣と共にアケルナルへと襲いかかる。

それをアケルナルは二本のヌンチャクで剣と曲刀を弾いて防ぐが、続けて引き抜いたもう一本の曲刀で鷲の側近は間髪いれずに力強く斬り上げるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ