白々しい言い訳
拘束した三人と絶命した継ぎ接ぎの獣を引き連れルークとガロンはレオニスの詰め所へと向かった。
事情を説明すると詰め所は騒然となった。継ぎ接ぎの獣の姿に、詰め所の兵士たちも顔を強張らせている。
「――こいつは、一体……」
「――これが、単なる魔物じゃねえのは見りゃ分かるでしょう」
ルークの言葉に隊長格の兵士が険しい顔で頷いた。
「――尋問する。少し待っていてもらえるか」
別室に通された三人のうち、まず口を割ったのは地に伏していた二人だった。痛みと恐怖からか、問い詰められるとあっさりと事情を話し始めた。
「――俺たちは、ただの傭兵です! 金で雇われて、逃げた獲物を追ってただけで……!」
「――雇い主は誰だ」
「――そ、それは……本当に知らねえんです! 顔も見たことねえ相手から、依頼書だけ届いて……!」
要領を得ない証言だったが、少なくとも彼らが末端の実行部隊に過ぎないことは伝わってきた。
問題はリーダー格の男だった。
「――俺は何も知らねえよ」
平然とした態度で男は肩をすくめた。
「――あの獣も、たまたま出くわしただけだ。討伐依頼を受けて追ってただけだぜ」
「――だったら、なんで俺たちを背後から斬りかかった」
ルークが低く問いただすと男はわざとらしく肩を竦めた。
「――そりゃ、お前らが怪しく見えたからだよ。あの獣を操ってんじゃねえかってな」
「――ふざけんな」
白々しい言い訳にルークの奥歯が軋んだ。だが決定的な証拠がない以上、この場でこれ以上追及するのは難しかった。
「――今は、これ以上は語れねえな」
男は余裕さえ滲ませた表情で押し黙った。
控室に戻ったルークは苛立ちを隠せずにいた。
「――くそ、あの野郎……」
「――何か掴めそうか?」
ガロンの問いにルークは首を振った。
「――末端の二人は、本当に何も知らねえみたいだな。厄介なのは、あのリーダーだ」
(――こいつら、恐らくベスティア国内の裏組織――ナイトシェイドみてえな連中の仕業かと思ったが)
バロメアで散々目の当たりにした、裏社会の腐敗。この一件も同じような構図なのではないかと、ルークは半ば当たりをつけていた。
(――だが、どうも違和感がある)
ナイトシェイドの下っ端どもとは、明らかに動きの質が違った。訓練された連携、感情を見せない受け答え。まるで軍隊のような統率だった。
(――金で雇われた傭兵にしちゃ、随分と統制取れてやがる)
その違和感の正体を、まだ言葉にはできずにいた。
詰め所を出たルークたちを隊長格の兵士が追いかけてきた。
「――待ってくれ。もう一つ、報告がある」
「――なんです?」
「――お前たちが遭遇した場所の近くに、少し前から怪しい館があるという噂があってな。今回の件と、無関係とは思えん」
その言葉にルークとガロンは顔を見合わせた。
(――ようやく、尻尾を掴めるかもしれねえな)
新たな手がかりを前に、ルークの中で、静かな闘志が燃え上がっていた




