表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
42/61

# 第四十二話 私はセンセイの(レクシア視点)

 返事の期限が迫った夜、私は、意を決して、センセイの前に立った。


「決めた」


 センセイは、真剣な面持ちで、私を見た。


「学院の話も、パーティの話も、断る!」


 センセイの表情に、驚きが浮かんだ。


「待て。せっかくの機会だぞ。お前の力を、もっと大きな場所で、正式に活かせる道だ」


「それでも、断る」


「なぜだ」


 センセイの声には、戸惑いと、それから、確かな心配が滲んでいた。


「お前の将来を、俺の都合で、狭めてほしくない。前にも、言ったはずだ」


 その言葉に、私は、これまで、ずっと胸の奥に留めていた思いを、ようやく、言葉にする決心をした。


「センセイは、いつも、そう言う。私のため、私の将来のため。でも、それは、本当に、私が望んでることを、見てくれてるの?」


 センセイが、息を呑む気配がした。


「私は、あの学院で得られる肩書きも、パーティの好待遇も、欲しいと思ったことは、一度もない!私が欲しいのは、そんなものじゃない!」


 私は、頬が、じわりと熱くなるのを感じながら、それでも、目を逸らさずに、続けた。


「私は、、、センセイの、、、、」




「奴隷だから!!」


 その一言に、センセイが、大きく目を見開いた。


「お前、それは……とっくの昔に、俺は、お前を自由にしたはずだ」


「知ってる!」


 私は、小さく笑った。


「あの時、センセイは、私を自由にしてくれた。でも、私が、自分の意志で、今も、ここにいることを選んでる。誰に強制されたわけでもなく、私自身が、選んで、センセイのそばにいる。それは、奴隷でいることとは、違うのかもしれない。」


 頬が、燃えるように熱かった。だが、私は、それでも、言葉を止めなかった。


「センセイのそばにいることが、私にとって、一番の望みなの。学院の肩書きも、パーティの名声も、それに、代わるものじゃない」


 センセイは、しばらく、何も言えずにいた。その顔には、戸惑いと、それから、まだ、うまく飲み込めていないような、複雑な色が浮かんでいた。


「お前が、そう言うなら……無理には、勧めない。だが」


 センセイは、少し、言葉を選ぶように、続けた。


「お前の気持ちは、ありがたい。奴隷市場から解放した恩を、そこまで、感じてくれていたとは、思わなかった」


 その言葉に、私は、思わず、拍子抜けしてしまった。恩。センセイは、今の告白を、あくまで、恩義の延長として、受け取ったらしかった。


 まったく、この人は。。。。


 呆れる気持ちと、それでも、変わらないその鈍感さが、どこか、愛おしくもある、という、矛盾した感情が、同時に、胸の中に湧き上がった。


「まあ、いい。今は、これで」


 私は、そう呟いて、小さく笑った。焦る必要はない。


 その日から、学院からの正式な誘いも、パーティからの勧誘も、私はきっぱりと断った。ハーゲンの一件は、学院内でも、大きな話題になっていたらしく、断りの返事に対しても、学院側は、存外あっさりと、それを受け入れた。学長からは、後日、短い手紙が届いた。


「気が変わったら、いつでも、扉は開けておくわ。それと、、あの鈍感な男、そのうち、ちゃんと、気づかせてあげなさいね」


 その一文に、私は、思わず、声を上げて笑ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ