第73話 VSレッドゴブリン①
シグマさんはその後、俺に『ゴブリンパニック』は全二層と教えてくれた。
俺はこの先にエリアボスがいると思っていたけど、どうやらダンジョンのボスがいるみたいだ。
ボスの名前はレッドゴブリン、そしてEランクダンジョンのボスの中では強い部類に入るらしい。
シグマさんはそこまで教えてくれたけど、これ以上は何も教えてくれなかった。
実際に戦ってみればわかるとだけ言い残してどこかへ行ってしまった。
ボス部屋に入ると1体の赤いゴブリンがいる。
レッドゴブリンという名前の通り赤いゴブリンだ。
ホブゴブリンガーディアンみたいな巨体をイメージしていたけど、実際に見るとかなり小さい。
普通のゴブリンと同じくらいかそれより少し小さいくらいに見える。
小さいってことは動きが俊敏な可能性がある。
それに両手両足にはかなり鋭い爪を持っている。
武器は持っているように見えないけど、魔法による遠距離攻撃もあると考えた方がいいだろう。
ギャアギャアギャア――――――――――
レッドゴブリンが叫んだと思ったらものすごいスピードでこちらに向かって来て、その両手は炎を纏っている。
それに対していち早く対処したのはブルーだった。
電光迅雷で猛スピードで迫り来るレッドゴブリンを迎え撃つ。
雷を纏ったブルーは炎を纏ったレッドゴブリンの鋭い爪と激突し、数秒の鬩ぎ合いの末に弾き飛ばされた。
プルンプルンと後方へ勢いよく転がっていくブルー。
レッドゴブリンは追撃をしようと猛スピードで転がっていくブルーとの距離を詰めようとしたが、それは剣士とライトウルフに阻止された。
ブルーのHPが今の一撃でもう残り4割しかない。
剣士とライトウルフだと一撃でやられる。
万が一にもブルーがやられたら勝ち目は無さそうだな。
「ライトウルフはブルーにプチヒール。剣士は距離を取って閃撃!」
これで一先ずブルーのHPは全回復とまではいかないけど、回復した。
問題はレッドゴブリンが動きが速すぎて攻撃が当たらないってとこ。
こっちはまともに攻撃を受けるとやられる可能性が高いから積極的に距離を詰めて攻撃ができてない。
ブルーに前衛として踏ん張ってもらわないと。
「ブルー、鳴神、プチサンダー!できる限り距離を詰めて戦って。剣士とライトウルフはあまり距離を詰めすぎないように注意!基本は閃撃とプチシャインで遠距離から攻撃」
鳴神とプチサンダーを囮にブルーがレッドゴブリンとの距離を詰めることに成功する。
そこからはブルーとレッドゴブリンによるインファイトが行われた。
ブルーは通常攻撃ではまともにダメージが与えられない分、やや不利な攻防だけど、そこは剣士とライトウルフによる援護でどうにか持ち堪えている。
レッドゴブリンはやっぱり火属性に耐性でもあるのかな。
今、ブルーがカウンターでプロミネンスアタックを決めたけど、大したダメージにはなっていない。
このままじゃジリ貧。何とか剣士の攻撃を当てることができたらデバフや状態異常を付与できるのに…。
その為には確実に剣士の攻撃を当てられる状況を作り出す必要がある。
まずはレッドゴブリンの目を奪う。
「ブルー、フレイムフォース!」
至近距離でブルーと戦っていたレッドゴブリンは咄嗟に一歩踏みとどまったが、遅かった。
ブルーを起点として周囲に炎が噴出する。
踏みとどまったとはいえ、レッドゴブリンはフレイムフォースに飲み込まれる。
まだレッドゴブリンは剣士の攻撃に闇属性が付与されていることを知らない。
だからそこまで警戒はしていないと思うけど、ここは念には念を!
「ライトウルフ、シャインダイブでレッドゴブリンに突撃!」
レッドゴブリンの側面から光り輝くライトウルフが突撃する。
今、敢えてシャインダイブを選択した。
シャインダイブならライトウルフが光り輝くからだ。
その光が強ければ強いほどレッドゴブリンの意識はそこにいって、剣士の存在が頭から消える。
剣士とブルーは俺が何も指示を出さなくても自分がすべきことを理解しているようだ。
剣士はブルーとライトウルフが作った好機を逃すことなく、距離を取って閃撃を放つ。
そして、閃撃の軌道からやや逸れた場所に移動しつつ距離を詰めて風薙ぎでの攻撃も試みる。
万が一にも閃撃が防がれてもその軌道上に剣士はいない。
レッドゴブリンの反撃を受けて、それが直撃する可能性は減る。
ブルーはフレイムフォースでレッドゴブリンの視界を一瞬でも奪った後はライトウルフを守るためにディバインシールドをタイミングを見計らって展開する。
ちょうどレッドゴブリンがライトウルフの攻撃に気付いて迎撃しようと両手に炎を纏わせて、腕を振り下ろすが、ほんの一瞬だけ見えない壁に阻まれる。
ディバインシールドで威力が落ちた一撃はライトウルフのシャインダイブと相殺となった。
その反動で上半身がやや後方に仰け反った状態に陥ったレッドゴブリンだが、視界の隅に閃撃を捉える。
レッドゴブリンは流れに身を任せてそのまま後方に背中から倒れるが、地面に背中が着く前に両手で地面にしっかりと触れて、バク転をして閃撃を見事回避してみせた。
これだけの連続攻撃を見事に回避したことで安堵したのか剣士の更なる追撃には反応できなかった。
気付いた時には既に剣士の風薙ぎによって斬られていた。
この時、剣士はたまたまレッドゴブリンの死角となる場所から攻撃をすることができた。
閃撃の軌道上から逸れて攻撃を仕掛けたのは剣士だが、レッドゴブリンの死角から攻撃しようとは考えていなかった。
レッドゴブリンが偶然、バク転で閃撃を回避し、偶然にも回避した先の場所からは剣士がいる場所が死角となって見えなかっただけ。
運によるところが大きいが、それでも剣士の攻撃が決まってレッドゴブリンにデバフや状態異常を付与することに成功した。
これで多少ではあるが、戦局が傾いた。




