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第37話 本気で


 私の繰り出す刀と、グウェナエルの振るう剣が、激しくぶつかり合って鋭い衝突音と無数の火花を散らす。


 最初は勢いで押してはいたものの……一度、彼の剣と衝突すれば、私の刀が簡単に弾き飛ばされてしまう。それは、明確な『Lys』の差だろう。ワスレスの私の力が、遥かに格上な彼の力に敵わないのは道理だ。


 当初こそ、動揺の色を浮かべていたグウェナエルだったが、その事実に気付くと、次第に攻撃の勢いが増してくる。


「なんだ、所詮は勢いだけか?」

「……ッ!」

「言っただろう、浅ましい考えだと。その程度で、この私に挑もうとしたこと……存分に後悔させてくれるッ!!」

「ぐッ、く……ッ…………すぅっ、ふぅー……っ」


 グウェナエルの力に弾き飛ばされて距離を取らされた私は、一度大きく呼吸をして、心と体勢を整える。


 あの時のことを……彼に正体を露見させられて、消えそうになった時のことを思い出せ……あれこそが……あの屈辱と恐怖こそが、彼に反逆する唯一の鍵だ。


「……シッ……!」


 そして……“準備は整った”。


 私は、刀を引いた状態で、グウェナエルへと突進。射程距離にまで間を狭めつつ、渾身の力で刀を振るう。


 彼は先程と同じようにそれを弾き飛ばそうと剣を振り返すが……衝突の瞬間、次は、彼の剣の方が力負けして大きく弾き飛ばされた。


「ぐッ、ぅ……ッ!?なんッ、だ……ッ!?」


 そこで、恐らく彼も気付いただろう。


 私の両手両足が、まるで闇に染まったかのような、“半透明の紫色”に変色していたことを。


 人の力が数値に依存すると考えるならば、数値が上がれば上がるほどに力は強くなる。だが、その力を示す数値が0ならば、その者に力というモノは存在しないのか……その答えは、否だ。


 死神はこう言った────0とは、即ち『無限』とも取れるのではないか、と。


 無限を抱えた者の力は、数値に依存されず、本人にすら意識出来ないほどの膨大な力を発揮することが出来る。



 それが、この───『ボウレイカ』だ。



 ただ、これを維持するにはとてつもない集中力を要する為、長々と保つことは出来ないが……これを維持している間ならば、私は、『無限』という概念を持った力を振るい続けることが出来る。これこそが……死神が見出だしてくれた、『ワスレス』の真意だったのだ。


「私も、こう言いました……この手で打ち倒す、と。この太刀筋は、全てその為に……あなたを倒す為だけに、全身全霊で、一撃一撃を振るっている……!」

「な、に……ッ?」


 今、私はグウェナエルを相手に優位に立っている。これは、己の命が懸かった戦いだ。自身が相手の凶刃に殺られる前に、相手を倒すのが普通なのだろう。


 だが……彼の剣を弾き飛ばす度に、私の頭の中に猛烈な違和感が過る。


 違う、と……これではない、と……私が倒したいのは、今の彼ではない、と……。


「あなたも、そうでしょう……ッ!?決して口先だけじゃない筈です……ッ!私はッ、あなたと戦いに来た……ッ!だったらッ、全てを尽くして戦って下さい……ッ!!あなたはッ……グウェナエル=ジードはッ……この程度なんかじゃないでしょうッ!!」

「……ッ!」


 本当の意味で、驚愕した様子で目を見開いたグウェナエルの剣を、その手から弾き飛ばし……。


 がら空きになった彼の顔面へ────拳を叩き込むのだった。


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