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訪問者

「おーい! 誰か開けてくれのぜ!!」


 紅魔館の赤い門を叩く音が聞こえる。その叩く音は、時間を過ぎるごとに大きくなり、ついには殴りつけるほどになった。


「聞いてんのか!? 早く開けろって言ってんだろ!!」


 やかましい。そう思って、私は門を開けた。


 赤い門が、ゆっくりと慎重に開く。地面の芝生を削って、半円の後が二個もできた。


 目の前に、美鈴が転がっていて、戦いに負けたのがうかがえる。強い魔法に被弾したのか、体から煙が上がっていた。


 門を開けると、目の前には唇を噛み締めた霧雨魔理沙の姿が。パチュリー様とコアの二人に追い返されてから、ずっとここにいたのだろうか……


「いったい何の用? 魔理沙」


「何の用? じゃないんのぜ。赤塚はどこ行ったんだ?」


「知らないわよ、あんたに関係ないでしょ?」


「関係あるのぜ! 私は赤塚の保護者なのぜ!!」


 魔理沙はそう意気込んで拳を握っていた。自分の白と黒の魔女ドレスをぎゅっと強く握りこむ。指先が白くなって力がこもっているのがわかった。


「……なるほどね。あの男は、あなたが面倒見てたってわけ?」


「やっぱり、知ってるんじゃないか! 今どこにいるのぜ!?」


「もちろん、この中よ。でも、彼には帰る気はないみたいだけど」


「はぁ!? どういう意味だぜ?」


「言葉通りよ」


「ふざけないでくれだぜ!!」


 魔理沙は帽子を深くかぶって睨みつけていた。彼女がここまで強い目をするのはめずらしい。例えるなら、異変を解決るすときのクライマックスような、それくらい強いものだ。


「それはこっちのセリフよ……お嬢様に取り入るような真似をして……彼が自らこの館に泊まらせてくれって言ったのよ」


「そ、そんなわけないのぜ……!」


「ふーん、心当たりがありそうな濁し方ね」


「くぅ……」


 魔理沙の強い目は伏せ目がちになった。弱ったように急にしょぼくれ始める。


「どうしたら返してくれるのぜ?」


「自分で言いなさいよ、あと、本を借りたいならちゃんと私を通すこと」


「わ、わかったのぜ……会わせて欲しいのぜ」


「……仕方ないわね。こっちよ」


 魔理沙に彼を返すというのは、お嬢様の意思に反するだろう。だが、魔理沙も人格ある人間だ。彼がどれほど色目を使ったとしても、色恋沙汰で騒ぎを起こすようなことはないと思う。


 それに、部外者を屋敷に泊めないにこしたことはない。私の手間も省けるといものだ。





「うふふ、すごいわね、あなた。話していてまったく飽きないわ」


「それほどではありませんよ、レミリアさん」


「また敬語使ってる……」


「さすがにタメ口を咲夜さんに聞かれたらぶちのめされますよ、ははは」


「うー、まあ確かにそうよね。それじゃ、私があなたを好きみたいだし……」


「え? 違うんですか?」


「うー! 違うわよ! 調子に乗らないで」


「そうですか、失礼しました、『レミィ』お嬢様」


「……!? チョット待って、なんでその呼び方を知っているの? パチェだけのはずなのに……」


「ははは、マインドハックって知ってますか……これはその手法の一つですね」


「まったく知らないわ。まだまだ、あなたには飽きそうにないわね」



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