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第7話 最高の職場

 ……いつもの朝。でも、違う朝。

 エザキ君と話した次の日。私はとうとう冒険者として出勤する。


「スーツで来ちゃったけどいいのかな?」


 冒険者ギルドのある都庁にやって来た。驚くことに自宅まで車がお迎えに来ました。レア度5の冒険者は特別らしい。流石は日当100万の私。


「おはようございますサカキ様」


「ミズキさん。おはようございます」


 ミズキさんが深くお辞儀をして迎えてくれる。畏まり過ぎてなんだか怖い。


「サカキ様。こちらに」


「あ、はい」


 ミズキさんに案内されて都庁に中に。この間の銀行のような受付ではなくて、鉄臭い場所に案内される。鍛冶屋のような施設?


「ここは?」


「冒険者の武器や防具を作っている場所です。鍛冶屋のような生産職を得た冒険者が製作所として使っています」


 本格的な鍛冶場が作られてる。まるで中世ヨーロッパの施設ね。壁との違うがハッキリしててなんだか凄い。


「ゲートの先では中世ヨーロッパの装備がダメージを稼ぎやすいのです。銃などでは石を投げたのと同じ程度のダメージに留まってしまいます」


「そうなんですか……」


 ルールが厳密に決められているのね。


「なんで私もここに?」


 生産職でもない私がなんでここに案内されたんだろう。そう思っていると鉄の剣を持たされる。


「これらをカード化してほしいのです」


「え? カードにですか?」


 鉄の剣を受け取って早速カード化して見せる。すると彼女はそれを受け取って更にもう一本の鉄の剣を手渡してくる。


「えっと?」


「カード化して保存する。または売る。これをサカキさんにやってほしいのです」


 ミズキさんの言葉に首を傾げる。それって店員さんじゃない?


「えっと。ゲートの中には行けないんですか?」


「そうですね。週の4日程はこちらに来てほしいのですが。行きたいですか?」


 ミズキさんの言葉に私は大きく頷く。


「ミズキさん。Dモンカードって知ってますか?」


「あ、はい」


「リミンっていうモンスターが居て。それが推しモンスターなんです。それにいつか会えると思ってるので!」


「あ、そうなんですね……」


 Dモンへの熱をミズキさんに圧として見せてみる。彼女は後ずさりながらも聞いてくれる。


「リミンですか。報告では聞いたことのないモンスターですね。まだ見つかっていないのかも」


「そうなんですか……」


「ではサカキさんはゲートの中へ行きたいんですね。冒険志望ということで?」


「はい。サポーターになってくれる人も見つけたので」


「ああ、そうなんですね。ではそのように伝えておきますね」


 ミズキさんは臨機応変に対応してくれる。迷惑になっていないかな?


「あの、ダメですかね?」


「いえいえ。安心してください。大丈夫ですよ。冒険者に希望通りに進めていきます。別の冒険がダメというわけではないのです。なんでかというとレベルというものもあるので」


「レベルですか?」


「はい。スキルのによってはレベルでまったく別の性質に派生するものもあるので。例えば先ほども言った鍛冶職です」

 

 ミズキさんはそう言って鍛冶場のハンマーを手に持つ。


「鍛冶職のスキルはもちろん武器防具を作るようなスキルです。ですが、レベルが上がるにつれて火を纏わせることができるようになるのです」


「火を纏わせる?」


「そうです。手に持つ武器に火を、属性をつけることができるものです。戦闘職に使うこともできることを生産職が覚えるわけですね」


 なるほど、私みたいな補助職のようなスキルでも、レベルが上がることでまったく別のスキルに派生することがあるってわけね。


「この際ですからサカキさんのスキルの詳細を聞いてもよろしいですか?」


「え? あ、はい。カード化出来て、更に合成ができます。同じカードを強くするものです」


 ミズキさんに言われて素直に答える。すると彼女は驚いて鉄の剣のカードを見つめる。


「合成? 強くする? それってどういった?」


「えっと、ゴブリンのこん棒を+10にしていたんです。攻撃力が10倍、つまりは+を掛け算すると言った感じですね」


「攻撃力を倍がけ出来る!?」


 ミズキさんが固まる。私なにか可笑しなことを言ったかな?


「大丈夫ですか?」


「はっ!? 驚き過ぎて気を失っていました!」


 ミズキさんが我に返る。私の両手を掴むと目を輝かせる。


「素晴らしいですサカキさん。あなたは間違いなくレア度5の冒険者。いや! それ以上の冒険者です!」


「は、はぁ?」


 ミズキさんの誉め言葉が理解できなくて変な声が出る。彼女は二枚の鉄の剣のカードを見つめる。


「この二枚を合成できますか?」


「わかりました」


 言われるまま鉄の剣を受け取る。


ーーーーー


【制作された鉄の剣】


【攻撃力20】


【防御力5】


ーーーーー


 これを合成。


ーーーーー


【制作された鉄の剣を複数確認しました】


【合成しますか?】


【YES/NO】


ーーーーー


 制作された鉄の剣+1が生まれる。


ーーーーー


【制作された鉄の剣+1】


【攻撃力30】


【防御力8】


ーーーーー


 ステータスを見ると+1は1.5倍と言った感じになってる。


「す……凄い……」


 ミズキさんは輝く瞳で見つめてくる。まだゴブリンのこん棒の方が強いんだけどな~。


「どうりで……。オークを倒したと聞いたのでどうやったのかと思ったんです。こういう原理だったんですね。ゴブリンのこん棒を見せてもらってもいいですか?」


「え? あ、はい。一応持ってきておいたんです」

 

 カード化したこん棒を見せる。更に嬉しそうに眺めるミズキさん。それだけ私のスキルは凄いんだ。なんだか嬉しい。


「サカキさん! とりあえず、ここにある武器や防具をすべて+3にしてください!」


「こ、これ全部ですか!?」


 ミズキさんは輝く瞳のまま、鍛冶場の奥にあった倉庫に案内してきて嬉しそうに声を上げる。天井にまでうずたかく積まれた木箱。そのすべてに武器や防具が入っている。

 前言撤回! 嬉しくなんてありません。こんなに仕事を当てられたらたまったものじゃないわ! 


「あの、ミズキさん。これは……」


「今日の日当は300万円くらいにしておきますね。明日、数を調べて1000万まで交渉してみます。もしかしたらそれ以上いけるかも~」


「任せてください!」


 一般市民の私。札束で叩かれたので武器や防具を強くしていきます。お金には勝てません。

 せっせと無言で武器や防具をプラスしていきます。

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