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第12話 サボりダメ絶対

「へ~、こうやって作るんですね~。剣って」


「ん? ああ、すまないなサカキ。作るのが遅くて」


 倉庫のすべての武器をプラス3にし終える。暇になってしまったのでドモンさんの所にやって来た。

 鉄の塊を火にくべて真っ赤になった鉄を叩いてく。汗が鉄に触れてジュッと音を立てる。厳しい仕事、私はやりたくないな~。


「俺は鍛冶師の職業を持ってるからな。火にくべた鉄を数回叩くと指定した武器や防具に形が変わっていくんだ。ほら、面白いだろ?」


「凄~い」


 ドモンさんは得意げに見せてくる。本当に数回叩くだけで形が出来上がってく。スキルってホントに不思議。


「ほら、出来上がった。持ってってくれ」


「あ、は~い。よいしょ」


 倉庫にわざわざ運んでプラスをつける。出来るだけ人目を避けての作業。時間かかるけど仕方ない。私はレア度5の冒険者なんだから。自分で言うと少し安っぽく思えるな~。


「はぁ~、それにしても暇ね~……。ここの自動販売機をコンプリートしちゃうわ」


 ドモンさんの作業を見ているのは面白いんだけど、彼にプレッシャーをかけてしまっていると思うといつまでもいられない。なのでミズキさんと休んだ自動販売機ので時間を潰す。


「これで日当300万以上が確定……。凄すぎるんだけど」

 

 ムフフと缶ジュースの淵を噛む。ほぼ働いていないのにお金がガッポガッポ。笑いが止まりません。


「ん? あれ? 姉ちゃんはあの時の?」


「え? あ~、ゲートに巻き込まれた時の?」


 ムフフと笑みをこぼしているとおじさんの集団が私に気がついて声をかけてくる。よく見ると女性も3人程いる。あの時に巻き込まれた人達かな。


「あの時すぐに連れて行かれちまっただろ? 礼も言えなくて気持ち悪かったんだ。あの時一緒に戦ったエザキ君も無事なのか?」


「はい。彼も無事で。話したんです。って一緒に居るんじゃないんですね?」


 巻き込まれた人達なら彼も居てもおかしくない。試験があると言っていたから彼は試験に出てるのかな?


「ああ、それが気になってみんなと話してたんだよ。それで大丈夫なのか?」


「え? 何がですか?」


「いや、無理やり働かされてるんじゃないのか? あんまりいい話は聞かないからな」


「ああ、冒険者のことですね」


 おじさん達は怪訝な表情で耳打ちしてくる。政府に絡むとあまりいい話はない。私もそう思っていた。

 だけど、入って見れば実入りのいい話ばかり。噂は噂よね。


「私も不安だったんですけどね。噂みたいなことにはならなかったですよ」


「そうか! そりゃよかった。俺達を助けたせいで酷い目にあわされていたんじゃ夢見が悪いからな~」


 おじさん達は私の答えを聞いて安心してくれる。みんな心配してくれてたんだ。なんだか嬉しいな。

 冒険者になってからいいことばかり起きてる。人に心配されたり、必要とされるって大事なんだな~。


「それで皆さんはどうして揃って?」


「ん? ああ、それがな。あまり言いふらさないでくださいって言われてな」


「え? 言いふらすって?」


「姉ちゃんのことだよ。スキルっていうのか? それがどういったものなのかとかを言わないようにって」


 おじさん達に口止めをしていたのね。それほど大変な能力なんだよね。なんだか急に怖くなってきた。


「安心しろよ。命の恩人のことを言いふらすことなないぜ。一緒に戦った仲だしな」


「ありがとうございます」


 おじさん達は満面の笑みでそう言ってくれる。私は深くお辞儀をして感謝を伝える。

 おじさん達はすぐに出口へと向かう。


「どう? 感想は?」


「え? アカザワさん? 感想って?」


 いつの間にかアカザワさんが背後に立っていた。そして告げてくる言葉に首を傾げた。


「君のおかげで生き残った人達だよ。君が居なかったら。ここにいない人達だ」


「え!? ……そうか。私が……」


 私が居なかったらエザキ君のようにオークに傷つけられた人達。その前にゴブリンにやられていたかもしれないんだ。

 私が救った命……。なんだろう……。嬉しい。


「嬉しいです」


「そうだよね。嬉しいよね」


「はい。でも、もっとうまくやれたんじゃないかって不安でした。でも、確かにあの人達を救えたんですよね」


 今日、初めて実感した。私に人を救える力が備わったんだ。

 あの人たちは私が救った。それがこんなにも嬉しいことだなんて、思わなかったな~。


「人は人を救うことで救われる」


「はい。なんとなくわかります」


「自分はここにいていいんだと思えてくる」


「はい……」


「うんうん……」


 アカザワさんの言葉を肯定すると彼は大きく何度も頷く。彼の瞳にはうっすらと涙が浮かぶ。


「ん~、歳を取ると涙もろくなっちゃう……。Dモンカードでもやろうか」


「いや、仕事中なので」


「え~。ドモン君を待ってるんでしょ。サカキ君はすぐに終わっちゃうんだから少しサボっても」


「ダメです。仮にも高給取りなので、流石にサボれません」


 アカザワさんとDモンカードね~。ガチ勢とやりたくないし、流石にサボれない。

 ミズキさんが怖い目で見てきているしね。


「ギルドマスタ~~~~」


「ひぃ!? ミズキ君! いつから?」


「最初からです……。まったく、いいこと言ってると思ったらすぐにそれなんですから。はい、書類の山です」


「ええ~。それはミズキ君がやってよ~」


 アカザワさんはサボるのが好きみたい。ミズキさんに呆れられてる。

 Dモンカード好きがみんなこんなだと思われたら大変ね。ミズキさんの前ではあまりDモンカードの話をしない方がいいかもしれない。


「サカキさん!」


 ミズキさんに耳を引っ張られて消えるアカザワさんを見送っていると、背後から声をかけられる。おじさん達が去って行ってエレベーターからエザキ君が嬉しそうに駆け寄ってくる。

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