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転生して未来を変えろ  作者: ゲンタ


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村岡達夫の違和感

2018年1月――


村岡達夫は、町工場で職人見習いとして働いている。

工場の職人たちの世界は厳しい。

その環境の中で仕事を覚えるために悪戦苦闘する日々を送っている。


職人たちに揉まれる中で、これまでの生き方や考え方がいかに甘かったかを痛感している。


そういった日々を繰り返す中で、村岡家に対して抱いていた恨みなど、どうでもよくなってきていた。


それよりも、早く仕事を覚えて一人前になりたいという思いのほうが強かった。

ふとした瞬間、自分が少し成長していることに気づく。

そんな日々が、どこか楽しかった。


そんな中、村岡達夫の両親が仮出所し、2人揃って達夫の住むアパートを訪ねてきた。

「達夫! 世話になるわよ!」


獄中の両親とは手紙でやり取りをしていたため、今日訪ねてくることも知っていたし、会えるのを心から楽しみにしていた。


しかし、両親の顔を見た瞬間、なぜだかわからないが、その期待や喜びの感情がスーッと冷めていくのを感じた。


達夫が用意していた酒を3人で飲みながら、久しぶりの会話が弾むかと思いきや、話題は段々と、裕太叔父さんへの悪口に変わっていった。


「あの時、裕太の奴が金を貸してくれていれば、私たちが刑務所なんか入ることもなかったのよ! まったく酷い人間だわ。亮太さん、あなたもそう思うでしょ?」


「その通りだ! 明美の言うことは正しい。兄のくせに冷たすぎる。あんな酷い奴はいない!」


両親の言葉を聞きながら、達夫はため息をつきたくなった。

まったく、自分たちの都合のいいことしか考えられない人たちだ……そう感じざるを得なかった。


達夫は、裕太叔父さんやその家族のことなど、正直どうでもよかった。

せっかく再会した両親とは、これまでの楽しかった思い出や、これからの未来について話したかったのだ。


しかし、両親に会いたいと思っていた気持ちは、彼らの言葉を聞くたびにどんどん冷めていった。

そういえば、自分にとって両親との楽しい思い出なんて本当にあっただろうか?

そんなことを、ふと考えてしまった。


「父さんたちは、これから先どうするの?」と達夫は静かに尋ねた。


「どうするのって……あんたが私たちを養わないでどうするの! 私たちを追い出すつもりなの?」と明美がすぐに言い返してきた。


達夫はため息をつきながら答えた。

「いや、ここに住んでもらっていいけど、俺は職人の見習いで、大した給料はもらってない。かなり苦しい生活になるよ」


すると明美は呆れたように声を上げた。

「もっと給料のいい仕事を探しなさいよ! まったく、何をやってるの? まあ仕方がないわね。亮太さん、裕太の奴にお金を借りてきてよ!」


父親も頷きながら賛同する。

「そうだな。兄なんだから何とかしてくれるだろう。明日にでも裕太の家に行ってみよう」


そのやり取りを聞きながら、達夫はまた、心の中で冷たい何かが広がるのを感じていた。


翌日、夫婦は裕太のかつての自宅へ向かった。

しかし、玄関の表札を見ると、そこには見知らぬ名前が掲げられていた。


「引っ越しているわね……」と明美が少し戸惑った声を漏らす。

実は、村岡家も坂下家も、秋葉原のビルの隣に新築したビルへ引っ越していたのだ。


「どうする? 勤め先の秋葉原のビルに行ってみる?」と明美が提案し、亮太は頷いて答えた。


「そうしよう。直接行けば話が早いだろう」


2人はそのまま秋葉原へ向かうことにした。


裕太さんは、A製薬とのAI開発を継続していた。

A製薬も、開発したAIシステムの有効性を実感し、その応用範囲を広げるためにさまざまな方法を模索していた。さらに、システムの深掘りや改良も進めている。


裕太さんは、このプロジェクトに対して深い責任感を持ち、日々その進展に尽力していた。


秋葉原ビルの未来技術研究所は、業務の性格上、誰でも簡単に入れるようにはしていない。

会社に立ち入るには、事前に連絡を取り、美月さんの許可を得なければならない。

まあ、それは当然というか、普通の企業なら当たり前のことだろう。


夫婦は秋葉原ビルの前まで来たが、やはり中に入ることはできなかった。

さらに、ビルの下層階にはすべてSS警備が入っており、その厳重な警備体制から、簡単に入れる雰囲気ではなかった。


SS警備に出入りする猛者たちをちらりと見て、夫婦はこれ以上進むのは無理だと判断し、結局、達夫のアパートに戻ることにした。


「あれは無理ね。どうしようかしら?」


「諦めるしかないな。達夫が帰ってくるまで酒でも飲むか。押し入れに酒が隠してあったぞ」


***


そのまま、達夫のアパートに戻る。

亮太は押し入れを開け、隠してあった酒瓶を勝手に取り出すのだった。


「そうしましょう。そんなに頑張る必要もないわよね。達夫に養ってもらえばいいし、生活の心配もしないでいいしね。考えてみたら楽でいいわね。とにかく今日は疲れたわ」


夜になり、2人でいい気分になっているところに達夫が帰って来る。

2人が自分用に隠してあった酒を楽しそうに飲んでいる姿を見て、この先の生活が心配になってくる。


この先、この2人をずっと面倒見ていかないといけないのかな……。

給料が少ないから生活が苦しいと伝えているのに、両親はまったくその現実を理解しようとせず、自分に100%頼ろうとしている。


どうすればいいのだろう?


「達夫、何か食べるものないの」


「これを食べたら」


コンビニで買った自分用の弁当をそのまま渡す。


「これだけなの」


達夫は何も言う気がせず、そのまま黙って寝た。


***


翌朝――


「父さんたち、働かないの? この先、俺の稼ぎだけでは無理だよ」


「前科者を雇う会社なんかないわよ」


「じゃあ、どうするんだよ」


「どうしようもないわよ。あなたは私たちの子供なのだから、あなたがなんとかしなさいよ」


「そういう考えなら、もうどこかに行ってくれないかな。自分一人で生きていくだけで精一杯なんだよ。そもそも放火とかしなければ、こんなことにはなってないだろ」


「あなた、どうしようもない奴ね。もう子供でも何でもないわ。あなたが帰ってくるまでに出ていくわよ!」

両親の無理解や依存が、達夫の胸に深い不安と疑問を呼び起こすばかりだった。


達夫が出ていった後、2人は達夫の預金通帳を探し始める。

「あったわ。残高は少ないけど30万円ぐらいあるわね。私たちはお金がない。達夫はこれから稼げばいい。これを持って出ていきましょうよ」


「そうだな。良かった、良かった」




ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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