田沼の逆襲
田沼が裏社会部隊のボスに電話をしている。
「プランBだ。強引な方法で進めてくれ! 家族の誰かが怪我でもすれば、天才児君たちも、言うことをよく聞く良い子になるはずだ」
「プランBは、俺たちにとっても危険な橋を渡ることになるプランだ。報酬はいつもの3倍だぞ!」
「払ってやる。その代わり、必ず成功させてくれ」
田沼からの電話を切ると、裏社会部隊のボスが部下に命令する。
「ロケットランチャーを持った襲撃犯も撃退したと噂になっている、あの秋葉原ビルは手の出しようがないが、それ以外の2家族ならどうにかなるだろう。まず村岡夫婦を脅かしてやれ。親は死んだって構わないが、ガキは生かしておけ!」
「村岡の家に火をつけますか?」
「ボヤが起これば、奴らもビビるはずだ。ボヤが大火事になっても構わない。村岡の弟夫婦にやらせろ。それでもダメなら、次は坂下の家も燃やせ!」
「あの弟夫婦はどうしようもないクズだ。兄夫婦からお金をだまし取ろうとしていたぐらいだからな。借金を少なくしてやると言えば、喜んで火をつけるだろう!」
***
2011年11月末――
調査部から、F社の件が一件落着したという連絡を受けて、村岡・坂下家族も自宅で、元通りの平和な生活を開始する。
村岡家が自宅に戻ってから3日が過ぎた。
自分たちの家に戻り、久々にリラックスした毎日を送っている。
家族の笑顔が戻ってきた。
両親が眠りについた深夜、優子はまだパソコンでプログラムを作成していた。
プログラムを作ることに熱中していたが、家の中で煙の匂いがしていることに気付いた。
急いで両親の部屋に走り、慌てて2人を起こす。
3人で玄関に向かって急ぐ。
玄関に到着すると、玄関の外が赤い色になっている。
それならばと、リビングの大きな窓を開けて外に出ようとすると、弟夫婦がガソリンを撒いているのを見つける。
「おまえら! 何をやっている!」
お父さんが怒鳴ると、弟夫婦はガソリンを放り出して逃げる。
3人はリビングの大きな窓から庭に飛び出る。
玄関に放火された火が、大きくなっていく。
気付かないで寝ていれば、家族全員が焼け死んでいるところだ!
裕太さんが119番と110番に、恵さんが調査部に電話している。
すぐに消防車が来るが、玄関の火はどんどん大きくなる。
ガソリンを撒いていたからな。
幸い、手際のいい消火作業で、玄関周りが燃えただけで鎮火できた。
しかし、高圧放水で家の中は破損し、水浸しだ。
家の中を見ると、泣きたくなるような酷い状況になっている。
しかも、放火の犯人は弟夫婦なのだ。
駆けつけた警官に、弟夫婦が放火したことを告げる。
警察が無線で弟夫婦を手配している。
弟が放火犯なんて恥だ。
しかし、家族を殺そうとしたんだ、なかったことにはしない!
少し遅れて、調査部とSS警備が駆けつけてくる。
裕太さんに対して、警官と消防隊との事情聴取が続いている。
裕太さんが説明している後ろで、恵さんと優子は泣いている。
自宅が燃やされたのだ。逃げ遅れていれば死んでいたのだ。
怖い気持ちと悔しい気持ちで、感情を抑えられないはずだ。
家は玄関周りが黒く焼け焦げている。
野次馬も集まって来始めた。
家の建て替えまでは必要ないが、元通り住めるようになるには、かなり大掛かりな修理が必要な状況だ。
幸運なことに、隣の家には火災の影響はなかったみたいだ。
明日もう一度、警察から聴取されるみたいだが、取り敢えず家族は解放される。
自宅は玄関が燃えてしまっており、誰でも家の中に出入りできる状態になっている。
自宅に戻り、通帳や印鑑類、盗られては困るもの、着替えなどを家族でキャリーバッグに詰める。
泣きながらの作業だ。悔し泣きだ……。親戚が放火なんて……!
SS警備が、ブルーシートで簡易のバリケードを玄関に作ってくれている。
今日から交代で自宅を警備してくれるそうだ。
警察に秋葉原のビルに移動すると告げて、調査部とSS警備とともに秋葉原ビルに移動する。
***
秋葉原ビルには、連絡を受けた坂下家族も来ている。
裕太さんが調査部に、放火された時の状況を詳細に説明する。
全員が怒っている。
野口が全員に頭を下げる。
「こんなことになって申し訳ありません。放火は奴らが弟夫婦にやらせたことに間違いありません。しかし、やれと言われて実の兄の家族を焼き殺そうとするなんて……」
「この落とし前は、田沼にきっちり取らせます。いまから調査部に戻って戦う準備をします」
調査部の人たちが険しい表情で会社に戻って行った。
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