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転生して未来を変えろ  作者: ゲンタ


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一件落着できたのか?

大失敗だ! 大恥だろうが!

サーバーを復旧させる段階で、感染ルートまでも丸見えになってしまうじゃないか?


感染の出どころが俺だなんて……くそ、くそ、くそ!

思わず机を拳で叩き、額に手を当てる。頭が真っ白になるほど腹が立つ。


とりあえず、あの大馬鹿ハッカー社員は即刻クビだ。

いや待て、余計なことをペラペラ喋る可能性があるから、奴らに始末させた方がいいのか――そんな考えが頭をよぎる自分に、さらに自己嫌悪が湧く。


それと、「ウイルスの感染源は社長のパソコンでした」なんて情報は、絶対に表に出させてはならない。


手早くどこかの信頼できるセキュリティ会社に秘密裏に依頼して、復旧作業をやらせるしかないだろう。


社員にも徹底して口外禁止を命じるべきだ。

「社内がこんな状況だ」という話は一切漏らすなと釘を刺し、仕事は—パソコンが使えないなら気合でカバーしろ、くらいの勢いで指示しておくしかない。


***


くそ、くそ、くそ!

もう2社もセキュリティシステム会社に復旧を任せているのに、なぜ直らないんだ!


残るはKSセキュリティだが、あそこは鈴森の息がかかった会社じゃないか……。

そんなのに頼むなんて、白旗を上げたようなものだ。


だが、このままでは会社そのものが潰れてしまう。

(間違いない、これは未来技術研究所のガキどもの仕業だ! よくもやってくれたな。覚えていろよ……!)


歯ぎしりしながらも、背に腹は代えられないと自分に言い聞かせる。

結局、頼みたくなかったKSセキュリティにサーバーと、全社員のパソコンの復旧を依頼するしかない。


苛立ちを隠そうともせず、俺はネットワーク担当者を呼びつけ、

「KSセキュリティに連絡しろ!」と怒鳴りつけて指示を出した。


一方で、KSセキュリティはF社から依頼が入った時点で、すぐにK社調査部へ報告するよう鈴森会長から指示を受けていた。


調査部の野口は、F社から仕事依頼が来たと知るや否や、即座に鈴森会長へ連絡を入れる。


そして、事前に打ち合わせていたシナリオで交渉を進めてよいか確認を取り、会長の了承を得た上で、田沼社長との直接交渉に臨むこととなった。


***


野口の眼の前に田沼社長がいる。


「F社とK社は、過去にいろいろ因縁があり、本来ならF社の仕事依頼は、受けたくありませんが、ある条件を飲んでいただけるなら受けてもいいですが。どうしますか?」


「俺の会社にウイルスを撒き散らしておいて、そのセリフはなんだ!」

田沼は恫喝から入る。


「私どもが関係したという証拠はあるのですか? 証拠もなしに随分と失礼な話をされますね。そもそも、なぜ我々のウイルスだとおっしゃられているのですか? 何か心当たりがあるからですか? 帰れということでしたら、私たちは引き上げますよ」


相手の困った顔を見て、野口は笑いそうになるのをぐっと我慢する。

田沼の顔が引き攣っている。額の血管が切れそうになっている。


ハッカー社員に未来技術研究所をハッキングさせましたとは、絶対に言えない!

どんな条件を付けられても、K社の言うことを聞くしか選択肢はないのか。


「待て、帰るな! ある条件とはなんだ」


「今後、K社にも、未来技術研究所にも手を出さないという念書を作成してきました。サインをしていただけますか?」

「……それと、KSセキュリティへの依頼費用も少々割高になっております。いろいろな会社がネットワークを触って、状況が複雑になっていると思いますので……」


「費用はいくらでもいい。念書を見せろ」


「2社とも、手を出した覚えなどないが……書面にはいろいろ事細かく書いてあるな。これだとお前たちの判断一つで、俺は、この法外な違約金を払うことになるじゃないか。この高額な金額はふざけてないか? いいだろう、サインしてやるよ」


後日、KSセキュリティから未来技術研究所に、F社のサーバーと社員のパソコンの復旧についての相談がくる。


俺たちはKSセキュリティに、対応ソフトと取説を渡して終わりだ。

苦労して作成したワクチンソフトだと言って、手順書とともにKSセキュリティに渡す。


未来技術研究所には、特別コンサルタント料が振り込まれる。

KSセキュリティによる復帰作業だが、実はあるコマンドを打ち込めば簡単に復旧するのだ。


しかし復旧作業にはF社の社員が立ち会うはずなので、わざと手間のかかる手順を指示している。

その分、復旧には日にちがかかると思うけど、自業自得でしょ。


今後は、念書を違えたと調査室が判断すれば、田沼個人に高額請求ができることになっているし、いくら何でもこれで、田沼の件は一件落着だろう。


そう考えた野口は、鈴森会長や匠たちに、会社乗っ取り問題が解決したことを知らせたのである。


***


田沼は社長室で苛立っている。

せっかく金のなる木を手に入れる予定だったのに!

間抜けなハッカーの奴が失敗しやがって……


それにしても……やってくれたな、あのガキども!

念書なんかあっても、弱みを握ってしまえばこっちの勝ちなんだぞ。

大人の怖い戦い方を、ガキどもに教えてやらないとな。


そういえば、奴はウイルスをお土産に持たされたと言っていたな。

きっとあの3人子供の誰かなのだろう。凄腕のハッカーもいるのか……ますます手に入れたくなった。


弱みさえ握れば、脅かして全て解決だ――と、独り呟き、ニヤリと笑う。



ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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