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転生して未来を変えろ  作者: ゲンタ


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こいつのせいで

保は、今どうしているのかな?

金集めのプレゼンテーションに開発会議、どれも彼には荷が重すぎるはずだ。

急に人が変わったように、コミュニケーションがうまくなるとは思えない。


M大の研究員たちとの開発会議はうまくいっているのだろうか?

彼が議論を誘導して、最良な方向に研究を導いているとは思えない。


最初のうちなら、康之がプレゼンを代行しても会議を仕切ってもいいだろう。

しかし、あくまでも主役は保だ。いつまでもそういうわけにはいかないはずだ。


保は、既にあるものを理解し、少しの改良を加えることには優れていると思う。

性格に由来するものだが、前例のない領域に挑む際に求められる大胆な思考や先導力は持ち合わせていない。


つまり、主役にはなれないのだ。


もちろん、M大の研究員たちからアイデアを拾い上げて、それらをまとめながら新しいAI理論を構築していくのもいいアプローチではある。

だが、ディスカッションができないから、そのアプローチも無理だろう。


匠の予想は当たっていた……AIシステムの開発は停滞していた。

前世で匠たちが研究していたAIシステムを、保が自分で開発したかのように世に示したところまでは順調だったが、その元ネタもすでに使い果たしてしまっていた。


AI開発に関するディスカッションは完全に滞り、M大の研究員たちとも顔を合わせることすらできなくなる。

現在の状況は、何かに怯え、いつも不安そうにして下を向いているだけなのだ。


康之が「何をやっている、しっかりしろよ!」と怒鳴れば怒鳴るほど、保はますます自分の殻に閉じこもってしまう。


本来であれば、コミュニケーションが苦手な部分を康之が優しくサポートするべきなのだが、彼は普段社員に対して行っているように、怒鳴りつけてプレッシャーをかけることしかしない。


やがて康之が「しっかりしろよ」と怒鳴っても、保は何の反応も示さなくなる。

ただ黙り込み、何を言われても座ったまま動かない。


クソ、こいつさえちゃんとやってくれれば、成功は目の前なのに……

こんな役に立たないやつが、なんで自分の息子なのだ……なんてついていないんだ。

相変わらず康之は、自分のことしか考えていなかった。


「お前が人に説明するのが苦手なのは分かっている。だから私が説明してやる。M大の研究員たちに配る資料と、私がそれを説明できる資料を作ってくれ! 会社を立ち上げた頃にやったようなものでいい。それならできるだろう?」


(康之としては、自分なりに最大限優しい言葉をかけたつもりだった……)


「最初の頃にお父さんに渡していた資料は、匠くんたちに教えてもらったものなんだ。僕が考えたものじゃないんだ。最初に発表した資料以外はないんだ……」


保は怯えた様子で、小さな声を絞り出すように答える。


「何を言っているんだ! こいつ! そんな大事なこと……なぜ会社を作る前に言わなかった! 黙っていたのか、このバカヤロー!」


康之の怒声が部屋に響く。

しかし保は、下を向いたまま身動き一つせず、怯えきった表情で固まっていた。


(これは、まずい……絶対にまずい状況だ……!)


私がやったことは、他人が生み出したアイデアを、自分の会社の成果として偽り、それを世間に宣伝したということになるじゃないか。

しかも、その偽りをもとに資金を集めてしまったじゃないか!


(盗用した技術による……詐欺……になるじゃないか……!)

(どうしてくれるんだ、このバカ息子が……!)


なぜ、こんな役に立たないやつが、私の子供なんだ!

なんてついていないんだ!


匠という子供は、たしか鈴森会長が特に可愛がっている子供だったはずだ。

彼が自分の作ったAIのアイデアを、私の会社が盗んで宣伝していると鈴森会長に訴えるはずだ……


F社から訴訟されるだけでは済まないかもしれない。

いや、アメリカの投資家たちからも訴訟を起こされるだろう。


(莫大な金額を請求されてしまう……!)


ただでさえ臨床試験データの偽装問題で信用を失っているのに……こんなことが表沙汰になれば、A製薬の社長への復帰など到底不可能じゃないか!


下ばかり向いて、まともにコミュニケーションも取れず、何の役にも立たないやつが、なぜ私の息子なのだ!

なんて不運なんだ。こいつのせいで、私の人生はすべて終わってしまう!


どうする? どうすればいい?

……そうだ。邪魔なやつらは消してしまえばいい。

鈴森会長に訴える前に、あの3人の子供を始末するんだ。


3人の子供が死ねば、すべて解決するじゃないか。

(死人に口なし……!)


会社のAI研究が世界から注目されて、すでに投資家から莫大な金が集まっている。

その金があれば、あんな役に立たない息子ではなく、もっと優秀なやつを雇えばいい。


世界で探せば、そんなやつはいっぱいいるはずだ。

AIシステムの開発は、そいつをリーダーにして、M大の研究員たちに任せればいい。


そして……こんな面白くもないAIの開発会社なんか、さっさと売却だ!

このビジネスの成功を実績に、A製薬の社長に返り咲けばいい。


お〜、道筋が見えてきたな。

まだ大丈夫だ。なんとかできる!


よし、金でほっぺたを引っ叩いてでも、優秀な人材を探すぞ。

急がないとダメだ! 手遅れになる。


ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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