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転生して未来を変えろ  作者: ゲンタ


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交流が広がる

前世では保が嫌がったため、ご近所さん主催のバーベキューパーティーには一度も参加しなかった。

それが、今世では彩乃ちゃんのおかげでまったく違う状況になっている。


「面白そう~! 行こう、行こう!」と、彼女に誘われて、気づけば何度もパーティーに参加している。


ご近所には、シリコンバレーの大企業の社長やS大の教授といった、すごい肩書きを持つ人々が住んでいて、その家族とも親しくなっている。

いろんな人と話していると、アメリカならではの多様性や考え方を経験する。


毎日がとても楽しい。

バーベキューパーティーに何度か参加するうちに、母さんたちもご近所付き合いに慣れてきて、ついには自宅でバーベキューパーティーを主催するようになった。


前世の俺たちは、大学と同じで近隣コミュニティにも無関心だったな!

いったい、前世では何をしていたのだろう?


大学でもご近所でも、今世では人との関わりを楽しんでいる。

優子や彩乃ちゃん、母さんたちも「このままアメリカ人になりたい」と言い出すほどだ。


日本で頑張って働いている父さんたちも、こっちに来てもらった方がいいのかな。

そういえば前世では、研究だけをやっていたな。もちろん楽しかった。

それだけに、大学にもコミュニティにも興味がなかった。


好奇心に突き動かされ、せっせとAI研究を進めた結果、歴史の修正力に抹殺されたのだとすれば、前世はなんという“残念な人生”だったのだろう。


今世では、ただ技術を追い求めるのではなく、広い視野を持って生きていこう。

どう生きればいいかはまだ分からないけれど、少なくとも前世よりは良い方向に進んでいると信じたい。


***


2009年6月――


この頃になると、学生たちや研究室との付き合いが増えただけでなく、量子コンピューターの開発スタッフやKSセキュリティ社の技術者たちとも親しくなった。


前世では、開発ミーティングの前後に少し話をする程度だった。

今世では状況が大きく変わっている。


彩乃ちゃんが社交的で、自宅のバーベキューパーティーに開発スタッフを招待するようになったからだ。


おかげで仕事の話だけではなく、日常的な出来事や過去の体験など、幅広い話題を共有できるようになった。

これは想像以上に楽しいし、人生勉強にもなっている。


さらに、彩乃ちゃんが主催するパーティーの輪は広がり、さまざまな職種や国籍、年齢の人たちが訪れてくるようになる。

そのたびに新しい視点や考え方を学ぶ機会を得られて、本当に貴重な時間となっている。


前世では、保がとにかく人とのコミュニケーションを嫌がることで、交流範囲がすごく狭くなっていたんだということに、今さらながら気付いた。


文句なく、今の人生の方が楽しい。

こうして振り返ると、ただ研究に没頭するだけの前世は、本当にもったいなかったと思う。


***


2009年8月――。


鈴森会長から一通のメールが届いた。

その内容は衝撃的だった。


康之がマサチューセッツ州で設立したAI会社が、準備期間を終えて7月から本格的に稼働を開始したという。


出資者も集まり、体制は前世とほとんど同じ。

開発リーダーは保で、M大学の複数の研究室からスタッフが参加し、AIシステムの開発に取り組んでいるそうだ。


――前世でも康之はAI会社を作っていた。だが、今回はタイミングが3年も早い。


問題は保だ。

彼が大学の研究員たちと上手くコミュニケーションを取れるとは到底思えない。

前世で失敗したことを、誰よりも理解しているのは転生した本人のはずなのに……。


自分の意志を持たず、流されるまま生きるのは危うい。

特に父親である康之に対しては、「できること」「できないこと」「やりたくないこと」をはっきり主張しなければ、また同じ轍を踏むことになるだろう。


そもそも、保は転生の際に神様から「どうしたいか」を問われたはずだ。

それなのに、なぜ過去の自分に戻る選択をしたのか。


俺なら康之の子供になるなんて、絶対にお断りだ。

きっと保は、あの時も神様に対して「はい」としか答えられなかったのだろう。


康之という人間は、自分さえ良ければ何をしても構わないと考えるタイプだ。

危険な存在であり、父親とはいえ、保も距離を置いた方がいい。


***


2009年10月――


保のAI研究が世界的に注目されているようだ。


ネット記事には「天才が開発するAIシステムは世界を救う」といったキャッチフレーズが踊り、世界中から資金が集まっているという。


おそらく康之が書かせているのだろう。

現時点では会社も順調に見えるが、この状況がいつまで続くかは分からない。


だが、注目される理由も理解できる。

保がやっているのは、俺と優子が前世で開発したAIシステムをそのまま真似たものだからだ。


保は前世で側にいただけで、実質的に開発に携わっていない。

パクリは良くないと判断するべきなのに、そこが分からないのは残念なやつだ。


もっとも、前世の研究成果をベースに数段進化している俺たちのAI研究に比べれば、パクられてる研究成果は、入門編のやつだから別にいいけどね。


ただ、自分の意思で生きられない彼を見ると、もどかしい気持ちになる。

康之の会社は「ウハウハ状態」のようだが、見せかけの繁栄に過ぎない気がする。

長続きするかどうか、冷静に見守るしかない。



ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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