セキュリティソフトの開発
小学校問題については、すでに俺という先行モデルがいるので、両親はそれほどびっくりしてはいないみたいだ。
「本当にいいの? 兄弟だからといって、匠の真似をする必要はないのよ……」と母が何度も確認している。
可愛い制服とか、着せたかったのかもしれないな。
正門前で写真を撮ったりとか。
結局、優子は俺と同じ小学校に入学することになる。
とっても1回も登校しないけどね。
自宅で課題学習をやって、出席扱いにしてもらえるのだよ。
ちなみに、自宅に送られてくる課題は、届いた当日に終わらせてしまうのだが、少し日にちを空けて、その課題を母から小学校の担任宛に郵送してもらっている。
保護者確認およびコメント欄がたくさんあるので、母には面倒をかけていると思う。
これからは2人分になるけど、よろしくお願いします。
優子は、学校なんか行かなくても、俺と同じでインターネットを使って勝手に勉強していくだろうし、高校や大学に行かなくても、俺が作る会社に就職すれば問題ない。
さて、研究でもするかな。天才優子が手伝ってくれるしね。
手始めに、セキュリティソフトの開発でもしてみるか!
セキュリティソフトには、AIを組み込むことにしよう。
2人でネットワークセキュリティに関する学術論文を読み漁りながら、まずは基本のプログラムを作っていく。
今のところ、俺が優子に学術論文の解説をしているが、そのうち解説は不要になるだろう。
優子は、何でもすぐに理解してしまうからね。
俺がセキュリティソフトの開発を楽しいと思っているように、優子も楽しんでいるようだ。
セキュリティソフトの開発は、2人にとっては遊びみたいなものかな。
やはり優子は、プログラムの才能があるみたいだ。
どんどんプログラムを完成させていく。
もっぱら俺は、理論構築を担当している。
***
2008年6月――
30億円分購入した“電池の会社”の株が10倍になり、売却して資産は240億となる。
もう会社なんか起業しなくても、好きな研究だけして過ごせるけど……
さすがに9歳にして、兄妹で引きこもりはないと思う。
それにしても、株式投資で資産を増やすのは、もう十分だな。
そろそろ「未来技術研究所」という“非公開株式会社会社”を作るか。
やはり法人があった方が何かと便利だし、9歳の子供だといろいろ制約がある。
(社長は母さんになってもらい、実質の運営は俺がやればいい……!)
さっそく会社の登記を平山弁護士にやってもらおう。
俺からの借り入れということで、未来技術研究所に50億円を融資する。
次に、証券会社に未来技術研究所の法人証券口座を作り、そこに50億円を入金する。
タイミングを見計らって、銀行株数社の信用売りでもするかな。
レバレッジは2倍にして、50億分の空売りをやるぞ……。
あとは、9月に起こるリーマン・ショック待ちだ。
10月になれば、1/3で買い戻せるはず。
これで会社の運転資金も問題なしだ。
ところで、開発していたセキュリティソフトの基本形ができた。
さすがに天才が2人もいると、仕事が早い。
優子のソフトはバグもないし、最高なのだよ。
開発したセキュリティソフトは、ニューラルネットワーク構造を変形させたオンライン学習機能を付加している。使えば使うほど賢くなるのだ。
ウイルスを作ったハッカーの手の内を、どんどん学習させることができる。
どう効率的にAIに学習させるか、ニューラルネットワーク構造をどう工夫するかは今後の課題というか……いろいろ工夫をしながら開発するのは楽しい。
セキュリティソフトもAIシステムも、俺たちが開発しなくても、世界の優秀な人材が開発しているから、世界の歴史に大きく影響を及ぼすことはないだろうし、歴史の修正力が発動されたりもしないはずだ!
(……しかし、修正力が発動されれば、抹殺されるなんて……本当に怖い……!)
俺たち兄妹は、今後もずっと不登校を継続することになる。
日本では、かなり変わった兄妹だろう。
すでに自分の会社を作っているから、就職問題は解決済みだ。
自分の会社のビジネスに、学歴なんか関係ないと思うけど、自分たちの才能や能力を保証してくれる“何かしら”がほしいな。
どうすればいいのだろう?
「あの人が認めているなら、文句なくすごいに違いない」と誰もが思ってもらえる人を見つける必要がある。
そして、何とかしてその人に、俺たちを認めてもらえばいい。
いるのだよ、そういう人が!
大企業K社の会長として、誰もが認める有名人だ。
人格的にも技術的にも申し分のない人なのだが、残念ながらその人との接点はまったくない。
その会長と、なんとかコネクションを作りたい。
どうすればいいのだろう?
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