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転生して未来を変えろ  作者: ゲンタ


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ネコババ・ババア、金返せ

「叔父夫婦を……なんとか痛い目に遭わせられないのですか?」

母さんがテーブルに身を乗り出すようにして、平山弁護士に迫った。


(痛い目とか……母さん、本当に怒り心頭だな……!)


「優子ちゃんは、どうしたいですか?」

平山弁護士は、母の勢いに流されることなく、落ち着いた声で優子に視線を向ける。冷静だ……。


優子は小さな拳を握りしめ、唇を震わせながら答えた。

「盗まれた両親の預金は、全部返してほしいです……。叔父夫婦には、ちゃんと罰を受けてほしいです」


「お金を取り返した後も、相馬の家族でいたいですか?」


「もちろんです。今のお母さんは……陽子さんです」


その言葉に、母の瞳が潤む。頬に浮かぶ笑みは、涙でにじんでいた。

(そりゃ、うれしいよね……母さんは、もう完全に優子ちゃんを娘として見ているんだから……)


「分かりました。では明日、優子ちゃんの自宅に行きましょう。お母さんも一緒でよろしいですか?」


「もちろんです!」

母は涙を拭いながらも、強い口調で即答した。


平山弁護士は腕を組み、慎重に言葉を選びながら続ける。

「両親の預貯金は、本来すべて優子ちゃんのものです。もし叔父夫婦が正式に引き取り、籍に入れて自分の子供として育ててきたのなら話は別ですが、あのような扱いでは“養育”とはとても言えません」


「したがって、叔父夫婦の行為は窃盗に当たります。両親の口座から不正に引き出された金が、叔父夫婦の銀行口座に入っている証拠を突き止めれば、動かぬ証拠として突きつけることが可能です」


「他人の口座なんて……調べられるんですか?」

疑問を口にすると、平山さんは少し口元を緩めた。


「そこは心配いりません。伝手というものがあるのです。詳しくは企業秘密ですがね。弁護士の仕事は法律だけを振りかざすものではありません。あらゆる角度から手を尽くして、結果を出していくのです」


「それに加えて、交通事故で亡くなった両親に過失がなければ、交通事故の保険金を請求できます。また、優子ちゃんが両親の家に住まないのであれば、私の知り合いの不動産業者に売却させることもできるでしょう」


その自信に満ちた笑みを見て、家族全員の胸に安堵が広がった。

やはり、頼りになる弁護士が味方にいるのは心強い。


「叔父夫婦とは示談という形にする方がいいでしょうね。つまり、刑務所にぶち込まれたくなければ、慰謝料をプラスして奪った預金を即刻全額返金しろ。お金がなければ借りてでも払え……と、まあそんな具合になっていきますね」


(父さん! 優秀な同級生を持ってよかったね……!)


「金利の高いどこかから借りてくれば、返済するのはかなり大変なことだと思います。それが彼らの受ける罰になるでしょう。それに親戚が刑務所というのは、優子ちゃんにとっても、避けた方がいいと思う」


***


2008年3月――


平山弁護士が、取られたお金を全額取り返してくれた。

叔父夫婦が払った慰謝料から、報酬分はもらっておくとのことだ。


優子ちゃんの銀行預金口座を作り、取られた預金の1500万円、自動車保険の死亡慰謝料として両親2人分の5500万、自宅の売却額の3000万で、合計1億円が入金されることになる。


「その1億円は、この家では一切使う必要はないからね」と、父さんが優子に優しく伝えている。


彼女は申し訳なさそうにしているが、前世と違い、相馬家はお金にまったく困っていないのだよ。


村岡のババアは、ネコババしたお金で車やバッグ、アクセサリー、時計など、合計で1000万円以上使っていたみたいだ。


まったくどうしようもないネコババ・ババアだ。

1000万円もネコババしておいて「家から出ていけ」とか、どの口が言えるのか。


「夫婦そろって刑務所に入りますか?」という脅し文句に、叔父夫婦は慌ててどこからかお金を用意したそうだ。


「複数の消費者金融から借りてきたのかもしれないですね……」と、平山弁護士がさらりと言っている。


消費者金融から高金利で1000万円も借りたとなれば、借金返済に追われ、生活はかなり苦しいものになるだろう。

お金に追い回される苦しさは、俺も前世で体験済みだ。


借金返済に励みながら、しっかり反省してほしい。

それでも夫婦で頑張ればなんとか返済できる金額だし、刑務所に入るよりずっとマシだと思うよ。


これで……村岡のババアをギャフンと言わせることができたな。

家族全員がスッキリした気持ちになったのは、表情を見れば分かる。


***


ネコババ・ババア退治も終わり、ひと段落。

家族そろって食事をしていると、話題は自然と優子の進学へと移った。


「そういえば、優子も4月から小学校だな」

父が嬉しそうに箸を止めると、母も目を輝かせる。


「小学校に行けば、友だちがいっぱいできて楽しいよ」

「ランドセルも買いに行こうね」


二人の表情は明るい。

そりゃそうだ……俺のときには、こんなふうに“学校の話題”を心から楽しむことなんてできなかったから。


(俺は両親に迷惑ばかりかけてるな……!)


すると、優子が箸を置き、少し首をかしげながら俺に尋ねてきた。

「お兄ちゃんは、どうして小学校に行かないの?」


その瞬間、食卓に気まずい沈黙が落ちた。両親も俺も言葉を失う。

……答えにくい。けれど、隠しておくわけにもいかない。


俺は小さく息をつき、前に両親に説明したのと同じ理由を、優子にも話して聞かせた。

真剣に聞いていた優子は、うつむき加減になりながら、小さな声で言う。


「……私も同じ理由で、小学校には行きたくないです」


その言葉には申し訳なさそうな響きがあった。

けれど、俺にはピンときていた。


(やっぱり……優子は、こっち側の人間だな)


予想通りの答えに、思わず胸の奥があたたかくなる。

同士ができた――そう思うと、なんだかうれしくて仕方がない。



ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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