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転生して未来を変えろ  作者: ゲンタ


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両親をどう説得すればいいのだろう?

問題は、両親にどう伝えるかだ。


神様にはこう釘を刺されている。

「前世の記憶を誰かに話してはいけません。未来に起こることを語ることになるからです。もちろん、私の存在も、あなたが転生したことも口にしてはいけません」


だから、真正面からは言えない。


「神様のお告げによれば……」などと言い出したら『匠は頭が良すぎて、ついに来るとところに来てしまったか』と、そう思われるのがオチだ。

「父さんの会社が倒産する夢を見ました」も同じ。説得力がない。


ならば前世の出来事を思い返そう。


会社が倒産した原因は、2008年のリーマン・ショック。

世界的な金融危機で日本が深刻な不況に陥り、設備工事の受注が激減した。


そして悲惨な未来になった最大の理由――それは消費者金融から高利で借金を重ねたことだ。

銀行からの融資だけで止めておけば、まだ致命傷にはならなかったはずだ。


それに加えて……会社内部にもいろいろ問題があった。

お祖父ちゃんが社長の時から、課長の千葉が横領を続けていたのだ。


工事で取り付ける設備機器を、見積もりと異なる安物にすり替え、納入業者と事前に話をつけて差額を裏金として受け取っていた。

納品の検品と受領を千葉が仕切ることで、発注と違う品であることを隠していたのだ。


千葉が不在の時には、経理と事務を担当していた妻の由香里(ゆかり)が検品と受領を行っていた。

当然、不正と分かってやっている。


このやり口なら、発注者に発覚すれば工事のやり直しを要求され、下手をすれば訴訟問題だ。

そうならなくても、性能の低い製品に満足する施主はいない。次の受注は望むべくもない。


つまり会社は、経済不況のダメージだけでなく、横領による金銭的損失と、顧客離れによる受注減という――二重のダメージを受け続けていたのだ。


本来なら取り付けを行う社員も違和感を覚えていたはずだ。

だが、誰一人として社長に報告していない。

全員が千葉から袖の下を受け取っていたのだろう。


つまり――会社の未来を本気で案じている社員など、一人もいなかった。


父がこの横領に気付いたのは、資金繰りが行き詰まり、自分で倉庫の在庫を確認した時だった。


(父さんも父さんだと思うよ……!)


そうだ……突破口はここにある。

父に横領の事実を早く気付かせればいい。


唐突に「会社を畳みましょう」と説得するより、そのほうがずっと現実的だ。


納品された製品に不自然さがあることを、父に自分で気付かせる。

会社を見学させてもらいながら、自然に誘導していけばいい。


……そうと決まれば。


俺は「大事な話がある」と両親に伝え、ダイニングテーブルで向かい合って座っていた。


普通なら、子供の俺がいたずらをして両親から説教を受ける構図だ。

だが今日やろうとしているのは――両親の説得だ。


「本来なら、4月から小学校に入学することになりますが……僕は小学校には行きたくありません」


「どうしてだ? 小学校は楽しいぞ。友達を作って、一緒に遊んだりできる」

父も母も、心配そうに俺を見つめている。


「僕は、幼稚園に行くはずだったこの3年間、インターネットを使って勉強してきました。今の学力は大学生、いや大学院生レベルだと思います。海外の学術論文も読み込んでいます」


「すでに先生よりも高い学力を持っているはずです。扱いに困るでしょうし、同年代の子供たちとも会話が合いません。彼らにとって、僕は“異質な存在”です。異質な存在には誰も近づかない。下手をすれば排除されます」

「……つまり、苛めに遭うでしょう。それに耐え、本来の自分を隠してまで、小学校に通いたいとは思いません」


両親の表情が変わる。

「それもそうだな……」と、納得してくれているようだ。

俺のことを理解し、異質な子供を受け入れてくれている。


――感謝します。


「だけど、日本は義務教育だから……僕が学校に行かないせいで、父さんと母さんに迷惑をかけるかもしれません」

「……調べたところ、公立の小中学校は不登校でも卒業扱いになる場合があるようです。ただ、確実に大丈夫かどうかは教育委員会に確認しないと分かりません。とはいえ、入学前から『不登校でも卒業できますか?』と問い合わせるのは、さすがに不自然でしょう」


続けて『なぜ小学校に行きたくないか』について話し続ける。


「そこで――人気がなく定員割れ寸前の、私立の小中一貫校を探そうと思います。そういう学校なら、入学金や授業料を払えば、不登校でも“在籍”扱いにしてもらえるかもしれません。交渉は僕ではなく、父さんか母さんにお願いすることになります」


両親は互いに顔を見合わせ、何とかしてやろうという表情になった。


「分かった。匠が候補を探してくれたら、父さんか母さんが見学に行って、校長先生と話をしてみるよ」


――理解のある親で良かった。


ここまでは想定通りに話が進んでいる。

問題は……ここからだ。



ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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